梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記西の巻・21

2008年09月22日 | 芝居
琵琶湖畔での公演を終えてその日のうちに名古屋入り。
明けて本日は豊川市【豊川市文化会館】での2回公演でした。

夜の部の『葛の葉』でちょっと面白いことが。
幕が開いて早々、舞台裏に置いている次の場の装置の具合で、どうしても大道具さんが釘を打たなくてはならない事態が。
しかし舞台ではお芝居が進行中、普通にやったのでは金槌の音がどうしても邪魔になってしまいそう。
でもうまい方法が! この幕では、女房葛の葉が機織りをしているということで、舞台裏で人の手による<機織り音>の効果が行われておりますが、その「カラカラカラ…パンッ、パンッ!」という効果音の、強く響く「パンッ!」に合わせて釘を打つことになったのです。音をもって音を制す…?
といっても、この「パンッ!」はある一定の間隔を開けてしか鳴りませんから、2回打ってはしばらく休み…の繰り返し。次に鳴るまで控える大道具さんは、それこそ効果音担当のよう。

ご苦労の甲斐あって、きっとお客様には気がつかれなかったはずと存じますが、大道具さんが間拍子を合わせて釘を打つ姿がなんとも面白く、舞台裏に待機している<葛の葉早変わりチーム>10余名は声にならない笑いで盛り上がってしまいました。