梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

いわばオーダーメイド

2008年05月16日 | 芝居
木槌金槌、金切り鋏にニッパ、ヤスリ、釘…。
これらの道具は、<鬘合わせ>に使われる道具です。

今日は今夏の勉強会へ向けて、私が勤めるお役の鬘の土台を作りました。鬘屋さんが、薄い銅板の<地金>を、私の頭に合わせて形作るのです。ある程度の形は出来ているのですが、私の顔が、よりその役らしく見えるように、生え際の輪郭線を整えます。余分なところは切り落とし、足りないところは叩いて伸ばす。微妙な調整を繰り返しながら、徐々に出来上がってまいります。
床山さんも立ち会って下さいますので、毛を植える側、その毛を結う側、双方の職人さんが相談しながら(もちろん私も意向をお伝えいたしますけれど)の連係作業。お忙しい中時間を割いて下さり、本当に有難いことでございます。
おかげさまで、すっきり粋な<刳り(くり。額の生え際のラインのことで、ここの形が印象を大きく左右するのです)>の土台が出来上がりました。これに鬘屋さんが毛を植えて、床山さんが結い上げて鬘の完成です。

トンテンカンテン、バチンガッチャン、ギリギリギリ…。
鬘合わせの最中は、まるで鍛冶屋のような音が楽屋内に響きます。