梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

酉の市! その弐

2006年11月15日 | 芝居
仲間が「16日の<二の酉>、市が始まる午前0時から行ってみよう」と誘ってくれましたんで、夜更けのお酉様へとくりだしました。午後10時に雷門前で待ち合わせして、のんびり歩きながら千束方向へ。仲間の話ではそろそろ出店も始まって、賑やかなころだとのことでしたが…見えてきた屋台群はまだ仕込みの状態だったり、あるいはすっかりテントを下ろしているところが多く、だいぶ淋しき風情。「ホントに賑やかになるんでしょうね!?」と、縁日屋台大好き人間の私としては多いに不安、仲間に何度も問いかける始末。とうの仲間も「たしかやってるハズだったんだけど…」と心もとなげで、熱燗、焼きそば、たこ焼き、焼き鳥、今夜のために夕食をお預けにしてきた私の立場はどうなる? と本気で嘆きましたが、神社に近づくにつれて営業中の屋台が増えてきて大安心。湯気を立てて煮込まれるおでん、モツ煮。お客さん用に何列にも並べられたテーブル、ケースの中でキンキンに冷えたビール、ソースの香り、炭火のにおい。コレですよコレ、お祭り(市は祭じゃないのかしら)はこうでなくちゃ!
時刻はまだ11時。とりあえずあとからくる後輩を待ってから参拝することにして、来客を待つ市の店先をひやかしたり、もうじき静まりかえることになる吉原の街角をブラブラ探訪。そうこうするうちに後輩とも合流し、再び神社に戻ったのが11時50分ごろでしたが…。
いつの間にか人人人! 本殿からの行列が、もうじき鳥居からはみ出してしまいそうなくらい。一時間前の静かさが嘘のよう。屋台も神社周辺はほぼ全店営業開始。すでにほろ酔いの参拝客も見られます。…順番に並んで待っているうちに、本殿から突如太鼓が打ち鳴らされました。これが午前0時の時の太鼓。さあこれから24時間の<二の酉>の始まりです。境内は一層賑やかになり、賽銭の飛び交う音、鈴の音、柏手、歓声、そしてすぐそばの熊手の店からの呼び込み、三本締めのかけ声…。熱気ムンムンの中、すっかりウキウキで参拝を済ませ、皆でぐるりと市を見て回りました。
一通り巡ったあと、やっと出店タイム。長々の空腹に、まずお好み焼きを放り込み、続いて後輩と焼きそばを半分こ。立ち飲み屋台では日本酒を飲みながら焼き鳥をつまむ…。素敵な時間です。そんなに多くは飲まなかったので、しゃきっとしたまま解散したのが16日午前1時半ごろ。立ち通しでしたがそれほど疲れを感じなかったのは、きっと興奮していたからでしょう。その証拠に帰宅後も寝付けず、結局4時近くまで起きてましたから…。

さて次の28日<三の酉>には行ける余裕があるかな。今度はどこの神社にしましょう? それとも昼間の鷲神社に再度訪れ、全店営業の屋台村の活況を見てみましょうか…。
結局は、屋体が目当ての不信心者です。