梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

創作舞踊を観てきました

2006年11月14日 | 芝居
友人の舞踊家が参加した『第16回 創作自由市場 』を拝見しに、下北沢に行ってきました(会場は北沢タウンホール)。
タイトルが示す通り、日本舞踊の一ジャンルとしての<創作舞踊>を研究していこうという若手の方々が中心で、テーマ、音楽、衣裳、演出など、既成のものにとらわれない面白い試みがなされておりまして、全7番の演目を、大変興味深く、また楽しく拝見することができました。
なかでも、擬人化された洗濯機が、その仕事ぶりを踊るという快作『シリーズ “家電を踊る” ―洗濯機―』は、コミカルで洒落っ気の効いた、洗い・すすぎ・脱水の振りを、箏曲『春の海』を地にして繰り広げるというアンバランスさが場内の爆笑を呼び、演者のお茶目な魅力がいかんなく発揮されておりましたし、ラヴェルの『ボレロ』に乗せて、魅かれては別れ、求めては離れる、男女の想いをダイナミックな動きで表した『ボレロ ―二態―』は、男性舞踊家と女性舞踊家との連舞(お二人とも私と同い年とのこと)でしたが、お二人の、内に力をためた緊張感ある身体からの迫力、始終イキの詰んだ踊りぶりには、会場全体自ずと引き込まれておりました。照明の使い方もよく、とても濃密な舞台でございました。
…あくまでも<日本舞踊>であることの難しさもあるのだろうと思いましたが、より<伝える>ということを考えるであろう創作の世界、これからも応援させて頂きたいと思います。

久しぶりに足を運んだ下北沢。駅前の喧噪は、なんだかホッとする賑わい方でした。会場までの小一時間をブラブラ散歩でつぶしましたが、小路を曲がるたびごとに何か発見できそうな、おもちゃ箱みたいな町ですね。