梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『歌舞伎フォーラム公演』を終えて

2005年09月25日 | 芝居
昨日二十四日を持ちまして、第十八回『歌舞伎フォーラム公演』が終了いたしました。
全く違う役柄を三役も、さらにほぼひと月という長い期間勉強させて頂きました。それぞれに、これから克服すべき課題が残りましたが、たくさんの方々の御指導のもと勤められましたこと、深く感謝する次第でございます。
スケジュール的には毎日ニ回公演でしたので、正直いって体力的にはつらいものがございました(気が付けば体重が三キロ減っておりました)が、逆に、普段から一日のうちに大役を何役も演じておられる幹部俳優さんの大変さを実感することができました。精神力、集中力、体力のコントロールの大変さを勉強できたことは、大きな収穫でした。
収穫といえば、ふだんあまりいたしません女形の立ち居振る舞いや、何度も書いたことですが、下駄を履いて踊る、といった経験も、計四十一回の公演の中で学べたということは、これからの舞台でもきっと役に立つことだろうと存じます。

先日の『稚魚の会・歌舞伎会/合同公演』でもそうなのですが、大役を演じさせて頂くと、自らの「学ぶ」「教わる」という姿勢の中に、至らぬところ、未熟なところがあることをいやでも思い知らされます。素晴らしい環境、素晴らしいご指導の方々に恵まれながら、それに報いる舞台を勤めることができないもどかしさは、自らの蒔いた種ながら、苦しいものです。
これからは、人間的にももっともっと成長し、もちろん日々の役者としての修行も精進し、相撲ではありませんが『心・技・体』を充実させた舞台ができたらと、切に思っております。どうか、末永くお見守り下さいませ。

最後になりましたが、今回の公演の製作でございます松竹株式会社様、主催でございます東京都歴史文化財団様、江戸東京博物館様、日本伝統芸能振興会様、舞台創造研究所様はもとより、振付けをして頂きました藤間勘祖先生、勘十郎先生、共演させて頂きました中村京妙さん、中村又之助さん、澤村光紀さん、六人の子役さん、そして豊澤時若師匠、奥様の多恵子様、竹本朋太夫師匠、望月太左之助師匠、少ない人数で大忙しだった衣裳さん、床山さん、大道具さん、小道具さん、照明さん、音響さん方スタッフの皆々様、本当に、本当に有難うございました。厚く御礼申し上げます。