梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

役者の「色」

2005年05月07日 | 芝居
さて最終話は「色」についてでございます。
家、一門をあらわす、いわばチームカラー。その色あい、色名は、日本古来のものとなっております。
團十郎家の「柿色」
菊五郎家の「梅幸茶」
芝翫・梅玉家の「芝翫茶」
富十郎家の「栗梅」
三津五郎さん・玉三郎さんなど坂東家の「大和柿」
鴈治郎家の「松葉色」
など…。
ちなみに、「梅幸茶」「芝翫茶」と書くと、いわゆる土の色の「茶色」を想像されるかもしれませんが、実際は渋めの緑。「抹茶色」に近く、つまり「茶の葉」の色、という意味なのです。
さて、これまで御説明いたしました「屋号」「紋・紋様」そして「色」。これらがいっぺんにわかるのが、「口上」の一幕なんですね。追善口上、襲名披露口上、いずれにしましても、幹部俳優さんは、各々の家の「色」の裃を着、その裃、そして黒の着付けにはその家の「紋」がついております。女形さんの場合は、カツラの生え際を隠すようにつけられた<紫帽子>に、家の「紋」を打ち抜いた簪を差しますし、着付けも中振袖なので、すそ模様には家の「紋様」をちりばめることもあるのです。
そして一人ひとりの挨拶が終わるたびに、大向こうからは「屋号」が掛けられる…。
口上は、化粧はしていれど、素の役者として舞台に出るわけですから、その扮装に、家のトレードデザインが使われるのは自然なことなんですね。
そういえば、「松嶋屋」さんの裃は、袴も肩衣も、下が茶色で上が緑。中間部がぼかしておりますが、これは屋号の「松」をあらわしているのですね。茶色の幹から緑の松葉が出ている、ということです。
それから師匠梅玉の弟、魁春さんが、前の名前の<松江>の頃は裃は「芝翫茶」でした。それを、魁春を襲名するさいに、「藤紫」に改めまして、それからは魁春さんをはじめ「加賀屋」を屋号とする俳優さんは、みなこの色を裃の色にされております。
またわれわれ弟子の立場の者でも、「裃後見」で舞台に出る時は、師匠の家の色の裃を着ます。ただし、團十郎家の「歌舞伎十八番」「新歌舞伎十八番」といった「家の芸」の演目の場合は、主演俳優がどこの家であれ、市川家に敬意をあらわし「柿色」の裃を着ます。

さて、ここで私からも「口上」をもって御披露をさせて頂きます。
かねてより名題下俳優有志を中心に結成され、早朝あるいは夜など、寸暇を惜しまず試合、鍛練を続けてまいりましたフットサルチーム「エスセナリオ」が、このほど公式ホームページを立ち上げました。メンバー紹介、試合結果報告、あるいはメンバーの出演情報まで、見て楽しく、知って得する話題が満載でございます。つきましては、是非是非皆様にご覧頂きたく、ここに御紹介させて頂きます。写真も豊富です。何卒よろしくお願い申し上げます。

エスセナリオ 公式ホームページ『Viva Escenario』
http://www.k3.dion.ne.jp/~esce.com


梅之 拝