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子供たちに地元の情報を

久しぶりに耐震課外授業の話です。

耐震課外授業は、静岡県第三次被害想定の一部を子供たちに紹介しています。
東海地震がもし発生したらどのくらい被害があると予想されているかを知ってもらうことで、地震に対する危機意識や関心を高めてもらうことが狙いです。

私の授業は、むやみに危機意識を高めるよりも自分達の行動や心がけてで被害を減らせるという前向きさをもってもらうことが目的ですが、それでも地震による被害がどのようなものかを伝える必要はあります。

今後も授業の流れは変えるつもりはありませんが、子供たちに伝える情報については、もっと地元大井川町に関するものを加えたいと思っていました。私が伝える情報をもっと身近に感じてもらいたいというのが狙いです。

ただ、情報を伝えるということは、伝える側は責任を持たなければなりません。学校という場で子供たちに対して、根拠もないでたらめな情報を伝えることは避けるべきですし、情報が確かなものであることをきちんと確かめる必要があります。私は、よく静岡県地震防災センターを利用しています。

すでにどのような情報を伝えるかは決めていますが、多くの方に相談した上で、それが適切であるかどうかを決めたいと思っています。
なにより、情報を整理して分かりやすく説明するには時間と手間がかかります。できるだけ早く作業を終えて、9月か10月に行う予定の授業に間に合わせたいですね。

作業は、来月から開始予定です。
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県からの回答 「TOUKAI-0に関する質問」

先日、大井川町役場を通して静岡県にいくつかの質問をした結果、回答を頂きました。せっかくなのでここにそのまま紹介します。
どちらかといえば相談士の方でなければ分からない内容ですが、2×4工法に対する情報もありますので、よろしければ一般の方もご覧下さい。


Q1(私からの質問)
新診断法(改訂後)により2×4工法住宅もTOUKAI-0無料診断が可能ということだが、業務費用(県が相談士に支払われる報酬)についてはこれまでの診断と同様の扱いでよいのか、それとも伝統構法と同様の扱いと考えてよいのか?

A1(県建築安全推進室 耐震スタッフからの回答)
扱いは在来木造と同じです。
(県の補助制度は、伝統構法も在来も同様です)

Q2
新診断法に対応しているソフトを建築士会(静岡県)も建築設計事務所協会(静岡)も出していないため、個人で購入するしかないが、対応していればどのソフトでも仕様可能なのか?それとも日本建築防災協会が販売しているソフトが好ましいのか。

A2
規定しているのは診断方法のみですので、(規定の診断方法を採用したものであれば)どのソフトでも構いません。

Q3
耐震補強工事に対する助成金についても2×4工法は対象となるのか?

A3
対象となります。(ただし、新診断法にて評点の算出をすることが前提です。)

Q4
現在、改訂前の診断と改訂後の診断の併用が可能な状態と受け止めているが、改訂後に完全に移行する可能性が高いのか?それとも併用していく可能性が高いのか?可能性が少しでもある場合は、教えてほしい。

A4
19年度以降の方針は決まっていませんが、新診断に完全移行する可能性はあります。

Q5
精密診断では、改訂された新診断を使用しているが、その場合は一般診断法でも良いのか?それとも精密診断法で行う必要があるのか?

A5
補助制度上はどちらでも構いません。
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TOUKAI-0耐震診断報告書について(3)


(3)耐震診断報告書の見方(老朽度偏)

老朽度は、建物のいたみ具合のことです。1.0が最大ですが、どんなに老朽化が著しくても0.8以下にはなりません。

老朽度は、

「基礎」ひび割れの大きさ
「柱」傾斜測定
「外壁」雨水浸入の可能性
「床組」床のたわみやきしみ
「屋根」雨水浸入の可能性

の5項目から総合的に判断して、評価しています。
どの項目もレベル1(健全)・レベル2(やや老朽)・レベル3(相当老朽)まであり、相談士の判断や聞き取り調査によって決定します。

ポイントは、1項目だけレベル3(悪い)なら残り4項目すべてがレベル1(健全)であっても老朽度(F)は、「0.85」となってしまうことです。ちなみにもっとも低い評点である「0.80」は、レベル3が2項目あった場合のみなので、かなり老朽化が進んでいる住宅でなければ該当しないでしょう。

これまでの診断でもっとも多かったのも「0.85~0.95」だったと思います。

問題点は、基礎の老朽度でしょうか。
ここでも基礎のひび割れに対しての評価が加えられます。
つまり、基礎のひび割れは、「地盤・基礎(A)」と「老朽度(F)」の両方に多大な影響を与えるというわけです。

前にも書きましたが、いくらなんでも基礎の影響力がありすぎではないかと感じてしまうのは私だけでしょうか。壁量も壁の配置バランスも十分良い状態でも基礎にひび割れがあれば、総合評点はかなり低いものになる可能性があります。
建物の状態を総合的に評価というより、基礎ですべてが決まる傾向が強い診断と指摘できるかもしれません。

平成16年度に改訂された耐震診断は、基礎の影響力がだいぶ弱まっています。まったくないわけではありませんが、改訂前(TOUKAI-0型)に比べればずいぶんと変わったという印象を受けます。もしかしたら問題があると判断されたかもしれません。

となると改訂前と改訂後の診断では、同じ住宅でも総合評点が変わる可能性はあります。問題は、数値の差でしょうか。例えば、改訂前の診断では、総合評点「0.4」なのに改訂後の診断では、総合評点「0.7」となったでは、いくらなんでも差がありすぎます。今後は、このあたりについても調べる予定です。

次回は、これまで取り上げなかった部分について書こうと思います。

(注)
老朽度調査表は、2枚あります。
今回は、2枚目を紹介しています。
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耐震補強と断熱補強

断熱性を高めるということは、夏と冬の電気代を軽減させることにつながります。

耐震補強を必要とする住宅は、断熱補強を必要とするケースが多く、夏はまだしも冬はいくら暖房しても温まらないといった悩みを抱えている方が多いようです。

昔の日本住宅は、夏向きに建てられているため、窓を開けて風通しを良くしたり、ヨシズを使って日差しを防ぐといったことで、暑さを軽減させることが可能ですが、冬は逆にどうしようもなく寒いというったデメリットがあります。

ただ、夏もクーラーの良さにはかなわないということで使用する方は多いと思います。いくら窓を開けても涼しくならない日もあるわけですし、外の音が気になる場合もあります。つまり、クーラーなしの生活は非常に難しいわけです。

最近のクーラーは省エネなので、電気代がかからなくてお得らしいですが、断熱性がない家(というか部屋)に使用すれば、いくら使用しても涼しくならないか、設定温度をかなり下げないと涼しくならない可能性が高く、結局電気代がかかります。省エネでもなんでもありません。ようするに断熱性を高めるということは電気代の節約につながるわけです。

では、どうすれば断熱性を高めることができるのかという話になるわけですが、それほど難しい話ではありません。
天井裏に断熱材(この場合グラスウールを指す)を敷くだけでも効果があります。
断熱材は、大型量販店で普通に売っているので誰でも買えます。人によっては、自分でも可能な作業です。ただし、怪我には注意してください。

どうしても自分ではできない場合ややらないほうが良いと判断した場合は、増改築や耐震補強工事のときに施工者にお願いするという手もあります。
ちなみに耐震補強の場合、外部壁の補強が主流なので、壁補強の際に断熱材を入れてもらうことで、断熱性がさらに向上します。壁への断熱は、一般の方には難しいため、任せた方が良いでしょう。

やればやっただけの効果がすぐ分かるのも断熱補強の特長です。
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TOUKAI-0耐震診断報告書について(2)


(2)耐震診断報告書の見方(地盤・基礎偏)

「地盤・基礎(A)」の評価は、1.0が最大です。
報告書の様式2(2ページ目)に地盤と基礎に関する表があります。こちらを見ていただければ、基礎と地盤それぞれどのような評価をしたか分かります。

上の表をご覧下さい。
縦が基礎に関する評価で横が地盤に対する評価となっています。縦と横の列が重なる部分が、「地盤・基礎(A)」の評価となるわけです。

地盤は、「良い」「普通」「悪い」の3つに分類されています。

根拠となる資料は、地盤分類図や聞き取り調査が主となります。おそらく、大半の相談士が、地盤分類図を使用して評価していると思われます。ちなみに地盤分類図で「良い」と評価されている地域はごくわずかです。
さらに相談士の心理として、地盤の評価は専門外ということから無難な「普通」を評価する傾向はあると思います。
なお、耐震精密診断では、私は地盤調査を行っています。地盤調査会社と相談して、評価していますが、それでも悩みます。

さて、地盤を「普通」と評価した場合、基礎の形式がどれであろうとも「地盤・基礎」の評価が1.0とはならないことにお気づきでしょうか?
実は、地盤を「普通」と評価した時点で「1.0」ではなく「0.8」が最大となってしまうわけです。この点は重要です。

次に基礎です。
基礎の評価は、6つに分類されていますが、大抵が「鉄筋コンクリート造布基礎」「無筋コンクリート造布基礎」「ひびわれのあるコンクリート造布基礎(鉄筋、無筋とも)」のどれかが該当します。

基礎が「鉄筋」か「無筋」であるかをどうやって調べるかについては、耐震診断の悩みどころのひとつといえます。どうしても分からない場合は、評価が悪い方の「無筋」と評価したこともありました。鉄筋探知機を使用すれば分かるかもしれませんが、TOUKAI-0無料診断のレベルで探知機を使うことはおそらくありません。

建築確認図書が保存されていて、基礎の仕様が明記されていた場合は、それに従っています。ただ、増築されている家の場合、既存部分は無筋で増築部分は鉄筋ということがあります。この場合、どちらで判断するかは相談士によって違うかもしれません。

そして、さらに判断が難しいのが「ひび割れ」です。
ひび割れのあるコンクリート造布基礎とそうではない基礎では、評価がかなり違います。
表を見ていただければ分かると思いますが、具体的に例を挙げて説明します。

パターン(1)
地盤:普通
基礎:鉄筋コンクリート造布基礎

「地盤・基礎(A)」の評価:0.8

パターン(2)
地盤:普通
基礎:鉄筋コンクリート造布基礎

「地盤・基礎(A)」の評価:0.7

パターン(3)
地盤:普通
基礎:鉄筋コンクリート造布基礎

「地盤・基礎(A)」の評価:0.5(無筋と基礎を判定しても同様の数値)

つまり、基礎が鉄筋だろうが無筋だろうが、ひび割れがあると判断すれば、「地盤・基礎(A)」の評価は、0.5になってしまうわけです。(地盤を「普通」と評価した場合)

よく考えてみれば、0.5という数値はすごいです。
この時点で、総合評点が1.0以上であることはほぼありえません。
何しろ、他の3つの項目の評価がすべて1.0以上だったとしても「地盤・基礎(A)」の0.5をかければ、0.5になるからです。
(計算式:0.5×1.0×1.0×1.0=0.5)

基礎にひび割れがあるかないかの判断は、はっきりいってTOUKAI-0耐震診断の総合評点を大きく左右させてしまうほどの影響力があるわけです。

では、どのような根拠でひび割れであると評価するかという話になりますが、実はこれがはっきりした基準があるようでないようです。つまり、相談士によって評価が分かれるというわけです。
そして、間違った評価であると第三者が指摘しにくい部分でもあります。

確かに地盤と基礎は、建物の耐震性を調べる上で重要な部分ですし、影響力があることは認めます。ただ、個人的には、この部分に影響力がありすぎるのではないかという疑問があります。

改訂された耐震診断については、このあたりの疑問が解消されているため、TOUKAI-0耐震診断もはやく改訂された診断法に変えた方が良いのではないかと思うくらいです。

そういえば、壁の量や配置バランスの重要性については、大学等の実験映像でみたことがありますが、基礎の実験はみたことがありません。ひび割れのある基礎がどれほど危険であるかを調べる公開実験があるのなら見てみたいです。

最後に今回のポイントをまとめてみました。

ポイント(4)
「地盤・基礎(A)」の評価は、総合評点(耐震診断結果)にかなり影響を与える。
これについては、個人的に疑問。

ポイント(5)
地盤と基礎、それぞれの評価については、報告書様式2(2ページ)目に書いてある。表紙だけで判断するのは危険。

ポイント(6)
基礎の評価は、相談士によって異なる可能性が高い。
評価の根拠について説明を求めても問題ない。

次回は、「老朽度(F)」についてです。
来週あたりになるかと思います。
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