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TOUKAI-0耐震診断報告書について(2)


(2)耐震診断報告書の見方(地盤・基礎偏)

「地盤・基礎(A)」の評価は、1.0が最大です。
報告書の様式2(2ページ目)に地盤と基礎に関する表があります。こちらを見ていただければ、基礎と地盤それぞれどのような評価をしたか分かります。

上の表をご覧下さい。
縦が基礎に関する評価で横が地盤に対する評価となっています。縦と横の列が重なる部分が、「地盤・基礎(A)」の評価となるわけです。

地盤は、「良い」「普通」「悪い」の3つに分類されています。

根拠となる資料は、地盤分類図や聞き取り調査が主となります。おそらく、大半の相談士が、地盤分類図を使用して評価していると思われます。ちなみに地盤分類図で「良い」と評価されている地域はごくわずかです。
さらに相談士の心理として、地盤の評価は専門外ということから無難な「普通」を評価する傾向はあると思います。
なお、耐震精密診断では、私は地盤調査を行っています。地盤調査会社と相談して、評価していますが、それでも悩みます。

さて、地盤を「普通」と評価した場合、基礎の形式がどれであろうとも「地盤・基礎」の評価が1.0とはならないことにお気づきでしょうか?
実は、地盤を「普通」と評価した時点で「1.0」ではなく「0.8」が最大となってしまうわけです。この点は重要です。

次に基礎です。
基礎の評価は、6つに分類されていますが、大抵が「鉄筋コンクリート造布基礎」「無筋コンクリート造布基礎」「ひびわれのあるコンクリート造布基礎(鉄筋、無筋とも)」のどれかが該当します。

基礎が「鉄筋」か「無筋」であるかをどうやって調べるかについては、耐震診断の悩みどころのひとつといえます。どうしても分からない場合は、評価が悪い方の「無筋」と評価したこともありました。鉄筋探知機を使用すれば分かるかもしれませんが、TOUKAI-0無料診断のレベルで探知機を使うことはおそらくありません。

建築確認図書が保存されていて、基礎の仕様が明記されていた場合は、それに従っています。ただ、増築されている家の場合、既存部分は無筋で増築部分は鉄筋ということがあります。この場合、どちらで判断するかは相談士によって違うかもしれません。

そして、さらに判断が難しいのが「ひび割れ」です。
ひび割れのあるコンクリート造布基礎とそうではない基礎では、評価がかなり違います。
表を見ていただければ分かると思いますが、具体的に例を挙げて説明します。

パターン(1)
地盤:普通
基礎:鉄筋コンクリート造布基礎

「地盤・基礎(A)」の評価:0.8

パターン(2)
地盤:普通
基礎:鉄筋コンクリート造布基礎

「地盤・基礎(A)」の評価:0.7

パターン(3)
地盤:普通
基礎:鉄筋コンクリート造布基礎

「地盤・基礎(A)」の評価:0.5(無筋と基礎を判定しても同様の数値)

つまり、基礎が鉄筋だろうが無筋だろうが、ひび割れがあると判断すれば、「地盤・基礎(A)」の評価は、0.5になってしまうわけです。(地盤を「普通」と評価した場合)

よく考えてみれば、0.5という数値はすごいです。
この時点で、総合評点が1.0以上であることはほぼありえません。
何しろ、他の3つの項目の評価がすべて1.0以上だったとしても「地盤・基礎(A)」の0.5をかければ、0.5になるからです。
(計算式:0.5×1.0×1.0×1.0=0.5)

基礎にひび割れがあるかないかの判断は、はっきりいってTOUKAI-0耐震診断の総合評点を大きく左右させてしまうほどの影響力があるわけです。

では、どのような根拠でひび割れであると評価するかという話になりますが、実はこれがはっきりした基準があるようでないようです。つまり、相談士によって評価が分かれるというわけです。
そして、間違った評価であると第三者が指摘しにくい部分でもあります。

確かに地盤と基礎は、建物の耐震性を調べる上で重要な部分ですし、影響力があることは認めます。ただ、個人的には、この部分に影響力がありすぎるのではないかという疑問があります。

改訂された耐震診断については、このあたりの疑問が解消されているため、TOUKAI-0耐震診断もはやく改訂された診断法に変えた方が良いのではないかと思うくらいです。

そういえば、壁の量や配置バランスの重要性については、大学等の実験映像でみたことがありますが、基礎の実験はみたことがありません。ひび割れのある基礎がどれほど危険であるかを調べる公開実験があるのなら見てみたいです。

最後に今回のポイントをまとめてみました。

ポイント(4)
「地盤・基礎(A)」の評価は、総合評点(耐震診断結果)にかなり影響を与える。
これについては、個人的に疑問。

ポイント(5)
地盤と基礎、それぞれの評価については、報告書様式2(2ページ)目に書いてある。表紙だけで判断するのは危険。

ポイント(6)
基礎の評価は、相談士によって異なる可能性が高い。
評価の根拠について説明を求めても問題ない。

次回は、「老朽度(F)」についてです。
来週あたりになるかと思います。
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