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TOUKAI-0耐震診断報告書について(4)


(4)耐震診断報告書の見方(その他補足説明偏)

今回で、TOUKAI-0耐震診断報告書についての「簡単な」説明は終わりです。
最後にこれまで説明していなかったところで特に重要な部分を説明したいと思います。

その1「屋根の種類は、総合評点に影響を与える」

屋根が日本瓦葺きの場合とカラーペストのような軽量屋根材とでは、耐震性を示す総合評点が大きく異なります。
軽い屋根の方が評点は高くなるというわけです。

ではどのくらい違うか実際に診断した住宅を例に紹介します。
(「日本瓦葺き」を「軽い屋根材」に変更した場合)

実例(1)
A邸 総合評点「0.51」 → 「0.60」 (+0.09)

実例(2)
B邸 総合評点「0.94」 → 「1.14」 (+0.2)

実例(3)
C邸 総合評点「0.64」 → 「0.84」 (+0.2)

実例(4)
D邸 総合評点「0.47」 → 「0.61」 (+0.14)

住宅によって差はありますが、かなり評点が上がることは確かです。

では、どうして屋根は軽い方が良いのかという話になりますが、クボタ松下電工のHPで分かりやすく説明されています。よろしければ、そちらをご覧下さい。

クボタ松下電工
http://www.karuiyane.com/yukou/mecha01.html


その2「総合評点に反映しない部分」

総合評点には反映されないが、現地調査の際に目視で状態を確認すべき部分があります。例えば、床下内の状態や屋根裏内の状態のことです。
おそらく、TOUKAI-0無料診断の現地調査で、床下内を隅々まで調査する相談士はほとんどいないと思います。私もおかしいなと思った場合は、カッパを着て床下内をほふく前進しながら調べますが、通常はそこまでやりません。
相談士によって対応は多少違うとは思いますが、少し床下を覗いた程度だからといって不親切な診断と判断したと決め付けるのは少々極端な気がします。これは、屋根裏内の調査についても同様です。

屋根裏内や床下内の調査は、主に「火打ち」「筋かい」「根がらみ」「雲筋かい」「小屋筋かい」の有無だけでなく、柱仕口等の確認や金物が十分取り付けられているかについても調べることになっています。
ただ、これら調査は筋かいの有無を除き、総合評点に反映されません。そして、どうしても調べることができない場合は、「調査不可能」という対応が認められています。

逆に調査可能なのに調査しないのは問題です。屋根裏内を調査した結果、雨漏りの原因を発見することができたこともあります。可能な限り調査を行うという姿勢が必要だと思います。なお、依頼者の方もどこから調査ができるかを相談士に伝えるなど協力して頂けると助かります。

その3「総合評点はあくまでもひとつの判断材料」

総合評点は、耐震性を判断するひとつの材料でしかありません。
評点に反映されない部分もあるわけですから数値にとらわれすぎるのは危険です。

例えば、「0.68」と「0.69」には、大きな違いはありません。つまり、小数点第二位の部分にまで神経を尖らなければならないほど精密な診断ではないということです。

数値を気にするのではなく、自分の家が「一応安全」とされる「1.0」以上なのか(もしくは「倒壊または大破壊の危険がある」とされる「0.7未満」)どうかという点と4項目(「地盤・基礎(A)」「偏心(B×C)」「水平抵抗力(D×E)」「老朽度(F)」)のどれが悪いのかという点に注意した方が良いでしょう。

そして、より高い精度を総合評点に求めるのであれば精密診断を実施することになります。

精密診断は、依頼する建築士事務所によって内容や費用が多少異なる可能性があります。担当する建築士がどのような考えをもっていて、どのような診断を行うか事前に把握してから依頼することも大切です。
例えば、建物に微弱な振動を与えて耐震性を調べる動的耐震診断というものもあります。

その4「気軽に誰でも使用できるのが利点」

TOUKAI-0無料診断(改訂前診断法)は、誰でも気軽に使用できるのが利点です。
例えば、工業高校で建築を学んでいる学生なら使用できると思います。
また、ミスがないかチェックすることも比較的容易で、現地診断にかける労力と時間が比較的かからないところも考え方によっては魅力的です。

私は、この診断法で何年も診断したので愛着があります。
(精密診断は改訂後の新診断を使用していますが)
使っていて、これは問題あるなと思うところもありましたが、使いやすく理解しやすいという点を評価しています。

さて、今回でTOUKAI-0耐震診断報告書についての簡単な説明を終わりです。
正直、難しい説明ばかりでしたし、総合評点の説明をあれだけしておいて、総合評点にこだわるのは良くないといったことを書いたので紺来された方もいると思います。表現が下手で申し訳ありません。

最後に
本来なら3万円ほどかかる診断を無料で申し込むことができるというのはすばらしいことだと思います。まだ申し込んでいない方は、各市町村窓口に連絡することをお勧めします。すでに診断をしてもらった方は、報告書も捨てないで保管してください。その報告書を作成するのに県税約3万円が使用されています。
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