北海道でノンビリと

タブタブの何処かへ行こう を改題しました。
何処かへ行く機会も減ってきたので 北海道を楽しもうと思ったからです

京阪電車

2013-05-17 21:04:08 | 日記
今、有川浩さんの阪急電車が話題になっている。
電車の移動に合わせて各駅で乗り降りする人が主人公となり、ストーリーを展開すると云う斬新な手法の小説だ。

この阪急電車と同じく、関西を走る電車に京阪電車というのがある。
私が学生時代を過ごした京都と大阪を往復する路線に何度も乗った。
当時は京都の三条と大阪の淀屋橋とを特急が40分で往復していた。
終点に着くと、また戻る、行ったり来たりの折り返し路線だ。

大変昔の話で恐縮だが、どうしても京阪電車様に謝りたくて懺悔させて頂く。
私、成績は悪くは無いのだが、バイトとか部活でどうしても学業が疎かになり、3日かけて行われる学期末試験となると、ほとんど3日連続の徹夜での勉強となる。
3日目ともなると、意識も朦朧となり、試験終了と同時に轟沈する。
その日も ようやく試験が終了。普通なら死んだように3日分の睡眠を貪るはずなのだが、国家試験の願書を提出するとかで 大阪に行かなければならなかった。
それで、三条駅で電車に乗った途端、意識が飛んだ。

目が覚めた時、電車は反対方向へ進んでいた。
(あれっ ? そうかぁ、淀屋橋へ着いて、また京都へ戻るのか。とにかく、特急の停まる天満橋か北浜で降りよう)
電車は、減速。駅に入ってきた。ゆっくり進む電車。ホームにいる人達が電車の中の私を見て目を丸くしている。何・・・何 ? どうしたの ?
ふと、周囲を見渡すと・・・・・電車の中に人がいない。
電車は徐行したまま、停車することなく駅を通過した。
10両以上の長~い列車。見える範囲を見渡しても人がいない。
(夢 ? 現実 ? 何処 ? 私 誰 ?)

長~い列車の向こうから、車掌さんが近づいてきた。多分、忘れ物とかの確認をしているようだ。
その車掌さんと目が合った。(車掌さんが 何 ? 何 ? 状態になっている)

「ど・・・どうして乗っているんですか ?」
「いや、寝ている間に どうやら反対方向に動き出したらしくて。次の駅で降りますから・・・・・」
「次の駅では、停まりませんよ。これ、車庫に入りますから。」
「とにかく、運転手に話をしますので、先頭車両まで行きましょう」
多分、怒り心頭なのだが、そこは客商売。見事に抑えている。

長~い 長~い列車の中を歩いて先頭車両へ到着すると、数人の乗務員の冷たい視線を浴びた。
(とぼけた顔をしてジッと耐える私)
どこか支線に入ったようで、知らない駅名が続く。
「次の駅で停めますから、降りて下さい」車掌様から とても丁寧に云われた。
言葉は丁寧なのだが、顔は苦虫を噛み潰したような顔だ。
私は、気が付かないフリで外を見ているのだが、突き刺さる視線が痛い。

どこだか分からないのだが、小さな駅でホームからはみ出す形で特急電車が臨時停車した。
ホームにいた数人の人が 特急が停車したことに驚き、怪訝な表情を浮かべている。
(私は、思いっきり恥ずかしい。恥ずかしいのだが、ペコペコしているとアイツ 間違って乗ったんだ・・・・・と思われるのが目に見えている)
(そこで、私は毅然とした態度をとることにした)
一枚だけ開いたドアから堂々と降り、こちらを見つめている乗務員の冷ややかな視線をものともせず、「じゃ~ね~」と云う感じで手を振ったのだ。
途端に、車掌様はじめ乗務員の目がボッと点火。怒りに燃えたのが解った。

怒りに燃えた顔を並べたまま 京阪電車が消えていった。

以来、どんなに疲れていても京阪電車に乗って寝ることはありません。
目はパッチリ。
緊張して、乗らせて頂いています。ハイ。