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飛んで火にいる夏の虫。
わが国経済の成長に手かせ足かせで縛り上げ日本を亡国に扇動する日本の癌・財務省のトップが「デタラメ亡国論」で正体を現した。
財務省解体の絶好のチャンスである。
ここ20~30年、プライマリーバランス規律を主張してきた財務省亡国論が、ネット論壇を賑わしてきた。
つまり財務省が主張する「増え続ける国の借金を放置すると、膨大な借金を孫子の代に押し付ける」という「国の借金亡国論」である。
官僚の中の官僚と言われる財務省は、経済学の学識、知見に優れたエリート集団が集結し、しばしば財務大臣や総理大臣を支配下に置くと言われてきた。
かつて前川スケベ―文部事務次官が公言していた面従腹背である。
立場上、上司である財務大臣に従うふりをしているが、内心では従わないどころか、財務大臣を操り人形にしてきた。
しかし、選挙の洗礼を受けてない行政官である官僚は、あくまでも専門知識を生かした政策提言が職務であり、最終的政策決定は政治家であり財務省のトップである財務大臣や総理大臣が決める。
従って経済政策で失敗したら総理大臣や財務大臣が責任を問われるが、財務省はあくまで黒子であり、内閣の経済政策の失敗の責任を問われることはない。
ところが過去約30年間の我が国の経済状況は、財務省の緊縮財政に押し切られ長引くデフレを脱却できず、先進国の中では最下位を記録。 おかげで国民の実質賃金の上昇率も最下位である。
そんな中、これまで緊縮財政で国を亡国に導いていた財務省の最高責任者が、恥知らずにも実名を出して、財務省亡国論を主張してきた。
財務省の矢野康治事務次官が、月刊誌『文藝春秋』に寄稿した論文で与野党の政策論争を「バラマキ合戦」と批判したことについて、松野官房長官は10月11日の記者会見で「私的な意見として述べたものだ」との認識を示した。
飛んで火にいる夏の虫である。
ところが不思議な現象が起きている。
自民党政権を批判するなら、重箱の隅でも突くはずのテレビワイドショウがこの重大案件をほとんど無視。
中には矢野康治事務次官を熱烈支援するこんな例もあるくらいだ。⇒
本来だったら矢野事務次官と反対の立場の経済専門家をテレビに呼んで、議論すべき重要案件である。
矢野氏の「バラマキ亡国論」を論破するには、なにも小難しい金融工学論に立ち入らなくともよい。筆者のような私大の経済学部卒のレベルでも簿記二級程度の会計学の知識が有れば矢野理論に対応できる。
つまり矢野氏は、エリートでありながら財務諸表の損益計算書とバランスシート(貸借対照表)を混同するようなデタラメ論で国民を惑わしているのだ。
デタラメな財政論をばら撒いて国民を惑わす恥知らずの矢野康治財務事務次官の「バラマキ亡国論」の是非は元財務相官僚の高橋洋一氏に任せておいて、矢野事務次官が上司たる財務大臣や総理大臣の頭越しに自論を公表したこと自体が、辞任の相当する大問題なのだ。(ちなみに高橋氏は矢野氏の「バラマキ亡国論」を恥知らずと罵倒している)
つまり、行政の事務方トップが、今回のような政治的発言をわざわざ商業誌でするということは、松野官房長官がいうように「個人的な意見だからいい」という軽微な問題ではない。
完全に財務省事務方トップとしての職務の矩(のり)を踰(こ)えている。
これを松野官房長官のように是認したり、直接の上司の鈴木俊一 財務相 のように「事前に麻生前大臣の了解を取って行われたものでありますし、手続き面においても問題はない」と するのであれば、2008年に当時、航空幕僚長であった田母神氏が「田母神論文」と言われるものを発表して、結局、更迭された事実とダブルスタンダードになる。
以下は元財務相官僚の高橋洋一氏による矢野事務次官への反論である。
財務事務次官「異例の論考」に思わず失笑…もはや隠蔽工作レベルの「財政再建論」
さすがに失笑の財務省理論
先週末、月刊文藝春秋で発表された矢野康治財務事務次官の論考が話題だ(https://bunshun.jp/articles/-/49082)。現役の事務次官が書いたというので、早速筆者も読んだ。
【写真】 「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…
冒頭に書かれている内容は以下のとおりだ。
「今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けているのです。タイタニック号は衝突直前まで氷山の存在に気づきませんでしたが、日本は債務の山の存在にはずいぶん前から気づいています。ただ、霧に包まれているせいで、いつ目の前に現れるかがわからない。そのため衝突を回避しようとする緊張感が緩んでいるのです」 そして、全文を読んだ上で、「BSで財政を語れないおバカZ理論をついに晒してくれた。どう突っ込むか笑」(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1446358900366663683) と、思わず下品なツイートをせざるを得なかった。
件の全文は以下にもあるので、是非読んだらいい。(https://news.yahoo.co.jp/articles/c1736994977179b941f522435cf7368969eed185) 矢野事務次官への筆者のコメントは後で述べるとして、政府関係者のコメントは以下のとおり。
鈴木俊一財務相は8日の記者会見で、「個人的な思いをつづったと書いてある。中身は問題だと思わない」と説明した。麻生太郎前財務相からは了解を得ているという。
岸田首相は、10日のフジテレビ番組で、「いろんな議論はあっていいが、いったん方向が決まったら関係者はしっかりと協力してもらわなければならない」と述べ、釘を刺した。
高市早苗政調会長は、10日のNHK番組で「大変失礼な言い方だ」と不快感を示した。
そもそも、なにかがおかしい
さて、矢野論考の批判をしたい。
矢野氏は、「決定権のない公務員は、何をすべきかと言えば、公平無私に客観的に事実関係を政治家に説明し、判断を仰ぎ、適正に執行すること。しかし、これはあくまで基本であって、単に事実関係を説明するだけでなく、知識と経験に基づき国家国民のため、社会正義のためにどうすべきか、政治家が最善の判断を下せるよう、自らの意見を述べてサポートしなければなりません。」と書いている。
意見を述べるのは自由だが、その前提が間違っていたら話にならない。間違った前提から出てくる意見は、有害以外の何物でもない。
多くの人は、国家公務員試験を優秀な成績でキャリア官僚になったのだから、前提が間違っているはずないと思っているだろう。会計学と金融工学から間違っているので、それらを示そう。
まず会計学から。矢野氏は、財政が危機であるとして、データで示しているのは「ワニの口」と称して一般会計収支の不均衡と債務残高の大きさだけだ。これは、同氏が2005年に書いた「決断! 待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために」(東信堂)からのスタンスだ。また、フローの一般会計収支とストックの債務残高のみで財政をいうのは、大蔵省時代からの一貫したスタイルだ。
実のところ、筆者は大蔵省スタイルにかねてから疑問をもっていた。国の会計は、一般会計だけでなく特別会計、政府関係予算など数多く、財務状況をみるには負債だけではなく資産も見なければいけないという、標準的な会計知識があったからだ。
たまたま1995年、筆者の長年の疑問を氷解できるチャンスに当たった。
その時、財政投融資改革をやってくれと大蔵省幹部に言われた。財政投融資というのは、国の投資・融資を一括して扱うもの。国の一般会計だけではなく、特別会計や政府関係機関等、やたらと対象が多い。しかも、そのすべてについて財務状況がわかっていないと作業ができない。
「口外するな」と言われて
財政投融資はあまりに複雑なので「伏魔殿」といわれていた。簡単にいえば、郵貯と年金を資金調達部門、政府関係機関を貸出部門、大蔵省資金運用部はそれらをつなぐ部門と分ければ、世界で一番巨大な金融機関だった。
その改革を行うことで、筆者に白羽の矢が経った。とはいえ、筆者が受ける条件は、これだけ複雑なので、政府のすべての部門のバランスシートが必要で、それらを作っていいかというだけであった。
そのとき、財政投融資改革について明るく、実際に着手できそうなのは筆者しかいなかったので、筆者の条件はもちろん了解。政府のバランスシートを作る過程で、特別会計で隠している秘密を一手に知ることになった。そのときに得た知識で、今でも飯を食っている感じだ。
3ヶ月くらいで政府のバランスシートを作ったが、そのとき直ぐわかったのは、従来から大蔵省が主張していた財政破綻論の嘘。破綻しようもないくらいに立派なバランスシートだった。その後、連結ベースのバランスシートも作った。そのとき「財政が危機でない」ことは「口外するな」といわれた。
その約束は10年ほど守っていたが、2005年くらいの小泉政権の時に、政府バランスシートを公表するととなった。確か、その当時に矢野氏の本が出たと記憶している。
まず、筆者の作った財務諸表は、すべての政府関係予算が含まれている包括的なものだ。小泉政権以降、毎年公表されている(https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2019/national/fy2019renketsu.pdf)が、新聞が報道することはまずない。新聞記者は、財務省役人がレクしてくれないので、記事が書けないのだ。
この財務諸表は、しっかりした会計基準でグループ決算が示されているが、それからみれば、矢野氏の財政データは、会社の一部門の収支とバランスシートの右側の負債だけしかない欠陥であることがわかるはずだ。
なぜ、ある発言を外に出さないのか
ただし、今財務省が公表している連結ベースの財務諸表には、日銀が含まれていない。日銀は、金融政策では政府から独立しているが、会計的には連結対象なので、財務分析では連結すべきものだ。日銀を連結したのは以下のとおり。
こうしたバランスシートからみれば、銀行券が無利子無償還なので形式負債だが実質負債でないので、日本の財政が危機でないのは、会計の基本を知っていれば明らかだ。
この話は、本コラムでは10年来言ってきている。これは、筆者だけの独自の話でもなく、海外の一流経済学者がおしなべて言っていることだ。例えば、2017年4月2日付け「1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言 マスコミはなぜ無視をしたのだろう…」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51314)。折角、ノーベル賞学者を呼んで、日銀の保有する国債は相殺されるべきと言ってもらったのに、その発言を外に出さないのは、あまりに酷い隠蔽工作だ。
矢野氏は、十分な会計の教育を受けずに官僚になったとしか筆者には見えないので、結局バランスシートの話が理解できていない。そのため、正しい日本の財政をわからずにいる。
次に金融工学からも間違いだ。筆者の研究によれば、連結ベースのネット債務額はその国の破綻確率と密接に関係しているが、これは理論通りだ。この関係を知らなくても、市場で取引されているCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のレートから、破綻確率を算出できる。というのは、CDSはデフォルトに備えた保険だが、その保険料からデフォルト確率が算出できるのだ。
直近の日本国債の5年CDSは0.00188%なので、大学院レベルの金融工学知識を使えば、日本の5年以内の破綻確率は1%にも満たないのがわかる。これは、バランスシートからの破綻の考察とも整合的だ。
人間は5%未満の確率であればないものと認識する。そのため、0~5%の降水確率でも、零%の降水確率と表現する。矢野氏が、日本財政が破綻するおそれがあるというのは、降水確率零%の予報のとき、今日は台風が来るので外出は控えろというのと同じくらい、筆者には滑稽に思える。
タイタニック号が氷山に向かって突進したのは、レーダーのなかった時代だ。今では、レーダーも衛星画像や氷山のデータ提供もあるので、そうした情報を活用して衝突事故が激減している。。
大学レベルの会計学や大学院レベルの金融工学も知らずに、矢野氏のように無謀な意見をいうことこそ、タイタニックの悲劇に似ている。意見を言う前に、世界の誰とも対等に議論できるように正しい学問の知識をもつべきだ。
髙橋 洋一(経済学者)
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もう一度繰り返す。
今回の矢野事務次官の「バラマキ亡国論」の公表は、
飛んで火にいる夏の虫である。
財務省はPB規律論で、長年日本経済の成長を誤誘導してきた。
財務省は「省益あって国益無し」と言われてきた。
今回の矢野「バラマキ亡国論」は、財務省の「単式帳簿」の帳尻さえ合っておれば、国民は餓死しても良い・・・というデタラメ論である。
財務省の「バラマキ亡国論」の粉砕こそ、日本経済を成長に導く日本繁栄論である。
財務省は日本の癌である。