厚生労働省は15日、10~20代の男性は、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン接種後に心筋炎などの症状が出る割合が比較的高いとして、添付文書を改訂して注意喚起するよう、国内流通を担う武田薬品工業に指示を出した。心筋炎が心配な場合は、1回目にモデルナ製を接種した人が、2回目に米ファイザー製を選ぶことも認めることとした。

 厚労省は同日、専門部会を開き、10~20代の男性にはファイザー製の接種を推奨する案も検討した。だがワクチンに優劣があるなどの認識が広がりかねないとの声が専門家から相次いだため見送った。

 厚労省によると、国内でモデルナ製接種後に心筋炎や心膜炎の症状が報告される頻度は、10月3日までに男性の場合、20代で100万人当たり25・65人、10代で28・83人となっている。これに対し、ファイザー製は20代が9・62人、10代が3・69人で、部会では「モデルナ製は報告頻度が明らかに高い」と評価された。

 症状が出るのは1回目よりも2回目に多かった。10~20代の男性以外の頻度には、現時点で統計的に明らかな差はなかった。

 また、症状の経過が分かっている10~20代の男性のうち、モデルナ製で9・1%、ファイザー製で4・3%が未回復か後遺症があるとされた。

 一方で新型コロナ感染の合併症として心筋炎などの症状が出ることもあり、その割合はワクチン接種後よりも高いことが分かっている。

 そのため厚労省は「ワクチン接種後の心筋炎は軽症の場合が多く、接種による発症予防効果などのメリットの方が副反応などのデメリットよりも大きい」との見解を引き続き示している。

 モデルナ製を巡っては、同様の理由からスウェーデンやフィンランドで若い男性への接種を見合わせる動きがある。

 心筋炎は主に細菌やウイルスなどによって心臓の筋肉に起こる炎症。モデルナ製やファイザー製といったmRNAワクチン接種後の副反応としてまれに発症することも報告されている。

(写図説明)厚生労働省の専門部会評価結果のポイント