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森永卓郎氏の防衛論はイデオロギー塗れでトンチンカンだが、本業の経済論はまさに正論。
インフレへの警告も一言入っており完璧で、そのまま矢野事務次官への反論である。
矢野次官はこれに再反論すべきだ。
【森永卓郎の本音】無借金のいまこそ財政出動
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総選挙に向けてすべての政党が給付金の支給を唱えるなか、バラマキ合戦との批判も高まっている。実際、NNNと読売新聞が今月中旬に行った世論調査では、58%の国民が「国の借金が増えないよう財政再建を優先すべき」と答えた。
しかし、私はそうした声は、日本の本当の財政事情を知らないことから生まれた誤解だと考えている。
財務省の「国の財務書類」という統計によると、連結ベースで昨年3月末の国の負債は1546兆円だ。一方、日本政府は1023兆円と世界最大の資産を抱えているから、ネットの負債は523兆円だ。これは2020年度のGDP537兆円を下回る。GDPと同程度の資産負債差額というのは、先進国としては、ごく普通の借金の水準だ。
しかも昨年3月末で日銀が保有している国債は486兆円だ。日銀が保有する国債は、借り換えを繰り返していけば、事実上元本返済の必要がない、しかも支払った利息は、日銀納付金として政府に還(かえ)ってくる。つまり、国債は日銀が買った瞬間に消えてなくなるのだ。そこで、純負債から日銀の国債保有分を差し引くと、日本政府が抱える実質的な借金は37兆円と、ほとんどゼロになる。日本の財政は、主要国のなかで最も健全な状態なのだ。
もちろん国債の中央銀行引き受けは、やりすぎると高インフレという副作用を招く。しかし、昨年度日銀は46兆円も国債保有を増やしたが、インフレの気配はまったくなかった。だから、個人的には毎年50兆円程度の国債を日銀に引き受けてもらっても、何の問題も起きないと思う。50兆円の財源があれば、政策の自由度は大きく上がる。万が一、高いインフレが来たら、その時点でバラマキをやめればよいだけの話だ。無借金のいまこそ、財政出動だ。(森永卓郎=経済アナリスト)
報知新聞社