沖縄戦「集団自決」の謎と真実 秦 郁彦 PHP研究所 このアイテムの詳細を見る |
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■亀井静香のいいがかり■
「軍の装備品である手榴弾で自決したのだから、集団自決は軍の命令である」といういいがかりにも似た主張に対して、以前次のような例え話をしたことがある。
「(手榴弾軍命論は)警察の装備品である拳銃を盗んで自殺した者を、警察の命令で自殺した主張することと同じ」と。
言うまでもなく拳銃を盗まれたのは警察の責任であり、その責任を問われるのは当然だとしても自殺の原因を「警察の命令」だと糾弾するのは道理をわきまえない暴論である。
何事でも他人に責任を転嫁する場合、相手は組織が大きければ大きいほど転嫁しやすいもの。
警察とか戦前で言えば軍隊とか。
亀井静香大臣がいいがかりにも似た、責任転嫁をぶち上げていた。
その哀れな相手は、経団連。
亀井金融担当相:「家族間の殺人事件増加」で経団連を批判 毎日新聞 2009年10月5日
亀井静香金融・郵政担当相は5日、東京都内で行われた講演会で、「日本で家族間の殺人事件が増えているのは、(大企業が)日本型経営を捨てて、人間を人間として扱わなくなったからだ」と述べ、日本経団連の御手洗冨士夫会長に「そのことに責任を感じなさい」と言ったというエピソードを紹介した。御手洗会長は「私どもの責任ですか」と答えたという。》
◇
ネットで拾った数字。
親族間での殺人件数と、総数に対する割合
昭61年 590(40.2)
昭63年 488(39.0)
平03年 404(38.6)
平06年 438(38.9)
平09年 447(39.1)
平12年 514(42.2)
平15年 502(42.1)
平18年 542(46.9)
平20年 558(49.8)
http://www.npa.go.jp/toukei/seianki7/h20hanzaizyousei.pdf(「平成20年度の犯罪情勢」)
PDFでの73ページ。
◇
この亀井大臣のいいがかりにも似た発言に沖縄発信のブログ「世評不感症の詩」さんが興味深い考察をされているので紹介する。
《亀井発言に対して、「一家の大黒柱が職を失う→無理心中を図る この流れは不況が主な原因だろうに」とする見方がある。この考え方が亀井発言より妥当なものだと思える。亀井式論法は沖縄県の集団自決軍部責任論と、その思考図式は同である。
沖縄県の集団自決は、自己の環境の崩壊を地縁血縁に基礎を置く自然発生的な人間関係に基づく村落共同体の崩壊と捉えた自治会長が、無理心中へと住民を追い込んだのである。亀井氏の論理も軍部責任=大企業責任としたいのだろうが、大企業から追放された者のすべてが、その人を取り巻く環境の崩壊へとつながるという事実は存在しない。≪心中 無理心中≫亀井金融担当相:「家族間の殺人事件増加」で経団連を批判
「9・29県民集会」の後、ウソの「集会アピール」を妄信した無知な沖縄発のブログも散見されたが、今回紹介したような良識派ブログも増えてきたことは嬉しいことである。
◇
先日行われた「9.29県民集会」で配布された「集会アピール」がウソの記述があり、参加者もそのウソを信じて拳を天に突き上げていたと書いた。
集会で発表されたウソは「集会アピール」だけではなかった。
発言者として登壇した県議会議長の高嶺善伸氏は、2007年に「検定意見撤回」の議決を5月、6月と二度にわたって採択した事実を取り上げ
「(二度の議決を)県民のこの問題に対する怒りが強い証拠である」と力説し、会場の拍手を浴びていた。
ところがこれは真っ赤なウソである。
確かに同じ議題で二度も県議会で議決したことは事実だし、同じ議題で二度議決した例はないというのも事実だろう。
そして当時のマスコミが二度の議決を「怒りの再議決」大きく報じたのも事実である。
だが、二度の議決が「県民の怒りの強さ」であるというのは真っ赤なウソであった。
その県議会のウソを報道せず、県議会のウソをそのまま真実として報道したマスコミこそ最も糾弾されるべきである。
そのウソの解明は後に譲って、とりあえず当時のウソを報じる記事を紹介する。
6月定例県議会は11日、最終本会議が開かれ、沖縄戦における集団自決の日本軍の関与を修正、削除させた文部科学省の教科書検定意見について、検定意見の撤回と記述の回復を求める意見書が、先月22日に続いて提案されました。
前島明男文教厚生委員長は「文部科学省は『教科用図書検定調査審議会が決定することであり、理解していただきたい』との回答に終始し、検定意見の撤回と集団自決に関する記述の回復を拒否している。沖縄戦における集団自決が日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、同記述の回復が速やかにおこなわれるよう再度要請する」と提案理由を述べました。
このあと意見書は全会一致で可決。県議会で同じ意見書が会期内に2度可決されるのは初めてです。
決議後、仲里利信議長は記者団に対し、「2度の意見書採択というのは前例もないと思う。それだけ県議の皆さん、あるいは県民が大変重要なことだと見ている」と述べました。
県議会は6日、座間味島と渡嘉敷島で集団自決で生き残った住民から当時の状況を聴取し、軍の関与はあったと確証。このままではいつか沖縄戦そのものも教科書から消されかねないとの強い危惧の念を抱き、再度の意見書の可決となりました。今後は超党派による県民大会も検討する方針です。
国の歴史修正の動きに抗って再度意見書を決議し、沖縄の思いを突きつけた県議会。しかし国に検定意見を撤回する意志はなく、この問題にどう風穴を開けていくのか、県民の力量が今まさに問われています。
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県議会、撤回要求再び可決 「集団自決」検定2007年7月11日
教科書検定の撤回を求める意見書を再び可決した県議会6月定例会の最終本会議=11日午前
県議会(仲里利信議長)の6月定例会は11日午前、最終本会議を開き、沖縄戦の「集団自決」をめぐる教科書検定問題に関する意見書案を全会一致で再び可決した。意見書は「今回の文部科学省の回答は到底容認できるものではない」と、検定撤回の要請に対する同省の姿勢を厳しく批判した。同一定例会中に同様の趣旨の意見書を再び可決するのは初めてで、検定意見の撤回を求める県議会の意思をあらためて示した。
教科書検定問題で県議会は、6月22日にも検定意見の撤回と記述の回復を求める意見書を全会一致で可決している。
県内では全市町村議会でも意見書が可決されているが、県や県議会など県内6団体の撤回要請に対して文科省は「教科用図書検定調査審議会が決定すること」との回答に終始し、記述の回復を事実上拒否している。
二度目となる今回の意見書は、文科省があらかじめ検定意見の内容を取りまとめた上で同審議会に諮問していることや、審議会の検討経緯が明らかにされていないことなどを踏まえ、責任の所在をあいまいにする文科省の対応に抗議の意を込めた。
文教厚生委員会が渡嘉敷島や座間味島で実施した戦争体験者らからの聞き取り調査などを踏まえ、「沖縄戦における『集団自決』が日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実である」とあらためて指摘。
「沖縄戦の実相を正しく伝え、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、今回の検定意見が撤回され、同記述の回復が速やかに行われるよう再度要請する」としている。あて先は首相、文部科学相、沖縄担当相、衆・参両院議長。意見書は郵送される。(略)
◇
沖縄タイムスと琉球新報の狂気に満ちたキャンペーンに煽られた沖縄県議会は、当初こそ自民党が反対していたものの、次々と市町村議会をアンケート作戦で攻め落とされ、遂に2007年5月に全会一致で議決に追い込まれた。
ところが歴史には素人である県会議員が一度の現地調査もなく議決したことに対する反省が議員の間から噴出した。
こんなずさんな議決では首相や文科大臣に送付する県議会意見書も説得力がないというのだ。
一度現地調査をしてからでも遅くはなかったかという反省は当然であり、急遽「現地調査議員団」が編成され、アリバイ作りの現地調査が行われ、それをマスコミを大々的に報じた。
その始から結論ありきの「インチキ調査団」については次のエントリーに詳述してある。
二年も時が流れると明らかなウソも「真実」として流布する。
もっとも主催者発表がわずか1000人という「プロ市民集会」で県議会議長が「怒りの再議決」を力説しても大したことないとも言えるが、これが今後、県議会議長の発言として新聞の見出しを飾るようになると、このウソもゾンビのように活動を始めるから厄介である。
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