TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

葬送

2001-05-31 08:01:40 | インポート
知人のお葬式に行ってきた。
カナダに来て10年以上になるのに、こちらでお葬式に参列したのは初めて。

故人の夫が空軍大佐であり、彼女もまた軍関係者家族の教育施設で重要な地位
にいたことから、葬儀は軍基地内にある教会で行われた。
この教会の内装というのがおもしろい。
軍関係者には、ローマンカトリックを始め様々なキリスト教宗派の信者がいる。
それで、どんな宗派にも柔なんに対応できるような中立的なつくりになっている。
私の幼稚園はカトリック、大学はプロテスタントだったが、確かにこの教会は
そのちょうど中間という印象だ。

「アベ・マリア」の独唱で始る葬送は、清澄な悲しみに満ちていた。
43歳の若さで、高校生の一人息子と夫を残し逝った故人の気持ちを
思うと、やりきれないものがある。

ごく単純な心臓バイパス手術だと言われ、みな彼女がすぐ帰宅するものと思っていた。
しかし、彼女は麻酔から目を覚まさなかった。
突然の、予期せぬ死。
家族も周囲も、失ったものの大きさにとまどうばかり。

けれども、「死は、新たな始りである」という神父さまの言葉どおり
遺族も参列者も、神のもとで今はやすらかな彼女の幸福を信じ、
それぞれ最後のお別れをして送ったのだった。
亡骸は、彼女の故郷ケベック州におくられ埋葬される。

参列者の前でスピーチをする夫の姿は、軍人らしい冷静さと威厳をあらわしていた。
ときにはユーモアをまじえ、亡妻の思い出を語る声には、妻であり良き友であった
故人への限りない愛と、ふかい悲しみの響きがあった。

16歳で母を失った少年は、涙につまりながらも立派にスピーチをこなした。
自分の成人する姿や、将来の妻や子供を見せることがかなわないのが、
残念でならない。少年らしい正直な言葉で、悲しみを語った。

仏式とはまた違う、おごそかなキリスト教の葬送でした。


最新の画像もっと見る