TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

こよなく晴れた青空を

2009-04-25 05:39:11 | インポート
悲しと思うせつなさよ

ワイオミングは底抜けに青い空、白い雲が広がり、開拓時代から変らない
いかにもアメリカらしい土地。待ちに待ったカウチのクッション類が完成し、
これで応接セットが揃った。オンタリオ時代から数えて十数年の月日を要したわけだ。

さて、元タレントの清水由貴子さんが自殺したというニュースをネットで。
母親の介護疲れなどが動機と言われる。私たちの年代にとっては他人事では
ない。東京の友人の多くが、老親介護に明け暮れている昨今である。
自分たちも年齢的に体調不安を抱えながら、日に日にアナーキーとなっていく
親と向き合う終わりのない闇。親は、三十年後の自分の姿である。拷問などと
いう言葉では言い尽くせない苦痛だ。

周囲の態度がまた苦痛を増幅する。「親孝行だね」「親御さんは幸福」「あとで
後悔のないように、できるだけのことはしなくちゃね」といった、他人から
見ると励ましているつもりの言葉が、実はとんでもないプレッシャーとなる。
このように言われてしまったら、責任感の強いマジメな人は、いかに現状が
いっぱいいっぱいであろうと「自分がやらなくちゃ」と思いつめてしまう。

悲劇が起こったあとで、周囲は「そんなに悩んでいるようには見えなかった」
などとシラっとして言う。他人や親戚など、そんなものである。

そして、「福祉システムがうまく稼動していない」と責任を外部に転化する。
確かに介護のシステムは、ちゃんと機能してるとは言えないし利用する側から
見ると「誰のためのシステムなのか」と疑問に思う。しかし介護保険など
なかった大昔から、老親介護そのものはあったではないか。
当時は周囲の助けがあったから、なんとかやっていけたのだ。本当に必要
なのは、システムでも意味のない周囲の励ましの言葉でもなく、実際に
手を貸してくれる人の情けなのだ。自分の体験から言って、ごちゃごちゃ
綺麗事を口にする前に実際に時間とエネルギーを提供してくれる情けのある
人というのは、周囲にほんの少ししかいない。

老親介護を原因とする自殺や殺人等の問題は、日本に限らずアメリカや
カナダでもごく頻繁に起きている。カナダでは、私も実際に「姥捨て事件」
をリアルタイムで目撃した。アメリカでは、介護施設や在宅介護を利用できる
裕福層はともかく、医療保険さえ払えない層では老親介護は大変な負担であり、
深刻な問題だ。うちの近所の裕福な共和党白人どもにとっては、全く関係の
ない世界であるが。

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