TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

明日の記憶

2008-12-13 17:39:07 | インポート
前から読みたかったが、やっと日本から届く。

介護する家族から見た物語は多いが、患者本人の一人称で貫く小説はこれが
初めてではないか。病状が進行するにつれ周囲は当然動揺するが、本人だって
つらいのだ。その心の中がよくわかる内容で、一気に読んでしまった。

職場でボロを出すまい、迷惑をかけまいと、片っ端からメモをとるようになる
主人公。その箇所を読んで、思わず「あ!」と思った。数年前、実家に帰省
したときの様子が目に浮かんだ。

壁のカレンダーからなにから、筆ペンで書いたメモだらけなのだ。
便箋を小さく切った紙に、「燃えるゴミは火曜」「町内会費は誰それへ」など
日常のことから、「桜が開花」「大相撲始まる」とか様々な覚書。それが所
狭しとテープで貼ってある。かつては自慢の一つだった床の間の、特注の
ナントカいう木の柱まで、鱗のようにメモが貼られ、それが決して最近のこと
でない証拠に、紙は黄ばみ端がめくれている。親はおそらく、異変に自分で
気づき、なんとか失われる記憶をとどめようと必死だったに違いない。

台所の食品棚の中には、賞味期限の切れた天ぷら粉がいくつも入っていた。
買ったことさえ忘れて、同じものを続けて買ってしまったのだろう。
本人も、つらくて怖くて悲しかったのだ。

小説に戻るが、私にはやはり主人公の妻の献身ぶりが印象に残った。
やはり妻にするなら日本女性である。これが舞台がカナダとかアメリカで、
英語の小説であったら、中盤までには彼女は新しい男を見つけて家を出ていく
だろう。「私が結婚したのはバリバリ仕事をするかつての彼なのよ。それが
まだ五十なのにボケちゃって、セックスどころか仕事もダメ。私はまだ若い
んだし、人生やり直すなら今だから。それにこの人、私のことだって忘れる
でしょうし」と、サバサバと見切りをつけるワイフ。周りを見てもそういう
シナリオの方が断然多いし、読者だってその展開のほうが納得するだろう。

冷たいのではなく、弱肉強食が骨まで浸透している風土なのだ。
弱いものへの労わりが、必ずしも美徳とされないお国柄。
私は何年住んでも、そこまでドライにはなりきれないでいる。


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Sixteen Candles

2008-12-13 17:05:01 | インポート
The Crestsのなつメロではない、私たちの記念日である。

全く、周囲を見渡してもこれだけ長く続いているのは珍しいので、ここらで
敢闘賞をいただきたいくらいである。思えばその半分がTABIと三人の暮らし
なので、一番の功労賞はこの子であるが。犬はかすがい、とは本当だ。

さて、ディナーは前にも行ったことのあるフォンデュの店。
夫が予約の際に結婚記念日であることを告げていたせいか、とても素敵で
静かな個室を用意してくれた。メニューはたいして変ってないが、サービス
の仕方が良くなっていて、どれも美味しかった。デザートは止めようと
思ってたが、見たら食べたくなってホワイトチョコのフォンデュにした。
キャラメルが入っててこってりとし、またシナモンパウダーをフランベ中に
ふって花火を出すなど、演出が凝っている。Dulce De Lecheがスペイン語で
液体キャラメルであることも、ウェイトレスさんに初めて教えてもらった。
OPIのネイルに同名のがあったな。

外に出ると雪。
でもフォンデュで温まった私たちは、駐車場まで歩くが寒くない。
平和な記念日を迎えさせてくれた神様に、感謝。


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