TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

免罪符には期限がある

2003-10-23 03:16:50 | インポート
「He was abused.(この子は虐待された)」は、犬飼いがよく使う表現。

レスキューされた犬を飼っている人は、犬紹介のとき枕詞のように多用する。
統計をとったわけではないが、9割は言ってるんじゃないか?
虐待というと、犬を棒で殴って瀕死の重傷を負わせたとか、鎖につないで
何週間も食べ物や水を与えず餓死寸前にしたとか、BBQで焼き殺そうとした
とか、そういうのを思い浮かべる。だが実際には、SPCAとかに収容されて
いる犬なんかは、単にもとの飼い主が無責任でなんの躾もせず裏庭に放って
おいたため、行儀が悪い犬に育ってしまったケースがほとんどだ。

そういう犬をレスキューした犬飼いは、自分の犬がよその犬や人間に攻撃的な
態度をとると「abused」を必ず言い訳として使う。必ず、だ。
なぜなら「abused」は魔法の一言だからだ。

誰だって虐待された、と聞けば「かわいそうに」と同情心が起こる。そのため
犬のよろしくない振る舞いを大目に見て許してしまう。これに味をしめた犬飼いは
犬を躾しなおすよりも魔法の一言を免罪符がわりに多用することを覚える。
そのほうが簡単だからだ。

近所のコッカーがその一例だ。あまりに飼い主が多用するので、「何年その
免罪符を使ってるんだよ。もう期限切れだよ」とつっこみたくなる。

これはフェアじゃない。
人間だって、スラム街に生まれ育った人全員が麻薬密売人や凶悪犯罪者になる
わけではない。立派な社会人に成長する人もたくさんいる。
犬も、初めにタチの悪い飼い主にあたったから全部がトラウマをしょって
悪犬街道を一生歩くか、というとそうではない。過去は過去、やり直しがきく犬
だっている。要は、新しい飼い主のやる気だ。

やる気のない犬飼いほど「abused」ばっか言ってる。
「この子は虐待されたのよ、ね、かわいそうでしょ?そういう子を私は救済した
のよ、ね、私ってエライでしょ?」と目を星でいっぱいにしながら(笑)