たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

供養のかかし

2017-12-14 10:05:55 | 剣山・イスラエル

<東祖谷名頃・かかしの里>

 

先日ネットで、かかしの里で人形を作り続ける、

地元の在住の作者の方への取材映像を見ました。

村の至る所に置かれた人形の中には、

集落で暮らす住民に似せたものはもちろん、

すでにお亡くなりになられた方の姿を象ったものも、

少なからず混じっていると聞きます。

きっと近所の人たちはその人形を見るたびに、

故人のことを思い出すのでしょう。

 

その方は、集落の人々を喜ばせるために、

人形を作り続けているとおっしゃっていましたが、

制作の様子を眺めている最中、

ふいに頭の中をよぎったのは、

「供養」という言葉でした。

一体一体の人形を愛おしそうに見る目は、

どこか「死」という対象を

捉えていたように感じます。

 

近隣の病院まで1時間半もかかるこの地では、

一度倒れれば死をも覚悟しなければなりません。

恐らく、利便性のよい地域でなら助かった命も、

僻地に住むがゆえ助からない場合もあるのです。

もしかすると、この地で私が感じた

「かかしに見られている」という感覚は、

「忘れないで欲しい」という、この地に眠る

故人たちの切なる願いだったのかもしれません。