goo blog サービス終了のお知らせ 

寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 狡兎死して走狗烹らる 

2010-03-06 09:09:57 | Weblog
六年、人、上書して楚王韓信反すと告ぐるもの有り。諸将曰く、兵を発して孺子(じゅし)を坑(こう)にせんのみ、と。上(しょう)陳平に問う。平、之を危ぶんで曰く、いにしえ、巡守(じゅんしゅ)して諸侯を会すること有り。陛下、第(ただ)出で偽って雲夢に遊び、諸侯を陳に会し、因(よ)って之を禽(とりこ)にせば、一力士の事のみ、と。上、之に従い、諸侯に告ぐ。陳に会せよ、吾将(まさ)に遊ばんとす、と。陳に至る。信、上謁す。武士に命じて信を縛せしめ、後車に載す。信曰く、果たして人の言の若(ごと)し。狡兎(こうと)死して走狗(そうく)烹(に)られ、飛鳥尽きて良弓蔵(しま)われ、敵国破れて謀臣亡ぶと。天下已に定まる。臣固(もと)より当(まさ)に烹(に)らるべし、と。遂に械繋(かいけい)して以って帰る。赦(ゆる)して淮陰侯(わいいんこう)と為す。

通釈文
漢の六年、高祖に書を奉(たてまつ)って楚王韓信が謀反を企てていると告げた者が居た。諸将は口々に、兵を出して若僧を穴埋めにするだけのことですと言った。高祖は陳平の意見を聞いた。陳平は皆の意見を危ぶんで言った「古には天子が巡視して諸侯を会合させることがありました。陛下はただの遊山の風に雲夢におでかけなさい。その折諸侯を陳に招集するのです。その機会に韓信を生捕にすればよいのです。そうすれば力士一人で事が足りましょう」と。高祖はうなずき、諸侯に「陳に会合せよ、予は雲夢に遊ぼうと思う」と通告した。高祖が陳に着くと、韓信が拝謁に来た。高祖は武士に命じて韓信を縛り副車に押しこめた。韓信は「なるほど誰かが言っていた通りだ、兎が捕り尽くされると、猟犬は用ずみになって烹られ、飛ぶ鳥が尽きれば、弓はお蔵入りになる。また敵国が亡びると、謀臣は殺されてしまうと。全くその通りだ。天下が定まった今、自分が烹殺される訳だ」
とうとう枷(かせ)をつけ縛られて洛陽につれてこられたが、後に赦されて淮陰侯に封じられた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿