迷走していた「たんなさん」のつぶやき

※個人の感想です・・・

名前も知らない食堂の女性(下)

2012年11月16日 | LIFE
そんな彼女から面白い本があります、と教えてもらったのが『君について行こう』です。
宇宙飛行士の向井千秋さんのご主人の万起男さんの書いたものです。
さっそく図書館で文庫版の(上)を借りて読んでみると面白い。
早々と読み終えてみたものの、図書館にはなぜか(下)の蔵書はないのです。
そして、他の図書館から借りられるよう手配をしている遅番の食堂です。

多分、初めてのことだと思うのですが、彼女に味噌汁をよそってもらうことになりました。
私は薦めてもらった本が面白かったことを伝えようと思っていたのですが、彼女の口からは
「私、今月で退職すことになりました。有給を使うので勤務は明日までです」
と伝えられたのです。
ああ、なんてことなんだ。
これからいろいろな面白い本を教えてもらおうと楽しみにしていたのに。
彼女と同姓なら、メールアドレスを交換してもらうこともできたのでしょうが、そんな誤解を招くような行為もできないので、
「それは残念です。お元気で」
と伝えるだけでした。

翌日が彼女の最後の勤務日でしたが、彼女と話をする機会がないままに、職場に戻る時間になってしまいました。
目元とちょっと高いなまりのある彼女の声だけしか知らないので、街ですれ違っても気づく可能性は極めて低いと思います。

私が最後にお薦めした斉藤明美の『高峰秀子の捨てられない荷物』の感想が聞けなかったのが残念です。
名前も知らない食堂の彼女、短い間でしたが楽しいひと時でした。
ありがとう。
どうぞお元気で。