まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

闇がなくなった

2021年12月15日 | 日記
一日働いて疲労困憊。
地下鉄のホームからエスカレーターにすがって
やっと地上に出ると満艦飾のネオンだった。
わが団地の師走恒例のイルミネーション点灯である。
都心に比べるとかなりショボいけれど・・・

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LED電球をまとって輝いているのはケヤキだろうか。
樹木がこん夜中にも煌々と照らされて
果たして生態は大丈夫だろうかと心配になって来る。
この季節はイルミネーションにクリスマスツリーの灯りも加わり
どこもかしこも昼間のように明るく輝いている。
夜の深い闇はトンとご無沙汰である。
都会では「漆黒の闇」というものを久しく見なくなった。

あれはもう何十年も前のことだが・・・
紀州は熊野古道の山深い民宿に泊まったことがある。
ロケハンを兼ねての取材旅行だったが
その夜は女将手づくりの山菜料理で夜遅くまで飲んだ。
途中、煙草を買い忘れたことを思い出して
ディレクター氏とすぐ近くの自販機まで歩いたことがある。
距離にすれば民宿と棟続きの10メートルほどだが
みごとに灯り一つない真っ暗闇で
自分の足元さえ覚束ない手探り状態で難渋した記憶がある。
初めて体験する「闇の深さ」「闇の恐怖」だった。
もうタバコはやめようかと諦めかけた瞬間
突然、バタバタと何かが羽ばたくような物音がして
恐怖にひきつった私たちは脱兎のごとく民宿に逃げ帰った。
囲炉裏端で赤々と燃える焚火の火が
あの時ほどありがたく救いに見えたことはなかった。
そんな深々とした闇が
絶えて久しくなったとあらためて思う。