まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

八千草薫さん亡くなる

2019年10月29日 | 日記

女優の八千草薫さんが亡くなった。
ご病気なのは知っていたのでショックはなかったが
あの少女のようにはにかんだ笑顔が
もう見られなくなると思うと
感慨と寂しさが一緒にこみあげて来た。

いくつになっても可憐な人だった。
どんな役を演じても可愛らしく品のある人だった。
私は宝塚を見たことがないので
娘役時代の活躍ぶりはよく知らないけれど
当時から評判のトップスターだった。
その後の芸能界での活躍ぶりはご存じの通りである。
スクリーンやブラウン管で引っ張りだこだった。
監督なら演出家なら一度は使ってみたいと思わせる女優さんだった。
女優さんは年とともに美貌を演技力に変え
年齢と上手に折り合いながら存在感を発揮するものだが
それとは別次元の初々しさが常にあった。
天性の若さのようなものだろうか。

八千草さんと言えばやはり「岸辺のアルバム」である。
多摩川の決壊をモチーフにして
脚本家の山田太一さんが描いた渾身のテレビドラマである。
恋人役の竹脇無我が言う。
たとえセックスを伴わなくても
身近に親しい男友達もいない人生に満足していますか?
などと主婦の八千草さんに迫るのである。
これまでのホームドラマの常識を揺るがすようなドラマだった。
八千草さんはこのドラマに出演されるにあたって
女優としてのイメージもあるのでずいぶん悩まれたと聞くが
結果はテレビドラマ史を飾る金字塔となった。

今は亡き向田邦子さんの「阿修羅のごとく」の
すっとぼけたような長女役もよかった。
倉本さんのドラマでも大滝秀治さんと微笑ましい夫婦を演じておられた。
私にとっては忘れられないドラマばかりである。
享年88歳。
惜しみてあまりある女優さんだった。