まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

柿食へば・・・

2018年10月20日 | 日記

高層ビルに囲まれた民家の庭先に
まるまると実った柿の実がぶら下がっています。
すべてが無機質な都会の風景の中で
オレンジ色の柿の実を見るとホッとするような思いです。

幹線道路のすぐ脇なのに
ひっそりと静まり返ってまったく人の気配がありません。
門扉はフェンスで閉じてあるので
ひょっとして空き家なのかも知れません。
主がいなくても庭の柿の実だけは毎年ちゃんと実るんですねえ。
いつだったか北海道は幾春別の炭鉱跡で
無人の炭住の庭にひまわりの花が盛大に咲いていた時も
同じような思いにかられたことがあります。

こちらはいつもの公園の柿です。
近所の人に「これは渋柿だから食べられないよ」と
教えてもらったことがあります。
母は風呂の残り湯に一晩つけて丁寧に渋抜きをしていましたが
そんな面倒なことをする人はもういないのでしょうね。
亡くなった母は大の柿好きでした。
私もそのDNAを継承しているのでしょうか。
この季節、お弁当のフルーツは決まって柿ですし
今年もずいぶん柿を食べました。
いまは和歌山県の「平たね柿」をせっせと食べています。
タネがないのか一番いいですねえ。
原産地の新潟では「おけさ柿」と呼ばれる種類で
和歌山では「紀の川柿」と呼ばれています。
高野山の麓にある九度山町と呼ばれる一帯が産地ですが
山の斜面いっぱいに柿の木が連なって
それはそれは壮観で皆さんにも見せてあげたいほどです。

あの独特の甘さと歯ごたえに
不思議な懐かしさがあって飽きの来ない味ですねえ。
やはり亡くなった母を思い出します。
いまの子供は柿なんか食べるのでしょうか。
子供の脳細胞の発達は食育に負うところところが大だそうですが
昔ながらの伝統的な果物を食べていれば
孫が祖父や祖母を手にかけるなどという悲劇は
起こらないのではないでしょうか。

   柿食へば 鐘がなるなり 法隆寺 〈正岡子規〉

子規は生涯に二万句以上の俳句をつくったそうですが
世に名高いこの名句のよさが
うーん、私には未だによくわかりません。〈笑〉