まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

新そばで一杯

2018年10月16日 | 日記

帰り道にちょっと道草です。
人生もずいぶん道草をしたような気がしますが
秋は道草をしたくなる季節です。

行きつけの蕎麦屋です。
東中野の小さな路地の奥にある店です。
行きつけとは言いながらずいぶん足が遠のいてしまいました。
ここに来るときは決まって一人です。
別に孤独癖があるわけでもないのですが
仕事帰りに気まぐれの道草ですから当然ひとりです。

蕎麦を食べるつもりでしたが
せっかくですから冷や酒を一本だけ注文しました。
石川県の銘酒「手取川」の純米酒です。
昔はやたら吟醸酒ばかり粋がって飲んでいましたが
ようやく純米酒のよさがわかって来ました。
考えてみれば日本酒がフルーティーと言うのも妙なもので
お米の味がするどっしりとした酒がいいですね。

  白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり

若山牧水もかなりの酒豪だったようですが
私はすっかり弱くなってしまって
最近はビール二、三杯で足元がふらつく有様です。

新そばが入荷しているというので
大好きな「細打ち粗びきソバ」を注文しました。
わが故郷の「出雲そば」と同様
ソバの実も皮ごと一緒に挽いているので黒っぽいです。
いかにも洗練されていない田舎そばですが
その分、香りが強いんですね。
美味しい蕎麦を食べながら店内を見渡すと
芭蕉の俳句が飾ってありました。

  蕎麦はまだ 花でもてなす 山路かな 〈芭蕉〉

蕎麦の花の季節を詠んだ句です。
訪ねて来た弟子たちを本当は蕎麦でもてなしたいが
せめて蕎麦の花でも楽しんでくれ・・・
という程の意味でしょうか。
白く可憐な蕎麦の花が目に浮かぶようでした。