鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

相続登記の義務化が始まる

2024年03月30日 | 議会活動
令和6年3月30日(土)

 この4月1日から、相続登記の義務化が始まります。先日も、被相続人が亡くなられて少し時間が経った方から、相続登記方法について問い合わせがあり、少し助言をさせていただきました。

 相続登記の義務化の背景には、「所有者不明土地」の問題があります。私が「所有者不明土地」の問題に関わったのは平成30年頃のことで、市が公園整備などの公共事業を実施する際に、事業に必要な用地取得対象の土地所有者が不明のために事業ができないという問題に関わりました。
 公共事業であっても個人の財産権を侵害するわけにもいかず、その部分を除外して事業を進めるか迷いがありました。市は用地取得対象の土地が多数あったことで、時間もかかることから、そちらの用地交渉を進め、所有者不明土地の所有者または関係者を調べる作業を続けていたと思われます。

 土地には不動産登記簿といって、人の戸籍簿に相当する台帳があり、所有者情報もそこに記されています。土地情報の基本はここに全て記されていることが原則ですが、例えばその土地の所有者が亡くなり、相続が行われていなかったりすると、土地所有者名義の移転などにおいては、亡くなった方の全ての相続権者に了解を頂くことになります。中には何代も相続登記が行われていないこともあり、このような場合ではその関連調査や権利者との交渉においても多大な時間と労力が必要となります。
 関係者が土地所在地域に住んでいればよいのですが、この時代、広く拡散して中には海外在住などということもあります。
 公共事業では、多くの土地所有者に理解と協力を求めることも多く、所有者不明土地は事業の進展に大きな障害となっています。

 根本的な解決には、所有者不明土地の取扱についての法が未整備なことでした。そこで、私はその背景を調べ、県の担当部署とも相談しながら、静岡県議会として法整備を求める意見書を国に提出しました。この頃、全国でも同様の問題が生じており、国会でも取り上げあげられました。
 その後、所有者不明土地の取扱について、公共事業への対応から始まり、さらに対象範囲が広がっているようです。

 相続登記が義務化された背景には、このような課題があって私自身の経験からも重要なことと考えています。

 なお、法務省の資料に義務化についての表記がありましたので参考に記します。

 令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

 なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

 私からの助言ですが、相続登記には登記料等がかかります。司法書士などの専門家に相談すると良いでしょう。
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