鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

公共事業達成の課題

2018年10月10日 | 議会活動

平成30年10月10日(水)

 

 公共事業には、行政が都市計画により定めた事業や、地元からの要望による事業、あるいは防災や災害復旧事業などがあり、いずれも用地を確保するケースが多くあります。

 この中で地元から要望される事業の例では、道路の拡幅や改修、橋の設置や改修、交通信号の設置、河川整備など、その範囲は広くあり、住民の意向が強いことを踏まえて、その事業をどうしたら実現できるか、行政も要望者も一丸となって検討することになります。

 実現までには様々な課題が見えてきますが、例えば、予算の確保や用地確保、技術的課題、法律や条令などとの兼ね合いなどがあるなかで、用地が確保できるかのメドが立つかどうかは、先行して確認する必要があります。

 公共事業が遅々として進まない大きな理由が、用地確保に多くの時間を要するためで、確保できずに断念することも少なくありません。公共事業では、予算が確保できず進捗が見られないという見方が一般的のように思えますが、その課題はあるにせよ、用地確保に時間がかかることは、私自身が議員として関わってきた多くの公共事業に見られる大きな理由でした。

 

 県では10年近く前から、地元要望による事業において、用地確保のめどを立て事業を着実に推進するために、関係する地権者の同意(あくまでも、検討のテーブルに着く)を得て事業に着手する、「事業着手準備制度」を導入しています。

 公共事業の用地交渉は、所管する行政職員が行うというのが通例ですが、地権者にしてみれば、全く顔を合わせたことのない職員よりは、事業の必要性を一番理解し、顔のわかる地域の関係者が説明する方が、比較的話がスムーズに進むのではないかという思惑があります。仕掛けとしては、要望者が地権者の協力が得られるメドを着ければ、その後の予算確保や手続きなども速やかに進められるというもので、要望者にとっても行政にとっても得るものが大きいという制度です。

 

 しかし、この制度は意外に知られておらず、説明をして協力を仰いだとしても、成功した事例は決して多くないようです。関係する地権者が多い場合は、必ずしも事業予定地周辺に住む方ばかりではないので、地域外在住の地権者がいる場合などでは、難航しているようです。

 また、当初はテーブルに着いたとしても、行政と当事者の具体的な交渉の過程で話がまとまらないケースも少なくありません。

 

 昨日、市内2地域のこの事業を導入しようとする関係者の集まりにそれぞれ出席し、具体的な事業内容や事業着手準備制度などの説明をさせていただきましたが、一定の理解を得られた一方で、「地権者交渉は従来、行政がやるものであり地元に押しつけているようだ。」という反発の意見が出ました。

 

 その後、丁寧に説明を加え、納得をしていただいたようにも感じましたが、改めて、関係する地域の住民や地権者など、その公共事業への関心と理解、協力がなければ進めていけない公共事業の課題が浮き彫りとなりました。今後も粘り強く、関係者と議論していきたいと思います。

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