常識について思うこと

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コンテンツ制作の裾野

2008年01月29日 | 独り言

新海誠氏の作品をいくつか観ました。まず、新海氏の才能に脱帽。度が過ぎるほどに綺麗なアニメ。作画だけで、十分に芸術作品だと思います。それから、同時に思ったことは、アニメ制作のための障壁が、着実に下がってきたらしいということです。2002年に公開された「ほしのこえ」は、新海氏が監督、脚本、演出、作画、美術、編集等、ほとんどの作業を一人で行ったといいますが、そのクオリティの高さは異常。2007年の「秒速5センチメートル」にしても、スタッフの数の少なさはあり得ない。昔では、絶対に考えられなかったことだと思います。

実際、テレビの業界が生まれた頃、テレビ番組の制作は、高価な機材や高度な技術を必要とし、極めて特殊な人々に限られていた分野だったのでしょうが、最近では事情が相当変わってきたと思います。例えば、アニメ制作については、元請けと下請け(グロス請け)の制作体制が確立しており、アニメ制作の現場は、大きく下請け会社に移っています。それら下請け会社のうち、実力があるいくつかの会社が元請けをするようにもなってきており、アニメ制作の裾野は、着実に広がってきていると思うのです。これからは、従来の元請け会社の有名無実化が進み、むしろ下請けをしているような会社の方に、コンテンツ制作に必要な才能が集中し、総合的な「コンテンツ制作力」が形成されていくのではないかという思いすらします。また、クオリティの差こそあれ、コンテンツの制作については、現在のPC、ソフトウェア、ネットワーク等の普及により、アマチュアでも活躍できる時代になってきているだろうというのは、「ニコニコ動画」を見ても感じることです。

このようにコンテンツ制作の裾野が広がり、実際に、そういう才能が表に出始めているというのは、これからの日本(産業の活性化)にとって、非常に大切なことだと思います。その意味合いについては、別途整理したいと思います。

いずれにせよ、新海氏の作品のインパクトは、私にとって「驚き」でもありながら、時代の流れの「再確認」でもあったのでした。

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