バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

胃がんの早期診断、できていますか??

2008年11月27日 | 胃X線を受診される方へ
こんばんは。みなさんの現場では、早期診断をしっかりなされていますか??
これを言うと、一般の方からつっこみが入りそうですが・・・。

胃がんを早期診断するのは当然、誰もが重要と考えていると思います。
それは早期の診断が、より命の保証がなされるのが明らかだからでしょう。

ここからは従事者側からの見解について話しますが、撮影者の技量に差が見られるのは、みなさん、賛成!!・・で、よろしいでしょうか??

5mm以下の胃がんを微小胃がんと言ったりしますが、私はすでに数例、微小胃がんを捕えております。胃がんの種類(組織系)にもよりますが、小さな胃がん(2cm以下)は潰瘍瘢痕を伴っていなければ、内視鏡的治療の対象になってきます。


そしてここからが本題です。今日昨日と、早期の胃がんらしきものを捕らえました。
いずれも前年や一昨年にも撮影されていました。

過去の写真を見ると、撮影中には指摘できそうな所見でした。これは私が異常所見に対するチェック能力が高いだけなのでしょうか??当の撮影者本人は、異常とは認識できなかったのでしょう。もちろん読影者である医師は異常なしとしています・・・。

早期の胃がんを臨床診断上で、内視鏡や胃透視で指摘できる期間はおよそ1~2年。または2~3年と言われたりするようです。それを過ぎると一期に、進行がんへと発達すると言われたりします。
前年で発見しても、本年度で発見してもさほど進行度は変わらないかも?しれません。しかし私はやはり、少しでも早期で発見されることが大切だと感じます。

前年での発見とその年の発見との比較で一番やっかいのが、リンパ節転移の有無
だと考えております。確かにがんの浸潤は、発見時のほうが少し進んでいるかもしれません。
しかしながら、胃がんは原発(胃に限局した場合)に留まるのなら、予後は良好のようです。リンパ節への転移や、他の臓器などに浸潤したら厄介です。胃がんを放っておく期間が長いとそれだけ、リンパ節などへの転移リスクが高まります。



今回の結論なのですが・・・。
前年の写真でも、異常所見のチェックは可能なのでは??と感じる症例をここ二日間で2例、出会いました。
チェックは可能ですが、明らかに早期胃がんを写し出しているわけではない症例でした。
しかし、撮影中の透視観察では、わずかなバリウムの弾きや溜まりは、認められていたと感じます。
やはり透視観察がものを言うのではないでしょうか??

勉強会を行って、撮影者の技術統一をめざしてはいますが、中々難しいのが現状です。
そう思いながら、今日も施設全体の写真チェックを行った自分です。



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5 コメント

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透視観察 (マルコ)
2008-11-28 12:36:46
そうですね。透視観察は早期に病変を見つける上で、とても重要な位置を占めていることは間違いないと思います。

僕も透視中頑張って見ているつもりなんですが、本当に何も病変が無かったか検査後に不安が残る時もあります。特に難しい胃形だったりすると撮影でいっぱいいっぱいだったりして‥。
もっと透視観察能力というか撮影中の病変チェック能力を高めていきたいのですが、わずかな時間内に病変を見つける上で、sukikupiさんが普段気をつけているポイントがあれば教えていただけますか?
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透視観察 バリウムをかぶせる (すきくぴ)
2008-11-29 11:37:09
マルコさん、コメントありがとうございます。
結論から言うと、私は普段から胃の内腔を一通りバリウムで流したり溜めたりてしています。それは胃に病変があった場合、そこにバリウムをかぶせれば(二重造影の第2法)病変の凹凸が明瞭に浮き出るのでは??と思うようになったからです。

話は長くなるのですが。私がまだ習いたてのころ、撮影をきちんとできるようになったが、早期胃がんを発見しているとは思えないと考えるようになった時期ががありました。
それは早期胃がんの特徴を知らなかったからです。
これでは追加撮影は行えないと危機を感じました。
それからは200例以上、早期胃がんが写し出されている写真を見ました。
見てて感じたのは、0-Ⅱcがもっとも多い点。そしてがんにバリウムをかぶせさえすれば、がんが浮き出ることに気付いたのです。浅い陥凹のがんも、周囲や内面には凸の部分は存在します。
バリウムを粘膜にかぶせたように、透視していけばがんは捕らえられる!!バリウムを流せば、がんはバリウムを嫌うようにはじく!!という結論に達したのです。
したがって現在ではローリングよりピッチングを重視しています。ピッチングで後壁の粘膜ひとつずつの凹凸をみています。小彎側にも可能な限りバリウムを流しています。胃角部前壁小彎寄りは、受診者的にしんどい体位ですが。
相当、粘膜に厚く粘液が乗っかっていない限り、バリウムを病変にかぶせれば、がんは捕まると思います。

現在、世間的にはローリングが主体ですが、本音をいうと、私はあまりローリングを便りにはしていません。ひとつはバリウムが動いているとき、本人さんが動いていたら小さな凹凸を確認できないからです。だから私はピッチングを多様したり、体位を決めたあと寝台の起倒のみでバリウムの流れを観察します。
こうなってくると、高濃度製剤でなくても、捕まえれないことはない。という話になってきます。

確かに高濃度製剤の恩恵はすさまじいものがあります。しかし凹凸所見に乏しい浅い陥凹の分化型腺がん
は未分化型と違い、高濃度製剤のローリングは不向きかもしれません。これからの高齢社会を考えると、ローリング多様の新撮影法は困難でしょう。
私の施設では事業所検診ではないので、お年の方が多いです。なかなか、ぐるぐるまわれない人が多いですよ。
マルコさん、本当に長くなりました。ひとつの参考意見としてもらえたらと思います。
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ありがとうございました。 (マルコ)
2008-11-29 23:55:27
sukikupiさん詳細なご説明ありがとうございました。
なるほど高齢の方にはピッチング主体で透視観察をなさってるんですね。確かに高齢者の場合ではローリングが難しいことが多々ありますし、そういった場合に透視観察をしようと思ったらピッチングや寝台の起倒を最大限利用してバリウムの流れを観察したらよいのですね。
貴重なご意見として今後の参考にさせていただきます。ありがとうございました。
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マルコさんへ (すきくぴ)
2008-11-30 20:45:53
マルコさん。いつも意見ありがとうございます。
お願いなのですがもしよければ、知り合いの方々にもこのブログを紹介していただけたらと思います。
今日は山口で胃の講習会に参加してきたのですが、改めて胃の撮影者間の技術格差を痛感しました。
精度格差が続く以上。近い将来、胃透視は撲滅してしまう恐れがあります。
今こそ胃透視に携わる放射線技師が力を合わせ、胃透視の精度を全体的に高めることが必要だと感じました。
このブログが全体の精度向上に役立つ場としていきたいと思っております。
よかったら紹介していただきたいと思います。



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了解です! (マルコ)
2008-12-01 03:53:43
ちょうど昨日友人にこのブログのことを話しました。
sukikupiさんの早期胃がん発見に対する熱い想いができるだけ多くの方に伝わればと思います。
どうやったら胃透視の精度を高めていけるのか、そして早期胃がんを見落とさないようにできるのかをみんなで意見しあえる場になったらいいですね。
sukikupiさん毎日の更新大変だと思いますが頑張って下さいね!
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