ひよりの音楽自己満足

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HAMOSVORTEN

2008-03-30 08:29:50 | 21th J-プログレ
 エレキギターであるストラトキャスターに、クラシックギター等で用いるナイロン弦を張ってプレイする、という独創的なギタリスト<中島勝さん>率いるバンド<HAMOSVORTEN/ハモスフォルテン>。このバンドは中島さんとキーボードの<森井克彦さん>と、ドラムスの<伊藤修さん>の3人で2000年5月に結成されました。元々クラシックギタリストの中島さんが新たなる試みとして“バロック、ルネッサンス時代よりのクラシック音楽を現代に蘇らせる”という“輪廻”をコンセプトにはじめたそうです。そして2004年4月にこのアルバム「Ain’t No Progress/非プログレ宣言」を発表しました。メンバーのみなさんは“プログレをやっているつもりはない”そうです。CDの帯には“クラシック、ロック、ジャズ・・・ジャンル分けはあなたが判断してください”と。いったいどんなサウンドなのか、ストラトにナイロン弦ってどんなギターサウンドなのか、ドキドキ・ワクワクです。アルバムはクラシック曲のカヴァーとオリジナル曲が入り乱れています。オールインストです。まず、1曲目は「Prologue」。森井さん作曲のピアノによる美しく爽やかな曲です。素敵な序章ですね。 2曲目は「The Rock」。中島さん作曲の「Purple Haze」を思わせるモロに“ジミ・ヘン”しているアップテンポのかっちょいいロックです。想像よりもハードサウンドですね。これハマりそう。ピアノもアグレッシブでパワフルですね。しかも美しい! 3曲目は「Canon」。「パッヘルベルのカノン」のカヴァーですね。一転して落ち着いた感じでスタート。ゆったりとした綺麗なメロディ、ついつい聴きほれてしまいます。ナイロン弦の柔らかな音がたおやかな曲調にピッタリ合ってますね。ドラマティックなアレンジも素晴らしい。 4曲目は「リュート組曲1番、Boure」。J.S.バッハ作曲。この曲はアレンジなしの元曲をギターで忠実に演奏されています。 5曲目は「リュートのための前奏曲1番、Prelude1」。J.S.バッハ作曲。壮大でダイナミックなサウンドです。ギター・ピアノ・ドラムスのたった3人での演奏とは思えない。 6曲目は「無伴奏チェロ組曲1番前奏曲2番、Prelude2」。J.S.バッハ作曲。草原にそよ風が吹いているかのような、爽やかで心地よいメロディの軽やかな曲ですね。終盤はテンポアップして盛り上がります。 7曲目は「貴族と窮民/The Nobility and the Beggars」。ホルストの火星をモチーフにした力強い曲。ハードなギターサウンド、いいですねぇ。 8曲目は「アルハンブラの思い出/Recuerdos de la Alhambla」。F.タレガ作曲。これも原曲は有名ですね。ゆったりとした叙情的で美しいメロディのこの曲、しみじみと聴き入ってしまいます。 9曲目は「Asturias」。I.アルベニス作曲。悲壮感漂うフレーズの力強い曲。中盤にはテクニカルなドラムソロもちょこっと。そしてジャジーなピアノも。この曲では中島さんがあるストーリーを描いたそうです。ダム建設予定の誰もいなくなった村。いつしかそこには鬼が棲むようになったとか。鬼がたまたま見つけた太鼓を叩いていると、いつしか道祖神や先祖の霊も集まって、村祭りの様相に。そのころ都会では役人と業者の癒着が発覚してダム建設が中止になったとか。“祭りの精霊と鬼太鼓”という設定だそうです。なんとなく“ゲゲゲの鬼○郎”のストーリーみたいですねぇ。 10曲目は「Cavatina」。S.マイヤーズ作曲。映画「ディアハンター」に使われていた曲だそうです。たまたまその映画を中島さんが観てこの曲をやろうと思ったとか。ゆったりとしたたおやかなメロディの曲です。スタジオライブのワンテイクものだとか。曲の終わりには観客の拍手とアンコールを求める手拍子が。それに続く11曲目は「Encore Ain’t no Progress」。この曲だけは実際のライブを収録したものです。ワンポイントマイクでの録音ということでややこもった音ですが、めっちゃテクニカルなアツい演奏を聴かせてくれてます。まったくのアドリブでのジャズ的インプロビゼーション合戦だったそうです。 ベースレスということもあって、ちょっぴり軽さというか重みが足りないな、ベースがほしいな、と思うところもありましたけど、素晴らしいアルバムだと思います。ちなみに中島さんはピックを使わず、爪を長く伸ばした指で弾いているそうなのですが、レコーディング直前に爪が割れてしまって、コンディション的にはあまりよくなかったそうです。
 バンド名の“HAMOSVORTEN/ハモスフォルテン”とは、クラシックというキーワードから、ドイツかどこかの地名っぽいのですが、そうではなくて、一説には大衆酒場で“ハモの天ぷら”で一杯やりながらバンドのことをいろいろと語り合っていて、そのときに“ハモの天ぷら”をドイツ語風にもじって“HAMOSVORTEN/ハモスフォルテン”にした、という説とか?ちょっと無理があるような気もしますけどね。でも裏ジャケの通り、バンドの原点は酒場にあるのかも?ちなみにジャケットの“ピンクの象”は、“ヨッパライ”の意味もあるとか。 
これまでベースレスのお3方で活動されていましたが、2005年3月に中島さんが某焼き鳥屋でベーシストの<奥田陽康さん>と出会い、5月から奥田さんを加えた4人で活動しているそうです。いつかライブを見てみたいものです。

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