ひよりの音楽自己満足

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クニ河内と彼の友達 切狂言

2010-04-05 21:45:16 | 70's J-Rock
 先日、アメリカ・カナダ・オセアニア・日本という環太平洋各国のプログレアルバムを紹介している本を購入しました。その中で非常に興味深いアルバムを発見。それが今回紹介させていただく1970年に発表された<クニ河内とかれのともだち>の「切狂言」というアルバムです。
 <クニ河内さん>は、1964年に実弟の<チト河内さん>等と<サンライズ>というバンドを結成されます。66年に<ミッキー・カーチスさん>にスカウトされて上京し、翌67年にバンド名を<ハプニングス・フォー>とし、当時では珍しいギターレスのGSバンドとして注目を集め、活躍されます。
 その活躍中の70年に発表されたのがこのアルバムです。“かれのともだち”とは、なんと当時「エニウェア」を発表したばかりの<Flower Travelin Band>のヴォーカリスト<ジョー山中さん>と、ギタリストの<石間秀機さん>が参加されているんです。他にベーシストの<ペペ・ヨシヒロさん>と、ドラマーの<チト河内さん>も。さらにプロデュースはかの<内田裕也さん>なんです。興味深いのは当時“英語ロック”を提唱して実践していた内田さんとFTBですが、このアルバムではジョーさんが日本語の歌詞で歌っているんです。いったいどういう経緯でこのアルバムが制作されたのかわかりませんが、聴くのがとても楽しみです。
 アルバム1曲めは「切狂言(芝居小屋の名役者)」。斬りかかるような鋭いギターリフとオルガンの音色からミドルテンポではじまって、ヴォーカルとギターフィルが掛け合いのように絡み合って。切れ味よいナチュラルオーバードライブのギターサウンド、力強いヴォーカル、めっちゃかっくいいっす。
 2曲目は「人間主体の経営と工事」。ミドルテンポのちょっぴりファンキーなギターリフからはじまって、哀愁ただよう伸びやかなヴォーカルが。歌メロはニューミュージックっぽいかな?ヴァース間には力強いギターソロが。中盤では一旦Finしたあと、暗く重いピアノソロが。そして再び元の曲調に。
 3曲目は「タイム・マシーン」。テクニカルなドラムからアップテンポではじまって、ヴォーカルとブルースハープの掛け合いが。その後リズムが止まって、オルガンやギター・ドラム・ピアノの音が暗黒空間を彷徨って。神秘的な雰囲気です。そして再び元の曲調に戻るも、またリズムが止まって様々な音が暗闇を浮遊するアヴァンギャルドな世界に。タイトルからしてこれが異次元の世界を表現しているんですね。
 4曲目は「おまえの世界へ」。浮遊感のあるピアノリフとギターサウンドが優雅にながれて。そしてそれが徐々にダークになって寂しげなヴォーカルがゆったりとはいって。しっとりとしたバラードですね。中盤からミドルテンポのリズムがはいって徐々に盛り上がっていって。とってもメロディアスでドラマティックな曲です。
 5曲目は「恋愛基地」。美しいピアノリフからシタールのような音色がながれ、そして深い味わいのヴォーカルがはいって。どことなくチャイナ風な妖しい感じですね。後半はドラマティックに盛り上がり、シタール風のソロも。終盤ではハイトーンで情熱的に歌い上げて。
 6曲目は「女の教室」。ミドルテンポのパーカッションのリズムにのってシタールの音色がながれ、そして力強いヴォーカルがはいってメロディアスに歌い上げます。ヴァース間とラストにはシタールソロも。
 7曲目は「男から女を見た科学的調査」。様々なパーカッションの音色をバックに哀愁ただようヴォーカルが。サビではアップテンポのリズムがはいって軽快な曲調に。
 バンド名からすればクニ河内さんが主役のはずなのですが、ほとんどジョーさんのヴォーカルと石間さんのギターが主役になってますね。ジョーさんの表現力豊かで力強いヴォーカル、石間さんの鋭いギターサウンドと妖しいシタールサウンドによるエモーショナルなフィル&ソロ、めっちゃ聴き応えありますね。もちろんお二人が生き生きと演奏されているのはコンポーザーとしてのクニ河内さんの手腕によるものでしょう。
 他のレビューサイトによれば、前半が“若者の人生観”を、後半がクニ河内さんの“個人的な女性観”を表現されているそうです。
 <ハプニングス・フォー>は72年に解散。その後クニさんは作曲・編曲家としても活躍され、72年には歌謡祭で作曲者グランプリを受賞。さらに研ナオコさんの「あばよ」でレコード大賞編曲賞も受賞されます。また子供向け音楽番組にも出演し、曲も手がけて人気を博します。そのた、TV番組やCMの曲も多数てがけられます。
 2001年には<ハプニングス・フォー>が再結成され、そして2003年にはジョー山中さん・石間秀機さん、さらに森園勝敏さんも参加されてこの「切狂言」の再現ライブも行われたそうで。
 さらにクニさんは1994年よりマリンバ奏者の<野田美佳さん>とコンビで子供向け音楽を多数制作され、国内にとどまらず海外でも演奏活動をして世界中の子供たちを歌やおしゃべりで楽しませていらっしゃるようで。

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