ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

Love Live Life +1

2009-04-23 07:00:39 | 70's J-Rock
 <フード・ブレイン>でかっちょいいオルガンサウンドを聴かせてくれた<柳田ヒロさん>の参加されたアルバムをたどっていくうちに、ちょっとビックリするくらいの非常に興味深いアルバムを発見しました。(柳田ヒロさんのソロアルバムはまたの機会に紹介させていただこうかと。) それが1971年に発表されたこの写真の<LOVE LIVE LIFE + 1>というプロジェクトの「Love will make a better you」です。
当時、某Kレコード社では先鋭的なJAZZミュージシャンを紹介していく「ニュー・エモーショナル・シリーズ」という企画を進めていて、<LOVE LIVE LIFE>はその様々なセッションのなかで生まれたプロジェクトの1つであったようです。SAXの<市川宏祐さん>が中心となって、キーボードには前述の<柳田ヒロさん>、ギターには<水谷公生さん>、元シャープス&フラッツの<直居隆雄さん>、ベースには売れっ子セッションプレイヤーの<寺川正興さん>、ドラムはパプニングス・フォーの<チト河内さん>、フルート&SAXには<横田年昭さん>、そして残るはヴォーカリスですが・・・<LOVE LIVE LIFE + 1>の、その<+ 1>とは・・・
 当時すでに「霧の摩周湖」等、ヒット曲を連発し、紅白にも出演し、一流歌手の仲間入りをしていて大人気の<布施明さん>なんです。これにはビックリ!のちに大ヒットする永遠の名曲「シクラメンの香り」など、バラード系というかダンディな雰囲気で、ロックよりもむしろシャンソンのようなイメージを勝手に描いていたんです。でもあたらめて考えてみると布施さんのヴォーカルって表現力もさることながら声が太くて声量もありパワフルですからロックもハイレベルでこなせることでしょう。でもなぜすでにトップ歌手だった布施さんがこのプロジェクトに参加したのかは明確にはわからないそうです。ただ、当時、布施さんのバックバンドを同じレコード会社のこの<LOVE LIVE LIFE>のメンバーがやっていた、という縁での話とか、一説には当時のこういうロックを歌えるヴォーカリストが少なかった、だから<フードブレイン>はインストにした、という話もライナーノーツに書いてありました。ロックの歴史の浅い当時の日本ですからいたしかたないところでしょうか。
 早速聴いてみると・・・1曲目は17分にも及ぶ「The Question Mark」です。この曲の前半はリズムもメロディもコードも存在しない、メンバーが互いにけん制しあいながらフリーに弾き、叩き、吹き、といった前衛音楽です。後半にはベースとドラムがリズムを刻みはじめてそしてやっと待望のヴォーカルが!ところが、エフェクトかけすぎなのかめちゃハイでしかも音が割れていて誰だかわからない。しかも狂ったように叫びまくっていて、この曲ではヴォーカルがあの布施さんとは信じられなかったです。ヴォーカルのあとはリズムにのってギター・キーボード・ベース・木管のインプロビゼーションバトルが繰りひろげられてます。
 2曲目は3分強の「Runnin’ Free」です。映画音楽のような、ビッグバンドジャズのようなスケールの大きな感じで、ここでは布施さんと確認できる、聞き覚えのある布施さんのトーンでのヴォーカルがちょっぴり楽しめます。演奏のほうはトランペット・フルート等のホーンセクションが目立ってますね。間奏にちょこっとベースソロが。
 3曲目はアップテンポのハードロックのタイトル曲「Love Will Make a Better You」です。ファンキーなリズムにのったちょっとエフェクトのかかったシャウトヴォーカルも、ハードなファズギターも楽しめてかっちょいいっす。
 4曲目は8分強の「Shadows of the Wind」です。オペラチックなこの曲。序盤ではこれぞ布施明!って感じの太いディープヴォイスが印象的です。演奏は狂っているようで合っているようでといった不協和音的ですね。中盤にはアップテンポのハードロックが楽しめ、終盤で再びオペラ調になってエンディング。
 5曲目はヘヴィブルーズの「Facts About it All」です。ここで布施さんはこれまで聴いたことのないようなダーティヴォイスでヘヴィにシャウトしていて、それがまたすごいかっこいいのよね。
 オリジナルのアルバムはこれで終わりなんですけど、CD化されたときにボーナストラックとして1曲追加されています。それは71年の3月31日に日生劇場で行われた布施明さんのコンサートのライブ音源から「Love Will Make a Better You」が収録されています。バックメンバーはこの<LOVE LIVE LIFE>のメンバーだそうです。MCから収録されていてそれがいかにも、て感じのやりとりが。
布施「ここで「Love Will Make a Better You」という曲を歌います。この曲はコーラスから始まるんですけど・・・ごらんの通り、ステージにはコーラスのひとは居ません。なのでお客さん皆さまに手伝っていただかなくてはならないんです。いいですか?・・・では私が歌いますからあとについて歌ってください。はい!♪ラ~ラ~ラ~ ・・・
(お客さんの声が小さい。しかも笑い声が聞こえるし。)
布施「これはコーラスが出ないと曲が始まらないんです。この調子でいきますと一晩中かかってしまいます。もっと大きな声で歌ってください。2階のひとも見えてないと思っていては大きな間違いですよ。私はみんな見えるんですから!」
お客「うそぉ~!」
布施「うそって、なんですか?」
お客「だって近眼なんでしょ!」
布施「近眼っていうのは、あの・・・・・・実をいうと全然見えないんですけど・・・」(大爆笑!)
布施「でも見るというのは目だけじゃないんです、心で見ているんです!なぁ~んてキザなこと言ったりして。」(再び爆笑!)
布施「もう一度いってみたいと思います。♪ラ~ラ~ラ~、写真撮ってる場合じゃないよ!♪ララララ~、お母さんひとつよろしくお願いします!♪ラ~ラ~ラ~・・・」
ロックとはかけ離れた歌謡ショーの世界ですね。
でもバンドが入って演奏が始まるとそれはもう別世界!バリバリのハードロックが展開されます。なんといっても布施さんのヴォーカルが凄い!のちのジャパメタ系のヴォーカリスト以上にワイルドでパワフルなヴォーカルで、ハスキー気味のシャウトなんて凄い迫力!先ほどのお客さんとのゆるいやりとりが信じられないくらいです。演奏もめっちゃドライブしていてギターもベースもホーンセクションも超かっこいい!まさにあの時代のハードロックですね。凄いっす。
 このアルバムは90年にCD化されるまで、80年代には中古レコードに¥40000-.もの値がついていたそうです。海外ではブートも出回っていたとか。このCDは98年にあらためてマスタリングされて発売されたものだそうで、自分は2年前に某オクで定価の倍近い値で手に入れました。が、2009年にこのアルバムは紙ジャケ仕様で再発されました。早まったかなぁ・・・ま、しゃーないっす。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。