ひよりの音楽自己満足

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プログレッシブロック・ルネッサンス

2009-07-26 08:00:11 | ジャパン・プログレ
 先日は<水鏡/みずかがみ>と<月兎/つきうさぎ>が出演した「アートロック・フェス」というプログレ系バンドのイベントを観にいったんですよね。で、そのあとライブレポを書いたわけなんですが、そのときにふと思ったのが、その2つのバンドの元である90年代に存在したプログレバンド<PEDIMENT>のアルバムってないのかな?って。で、ちょっと検索してみたら、フルアルバムはないようなのですが、2曲ほど収録されているコンピレーションアルバムはあるようなので速攻で手にいれました。1998年にPRRから発売された「Progressive Rock Renaissance」です。光差し込む廃屋のなかに光る裸体の女性が。なんか意味深なジャケットですねぇ。このコンピレーションアルバムには当時頭角を表わしていた新鋭の5つのバンド<Triton><θ-theta-><PEDIMENT><HEAD POP UP><Seilene>のスタジオレコーディングの曲が1-2曲づつ収録されています。

<Triton>は、1991年にキーボードの<MIKAさん>、ベースの<中島昇さん>、ドラムスの<宮川ユキヒロさん>の3人で結成されたキーボード主体のEL&Pタイプのプログレバンドで、結成以来、精力的にライブ活動を重ねていったそうです。今回収録された曲は97年11月から98年1月にかけてレコーディングされた音源だそうです。
 まずは「CANAAN」。とっても爽やかで綺麗なシンセサウンドがゆったりと幻想的に響き、そしていきなりダイナミックでパワフルなリフがきてビックリ!そして変拍子リフにのってややハスキーな力強いヴォーカルが。メロディアスなハードロックって感じですね。間奏では壮大なシンセサウンドが響き、その後静かになって美しいピアノソロが。そこにオーボエのような音色がたおやかにながれ、そこにシンセサウンドが加わって徐々にダイナミックになってドラマティックな展開をみせます。そしてほのぼのとするような心地よい優しい感じのメロディや、明るくきらびやかで楽しいメロディも。ヴァースのあとの終盤にもパワフルなリズムにのってエモーショナルなキーボードソロ、アグレッシブなオルガンソロが。
 次は「UNREAL LOVE」。パワフルでスリリングなリフからいきなりはじまります。そしてミステリアスなリフにのってパワフルなヴォーカルが。キャッチーな感もあるハードロックですね。間奏はまずダークでミステリアスな雰囲気からはじまって、パイプオルガンの重厚なサウンドが響き、そしてアップテンポのリズムにのってソフトなキーボードサウンドが心地よく響き、そのあとアグレッシブなシンセソロへ。バックではベースが力強くうねってます。ラストはダイナミックに盛り上がってFin。
 この後バンドは宮川さんが脱退し、それからドラマーが何度も代わっていき、2005年にはGERARDや人間椅子やARS NOVA等で活躍された後藤マスヒロさんが参加されます。MIKAさんは99年から2002年までARS NOVAでも活躍されました。今現在のバンドのことはちょっとわからないっす。

<θ-theta->は、マニアの間では故・蝋山陽子さんが在籍されたバンドとして知られていますが、今回収録されている曲は、蝋山さんが加入される以前の1997年2月から3月にかけてレコーディングされた音源です。メンバーはキーボード<土屋裕子さん>、ベース&ヴォーカル<川上一人さん>、ドラムス<原田直幸さん>、ヴァイオリン<美ノ辺純子さん>、そしてゲストヴォーカルには<タマオさん>が参加されています。
 まずは「Footprints」。ゆったりと静かにベースの叙情的なメロディがながれ、そこにヴァイオリンの艶やかで美しい調べが加わって。そこにとっても素朴で可愛らしい女性ヴォーカルが語り口調のような感じではいって。そしてサビでは天使のような美しい歌声を。間奏ではテンポアップして軽快なリズムでテクニカルなヴァイオリンソロが。その後リズムが止まり、空間に様々な音が浮遊するような感じに。そしてミドルテンポのリズムがはいってテクニカルなキーボードソロが。バックではベースも自由に弾きまくってます。ソロバトルのような感じですね。それが終わると元のゆったりとした優しい雰囲気になって可愛らしいヴォーカルがはいって。そしてドラマティックなエンディングを迎えます。
 次は「Afternoon Sunlight」。キーボードからゆったりと静かにはじまり、そこに艶やかなヴァイオリンサウンドが響き、そしてシャンソン風の色っぽくもしっとりとしたヴォーカルがはいって。シンバル一発のあと、ゆったりと艶やかなヴァイオリンの音色がドラマティックに響いて。そしてそこに透明感のある綺麗なキーボードサウンドが加わってより美しく展開していって。ピアノの調べとヴァイオリンのフィンガーピッキングの音色も。ラストは美しい歌声が響いてFin。
 タマオさんは現在、ソウル系のヴォーカリストとして活躍中のようですね。

<PEDIMENT>は、バンドの詳しいことは全くわかりません。このアルバムの収録曲は98年の3月から8月にかけてスタジオでレコーディングされた音源です。メンバーは現在<水鏡>で活躍されているお2方、キーボード<阿南順也さん>、ドラムス<神山敬太さん>、そして現在<月兎>等で活躍されているお3方、ギター<村上ツネヒロさん>、ベース<小林タツヤさん>、ヴォーカル<ヤマガタ・ノリコ(麗奈)さん>です。
 まずは「旅の途中」。パワフルなベースリフからはじまって、歯切れのよいミドルテンポのビート、そしてヘヴィなギターリフが。ミステリアスな雰囲気のなか透明感のある中高音域のクリアで美しいヴォーカルがはいります。間奏まずは美しいキーボードサウンドのリフ、そしてベースリフをバックに幻想的なシンセサウンドが響いて。和風のしっとりとした音色、いいですねぇ。その後はギターのハードサウンドのアグレッシブなソロが。バックでは強風吹きすさぶ効果音も。終盤再びパワフルなリフにのってヴァースに戻ってピュアでクリアな美しいヴォーカルが。ラストは幻想的にしっとりとFin。
 次は「花見酒」。水鏡の2ndアルバムに収録されている曲の元曲ですね。パワフルでダイナミックなリフからはじまって、キーボードのリフからアップテンポの楽しい雰囲気に。ヴァースにはいると透明感のあるサウンドになってピュアなヴォーカルが。その後静かになって笙のような音色が響き、そこに鐘や太鼓の音が加わって平安調の調べが響き、ガットギターのアルペジオのリフレインとフルートのような素朴な音色がしっとりとたおやかにながれて。その後ミドルテンポのリズムがはいって叙情的な雰囲気に。そこからけだるい感じの艶っぽいヴォーカルがしっとりと。それがドラマティックに盛り上がっていって、和歌を紡ぐような歌い方でおごそかな感じに。その後アップテンポのリズムがはじまって明るく楽しい感じになってキーボードソロが。そして再びピュアなヴォーカルのヴァースへ。パワフルなギターリフときらびやかなキーボードサウンド、そしてそのままギターソロ、シンセソロと交互に続き盛り上がっていきます。ラストは一旦Finしたあと再び変拍子リフがはいってFin。
 和風のシンセサウンドや情緒たっぷりの展開、ほんと素敵です。それが現在は水鏡で堪能できるわけですね。そして麗奈さんのヴォーカル、素晴らしいですね。とっても美しくピュアでクリアでしかも繊細ながらも厚みも感じられて。PEDIMENTにも月兎にもいまだにフルアルバムがないのは残念です。

<HEAD POP UP>は、以前アルバムを紹介させていただいたので、曲もそのアルバムの収録曲ということもあり、今回は割愛させていただきます。すみません。

<Seilene>は、96年にキーボードの<竹内昌弘さん>が復帰されてリ・スタートされたそうです。その後ライブ活動を重ねて活躍されます。今回の収録曲は97年1月から5月にかけてスタジオでレコーディングされた音源です。メンバーは、ヴォーカルの<嶋崎琢也さん>、ギターの<工藤勉さん>、ベースの<工藤真さん>、ドラムスの<川渕裕滋さん>、そして竹内さんの5人編成です。
 曲は「希望なき未来」。いきなりパワフルで青春を感じるかっこいいヴォーカル&コーラスからはじまって、そして哀愁を感じるエモーショナルなギターソロが。そして美しいピアノのリフレインにのってメロディアスで力強いヴォーカルが。再びギターの哀愁フレーズがながれたあとヴァースへ。その後ちょっと篭った感じのサウンドのギターソロ、そしてパワフルに歌い上げるサビ、さらに情感たっぷりの泣きのギターソロが響いて。その後ヴァースに戻り、ドラマティックに歌い上げ、エモーショナルなリフがながれて。そしてそこからアップテンポのギターリフにのってハイポジションのベースソロが。その後パワフルなドラムにのってメロディアスかつエネルギッシュなギターソロ、アグレッシブなオルガンソロと続いて、ユニゾンのリフも。ラストは劇的ににもりあがって。10分近くのドラマティックな大作ですね。
 バンドはその後、2000年に待望の1stアルバムを発表し、コンスタントにライブ活動を続け、現在も活躍中のようです。