ひよりの音楽自己満足

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Ring 1

2009-07-14 21:41:01 | 新月・Asturias系
 <新月>のライブにサポートキーボード奏者として参加された<小久保隆さん>が70年代中期に組んでいたプログレバンド<RING>。その頃録音された音源が30年の時を経て2006年にCD発売されました。
※以下の文はアルバムのライナーノーツを参考にさせていただきました。
 <RING>は、小久保さんが大学の仲間らと当時組んでいたバンドだそうです。小久保さんは高校の頃からEL&Pのコピーバンドをやっていたとか。メンバーはドラムス&ヴォーカルが小久保さん、ギター<近藤正人さん>、ベース<浜田洋さん>、キーボード<森重行敏さん>の4人です。今回収録された曲は「魔術師の帝国」というオリジナルの5曲組の組曲で、コンセプトの元になったのは当時小久保さんがハマっていたC.A.スミス氏の小説の同タイトル「魔術師の帝国」だそうです。
 その発案のきっかけとなったのは、当時から交流のあった小久保さんの高校の1年先輩の津田さんと高橋さんが当時活動していたバンド<HAL>(新月の前身)のリーダーだった鎌田さんの世界観に影響されたそうです。
 ちなみにこの組曲「魔術師の帝国」は76年の某音楽雑誌主催のバンドコンテストで入賞をはたしたとか。
 アルバム「魔術師の帝国」。1曲目は「Prologue」。うねるようなサウンドからダークにミステリアスになじまって、そしてドラムインとともにパワフルでダイナミックなリフがはいって。そして一旦リズムが止まって再びうねるようなサウンドが響いたあと、パワフルなリフが。その後一旦Finしたあと、ゆったりと抒情的なキーボードサウンドが響き、そしてけだるい感じのヴォーカルがはいって。間奏ではエモーショナルなギターサウンドが響いて。続いては透明感のある綺麗な音色のキーボードソロが。そしてヘヴィなギターリフがパワフルなドラムとともにはじまって、アップテンポでスリリングなフレーズが響いて。それがドライブ感たっぷりになって、フレーズの間にちょこっとソロを絡ませたり。どんどん展開していくドラマティックな曲ですね。
 2曲目は「The White Sybil/白い巫女」。強風吹きすさぶ嵐の音からはじまって、ゆったりと綺麗なキーボードサウンドが響き、それとともに幻想的な感じのヴォーカルがはいって。コーラスもいい感じですね。ゆらゆらと見える砂漠の蜃気楼のような雰囲気でしょうか。中盤からハイテンポのドラムがはいって、まずはテクニカルなキーボードソロが。そしてバックではエモーショナルなギターソロが。ドラムも叩きまくっていて、激しいバトルを展開していきます。
 3曲目は「piano solo」。タイトル通りの美しい音色のテクニカルな短いピアノソロ曲です。
 4曲目は「The Desolation of Soom/スームの砂漠」。ゆったりとした抒情的なピアノソロからはじまって、そこに哀愁ただようギターフレーズもはいって。たおやかでしっとりとしたサウンドが朗々とながれて、ラストも静かにFin。
 5曲目は「Magic Lady」。ヘヴィでダイナミックなリフから盛大に力強くはじまって、そしてゆったりとエモーショナルなギターフレーズが響き、パワフルなヴォーカルがはいって、ドラマティックに盛り上がっていきます。美しいバラード曲ですね。間奏まずはハードでエネルギッシュなギターソロが。続いては躍動感溢れるドラムをバックにテクニカルなキーボードソロが。ドラムだけでなくベースもうねりまくってます。ラストはダイナミックでパワフルなリフが盛大に鳴り響いて劇的なフィナーレを迎えます。

 このアルバムにはボーナストラックとして76年の<RING>解散後に小久保さんが活動された<KOKUBO SYNTHESIZER WORKS>というユニットの2曲が収録されています。当時小久保さんは<バッハ・レボリューション>というシンセバンドにも参加されていて、シンセの多重録音にハマっていたそうです。今回収録された曲では小久保さんはアレンジやエンジニアを担当されて、実際にシンセを演奏しているのはメンバーの<松本かよさん>だそうです。
 曲は<HAL>のレパートリーである2曲です。小久保さんは<HAL>の録音なども手伝っておられたそうで、HALの曲の大ファンでもあったことから、今回収録のHALの曲をシンセでアレンジしてみたいと考えていたそうです。しかし曲中間のギターソロだけはシンセでは難しいので、津田さんに弾いてもらったとか。そして今回収録された曲は77年末から78年にかけてレコーディングされたそうですが、ドラムトラックだけがレコーディングされないままお蔵入りになっていたので、CD化を機に2006年にあらためてドラムをレコーディングして録音済みのトラックとミックスしたそうです。
 アルバム6曲目は「The Star of Sorrow/悲しみの星」。流れ星がキラキラと光って通りすぎていくかのようなサウンドからはじまって、そしてどこか懐かしいような抒情的なサウンドが静かにながれて。しっとりとした感じの幻想的な曲ですね。中盤からはミステリアスな雰囲気になり、オーボエのようなサウンドが響いたあと、重く暗く力強い音がズンズンと響いて。
 7曲目は「In Memory of Charnades the Pain/魔人カルナデスの追憶」。アップテンポのダイナミックなリフからいきなりはじまって、パワフルでとっても楽しいカラフルなサウンドがいっぱいに響きます。とっても勇ましくて聴いていると元気がわいてきますね。テーマメロのあと、まずはエモーショナルなギターソロが。その後一旦リズムがとまってスペーシーでダークで神秘的な雰囲気に。そして抒情的なサウンドがゆったりとながれ、荘厳なオルガンサウンドが静かに響きます。終盤では再びダイナミックなリフがパワフルに元気よく鳴り響いてFin。楽しいシンセサウンド、どことなく後に大ヒットするYMOの原点も見えてくる感じですね。
 このアルバムが発売された2006年には津田さん・高橋さん・小久保さんも参加された<新月>の再編ライブもあり、機運も高まって、HALのメンバーとRINGのメンバーが合体して<HAL & RING>として活動をはじめます。