ひよりの音楽自己満足

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高津昌行さん 1

2009-07-12 07:41:56 | 新月・Asturias系
 日本を代表するプログレバンド<新月>の前身バンドでもある、花本さん・北山さん・鈴木さんが在籍したバンド<セレナーデ>。そのギタリスト<高津昌行さん>のソロアルバム「信号」が2009年5月に発売されました。三日月の夜空のジャケット、趣があっていい感じですねぇ。このアルバムには1978年から83年にかけてレコーディングされた曲と、2008年に新たにレコーディングされた曲、計10曲。それとボーナストラックとして1976年のセレナーデの未発表曲2曲と、「科学の夜」に収録された曲の別テイクが収録されています。
 このアルバムを見てビックリしたのが・・・日本ヘヴィメタルの仕掛け人“メタルゴッド”<伊藤政則氏>のコピーが帯に書いてあったんですよね。なんでジャパンプログレアルバムにメタルゴッドが係わってるの?って不思議に思いました。そして封を切ってアルバムのライナーノーツを見てみると、セーソク氏が一筆寄せていてさらにビックリ。そこにはしっかりと高津さんとの交流史が記載されていました。メタルブーム以前のセーソク氏のことは全く知らなかったもので、その内容に「へぇ~、そうだったんだぁ~」って。詳しい内容までは書かないでおきます。
 さらにライナーノーツには花本さんも一筆寄せておられ、高津さんの曲解説のフォローも。めっちゃ読み応えあります。
 参加メンバーは花本さん、北山さん、鈴木さん。そして鈴木達哉さん(Ds.)、小松博吉さん(Ds.)、渡部高明さん(Bs.)、藤田秀さん(Ds.)、関根一樹さん(Piano)、西原秀範さん(Bs.)です。
 アルバム1曲目は「冬のランプ」。77年に書かれた曲で、セレナーデ解散後の不安な時期に、この曲を書き上げたことで将来に自信がもてたそうで。花本さん絶賛の曲です。Let it beを彷彿とさせるピアノリフからはじまってギターの哀愁たっぷりのリフが。そしてしっとりとしたしみじみしみわたるようなヴォーカルはいって、サビはドラマティックに盛り上がって。間奏は情感たっぷりのメロウなギターソロが。なんかジーンとくる素敵な曲ですねぇ。あの頃のフォークソングを思い出します。
 2曲目は「抱きしめたい」。82年に書かれた曲で、敬愛するThe Beatlesへの恩返しに同名の曲を作ったのだとか。お琴のような音色のミドルテンポのゆったりとしたリフから情緒たっぷりにはじまります。しっとりとした優しいメロディのヴァース。♪ボンボンってベースの音もいいなぁ。サビはささやかなラブソングって感じかな。とっても温かく、ほのぼのとした感じがたまらないっす。
 3曲目は「悪魔のトリル」。78年頃に書かれた曲だそうです。ゆったりとしたメロディアスなギターリフからはじまって、哀愁ただようヴォーカルがはいって。そしてドラマティックに盛り上がります。間奏では一旦リズムが止まって幻想的な雰囲気に。そしてリズムがはいってエモーショナルなギターソロが。ちょっとこもった感じの音色もいいですねぇ。
 4曲目は「信号」。83年頃に作られた曲で、今回再レコーディングされたそうです。マンドリンのトレモロ奏法のようなイントロからはじまって、ほのぼのとするようなゆったりとしたヴァースが。とても優しく暖かみを感じる曲ですね。間奏ではドラマティックなキーボードソロが。
 5曲目は「クルミの中はミルクティー」。81年に作られた曲だそうです。軽快なギターリフからはじまる、アップテンポの明るく爽やかなポップロック。サザンロックのようなロカビリーのような曲調ですけど、歌は青春ロックですね。間奏はきらびやかなキーボードソロ、終盤にはエモーショナルなギターソロが。
 6曲目は「プレリュード:ウィスコンシン州ポートバーグ」。哀愁ただようゆったりとしたアコースティックギターの短いインスト曲。どことなくHotel Californiaのイントロを思い出しますねぇ。
 7曲目は「フェンへ」。83年頃の曲で、漫画家:樹村みのりさんの漫画に感銘を受けて作曲されたそうです。いきなりミドルテンポのフォーク調のヴァースからはじまります。ほのぼのとした感じで、歌詞をじっくり聴き入ってしまう曲ですね。
 8曲目は「ノクターン」。80年に作られた曲で、今回再レコーディングされたそうです。ゆったりとした哀愁ただよう素朴な感じではじまります。中盤からはドラムがはいって曲に厚みと力強さが加わって。終盤にはメロディアスでエモーショナルなギターソロが。めっちゃドラマティックに盛り上がります。ラストはしっとりとFin。
 9曲目は「燃え尽きた心に残るものは」。78年に作られた曲だそうです。アコースティックギターのメロウなリフからはじまって、ゆったりとした素朴な感じの曲調に。叙情的な雰囲気もあるしっとりとしたフォークソングですね。
 10曲目は「海にとけこんで」。79年にセーソク氏の依頼で作曲されたそうです。エモーショナルなギターソロからゆったりとはじまって、メロウなヴォーカルがはいって。美しくドラマティックなバラードソングですね。間奏は綺麗なピアノソロ、続いてメロウなギターソロが。終盤にも感動的なギターソロがたっぷりと。 
 11曲目は「組曲“夜話”強い光~悪夢~川に沿って歩いて」。76年のセレナーデの未発表曲です。パイプオルガン調のゆったりとした荘厳な雰囲気からはじまって、ギターリフとともに抒情的なヴォーカルが。それが徐々に盛り上がっていきます。複雑でアラビアンなリフのあとはゆったりとほのぼのとしたキーボードのフレーズがながれ、ギターソロも。メロディアスなサビのあとは突然曲が止まってそしてダイナミックなリフとダークで神秘的なリフが交互に。♪ドッテテドッテテってベースラインが印象的ですねぇ。ラストはゆったりとほのぼのと。でも電子音が鳴り響いたり。
 12曲目は「オリュンボスの落日」。同じくセレナーデの未発表曲で、この曲の完成を待たずしてセレナーデは解散してしまって、歌詞が仮歌のままなんだだそうで。メロディアスなフレーズからゆったりと静かにはじまって、抒情的なギターソロが。そしてか細いしっとりとしたヴォーカルがはいって。中盤はシンバルロールからダイナミックなドラムとスペーシーなシンセが入り、ドラマティックに盛り上げていきます。その後再び静かになってメロトロンの音色が静かに響き幻想的な雰囲気になるも、徐々に盛り上がっていってスペーシーなシンセソロが。パワフルなドラムとともに劇的に展開していきます。
 13曲目は「回帰」。アルバム「科学の夜」に収録されたものとは別テイクだそうです。ハイハットから静かにはじまって、そしてダイナミックでドラマティックなリフが入って。ヴァースは静かにしっとりとしたヴォーカルがはいって情緒溢れる雰囲気に。間奏まずはエモーショナルな泣きのギターソロが。バックのベースラインもキーボードもいい感じだしてますねぇ。終盤は劇的にドラマティックに展開していきます。エモーショナルなギターソロもあり、めっちゃ盛り上がってFin。
 ソロ曲はプログレというよりも、まさに70年代後半のあの頃のフォーク&ニューミュージックって感じでしょうか。なにかとても懐かしく、しかもほのぼのとした感じの曲も多くて、すっかり聴き入ってしまいました。中盤のポップロックもいいアクセントになってますね。そして終盤のボーナストラックのセレナーデ曲はまさしく新月の世界ですね。情緒たっぷりのドラマティックな和風プログレ。最高っす!アルバム発売を機にライブとかないのかなぁ・・・