ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

スペース・サーカス 2

2008-05-06 07:44:51 | フュージョン
 1stアルバム発表のあと、山際さんが音楽性の違いから脱退してしまいます。岡野さんはその頃シンセの魅力にハマり、バンドの音楽性もプログレ寄りになったとか。山際さんはどちらかというと作曲・編曲方面で、キーボードもピアノ系を好まれていたそうですね。そこでバンドは新たなキーボード奏者に、ヴァイオリニストでもある<豊田貴志さん>を迎えることに。岡野さんはベースの他、ベースペダルやギターシンセも用いるようになり、小川さんもそれまで26インチのワンバスだったのが、24インチの2バスのセットに代えたそうです。そんな風に機材も多くなったにもかかわらず、なんとその機材群を岡野さんの自宅に持ち込んでリハに勤しんだそうで。う~ん、広いお宅なんですねぇ。そして2ndアルバムの制作にとりかかったようで。前作のときほど無茶な日程ではなかったものの、オーバーダブはあまりなく一発録りが多いそうです。岡野さんはギターシンセを弾きながら足でベースペダルを弾くという凄い技も。
 1979年の9月に2ndアルバム「Fantastic Arrival」が発表されます。アルバム1曲目は「Heavy Duty Space Dragon」。スペーシーな効果音からアップテンポの軽快なリズムでスタート。いきなりファンキーなリードベース。そして爽やかな音色のキーボードソロへ。テクニカルな変拍子のあとはギター・ベース・キーボードのソロが交互に。テクニカルなジャズロックです。 2曲目は「Demon Blast」。ミドルテンポのキャッチーなメロのパワフルなロック。中盤はとっても爽やかで壮大なシンフォニックのイメージも。終盤には超テクニカルなユニゾンも。ラストはロックンロールリズムでFin。 3曲目は「Acryl Dream」。メロディアスでゆったりとした幻想的な雰囲気からスタートし、スペーシーでシンフォニックな展開に。ゆったりとしたギターソロのつぎには、艶やかなヴァイオリンソロが。終盤は再びシンフォニックサウンドの壮大でドラマティックな展開に。 4曲目は「Pot People」。ファンキーなギターリフからはじまるミドルテンポのヘヴィな曲。メロディアスなヴァースとめっちゃテクニカルなパートが。中盤は幻想的な雰囲気のなかベースソロが。後半はクラシカルな展開もみせるドラマティックな曲ですね。 5曲目は「The Dawn of Aquarius Age」。哀愁を感じるシンセとヴァイオリンのゆったりとした感じからはじまり、ファンファーレ的なヘヴィなギターが。そしてアップテンポの軽快なリズムにシンフォニックなサウンドをみせるも、そこからミドルテンポのヘヴィなギターリフが。エコーの効いたフレットレスベースサウンドもいいですねぇ。中盤にはゆったりと幻想的でスペーシーなサウンドに。終盤はミドルテンポでバラード調の劇的な展開に。 6曲目は「Arcadia」。透明感のある綺麗なシンセサウンドとギターから始まるアップテンポの軽快で爽やかなフュージョン。 7曲目は「Fantastic Arrival」。ほのぼのとした雰囲気からアップテンポのファンキーでヘヴィなサウンドに。そしてヴァイオリンサウンドも入ってシンフォニックなサウンドに。一旦Finしたあと、幻想的な雰囲気に。そしてゆったりとしたテンポで伸びやかで美しいヴァイオリンの音色が響いて、そこにメロディアスなギターが絡んで盛り上がっていって劇的にFin。 オリジナルアルバムはこの7曲なのですが、やはり2ndアルバムのほうにも今回2008年の再発で、ボーナストラックとして貴重なライブ音源が収録されてます。こちらは79年に目黒区民センターホールで行われたというライブの音源から、「The Dawn of Aquarius Age」のリハーサル音源と、曲前にアドリブ演奏のある「Pot People」の2曲が収録されています。この2曲もやはり凄い迫力のあるサウンドです。 1stもそうですが、この2ndは特に人気が高く、“最高傑作”と賞賛されていますね。テクもさることながら、ドラマティックな構成の曲も多く、シンフォ・プログレとしても素晴らしいアルバムです。
 超速チョッパー・ベース、超早弾きギター、ダイナミックかつ正確なビート、そして繊細で美しいキーボード、それらをもってしてのジャズ・ロック・プログレ・ファンク等の要素を巧みにとりいれたハード・フュージョン・サウンドでファンをとりこにした、まさに音の“サーカス”ともいえる<スペース・サーカス>。 残念ながらこの素晴らしい作品を発表したのちに佐野さんが脱退してしまい、佐野さんのギターなくして<スペース・サーカス>は成りえない、とバンドは解散してしまいます。
 その後は個々に活動されたようですが・・・アルバムには<Dedicated to memory of Yukinao SANO>と書かれています。この2008年4月23日のアルバム再発売を待たずして、ここのところ体調がすぐれなかったという佐野さんが3月に天国へ旅立ってしまったそうです。ひょっとしたら再発を機に再結成もあるのでは・・・なんてふと思ったりもしましたが・・・残念でなりません。謹んでご冥福をお祈りいたします。