満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

The Night They Drove Old Dixie Down / THE BAND

2020-07-27 | 新規投稿

The Last Waltz (1978) - The Night They Drove Old Dixie Down Scene (5/7) | Movieclips

 

白人警官によるジョージ・フロイド圧殺への抗議デモに便乗した過激派が嘗て奴隷所有者だったという理由で過去の歴代大統領の銅像を引き倒すという、まるで文革まがいの蛮行を繰り返しているという。過激派の敵性対象の中にリー将軍もいるという事で、すぐさまこの曲を思い出した。南北戦争の敗者、南軍への哀歌であり、当時の進歩主義やリベラリズム側から見る南部の後進性という偏見を打ち破り、多くのアメリカ人に感銘を与えた曲だった。

もっとも私にしてもTVドラマ「ルーツ」で黒人奴隷の実態を学習した少年時代以降、同様の偏見は持っており、ずっと私にとってのアメリカとはニューヨークパンクに代表されるサブカルチャーの事であり、南部、中西部に象徴される大陸としてのアメリカ・カルチャーに対する否定的イメージは拭えなかった。

初めて聴いた中学自分は「ダサイな」と感じたTHE BANDの「LAST WALTZ」を聴き返し、感動したのは23歳くらいだったか。それは私にとっての遅ればせながら‘アメリカ開眼’だったと思う。

歌詞にリー将軍も登場する超名曲「The Night They Drove Old Dixie Down」。この豊穣すぎるアメリカ文化の遺産をやはり過激派は否定するのだろうか。奴隷制を否定したリー将軍の事実などは全く考慮するに値しないエクスキューズと断罪するのが、過激派の盲目的な原理主義だろうし、この曲のブラック・ミュージックへの親和性、その混合の土壌など感知する感性の欠片も多分、持ち合わせてはいないのではないか。

 

 


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