「Life is beautiful」＜人生は美しい＞
マコさん（マジカル・パワー・マコ）が命名したタイトルを私は偶然のメッセージとして噛みしめている。そしてこのプロジェクトに参加させていただいている幸運に感謝している。先週の金曜日、心斎橋HOKAGEでのライブを私は当初、出演しないつもりだった。この日はマジカル・パワー・マコL5BAND(Ba宮本隆,Dr松元隆)による連作リリースの録音第二弾の為のライブだった。
しかし私は、ずっと手が痛み、とても楽器を演奏できる状態ではなかった。具体的には手の甲が乾燥し、無数のキズとなってひび割れ、開く事も握る事もままならない。見た目はまるで怪獣映画の特殊メイクのようなグロテスクさだ。私は全ての指をやや内側に曲げたままの姿で痛みに耐える日々が続いていた。煙草を吸うライターに親指で火をつける動作だけでもズキっと痛みが走る。手袋を24時間着用し、それも竹布、シルク、ビニールと時間によって使い分け、毎日、血に染まった手袋を洗濯する。そんな生活だった。更には顔面の皮膚の落屑で顔全体が粉だらけで外出も憚れる状態が続く。これは4月から始めたアトピーの治療の第二段階によるもであった。具体的には９月初めに脱保湿を始め、そのリバウンドの凄まじさに自分でも驚き、仕事も休み、ライブも全てキャンセルし、家に閉じこもっていたのだ。４月に断食と脱ステロイドを始め、小康状態が続いた７月、８月は仕事も再開し、ライブも再開した矢先、治りきらない現状を打破する目的で新たにトライしたのが脱保湿であった。しかし、そこには想像以上のきつさが待ち構えていた。浸出液という名の体液が夜中に額、首から流れ、翌朝それが固定し、ズキズキ痛む。これは４月５月の脱ステロイド期間にはなかった現象で、首が自由に曲がらないという新たな状態を作った。こうなると音楽を聴く事も億劫になる。膝を抱えて背中を丸め、YOUTUBEなどを見てるしかないのである。CDをステレオにセットする事さえ躊躇う。全ての能動的な動作が億劫になるのである。痒み、痛み、悪寒、倦怠感がすごく、毛髪も抜け落ちた。便もずっとおかしい。更には眼圧が下がり、視力が低下している。脱保湿指南の医院に通い、気長なリハビリを覚悟していた。
そんな状態でライブなどできようもなかったが、先週の金曜日、朝、手が比較的、柔らかく動く。この時点でその晩の演奏をしようと秘かに決心したが、以前、朝に問題なくても夜にやはり、手が固まってしまう経験を何度もしていたので、出演の意向はマコさんはじめ、メンバーには告げず、時間、ギリギリまで様子を見た。いや、仮に夜に固まったとしてもプラスティック手袋をすれば一時的に湿気を帯びて柔らかくなるので、万が一はこれでいこうと決心し、元よりリハーサルは参加せず本番だけ行こうと決めていたので「９時前に行きます」と連絡を入れた。顔を隠す為、フードで顔を覆い、椿油を額と頬、鼻につけ、粉吹きを幾分、隠しての会場入りだった。
ＫみかるMICO氏を加えての４人での演奏。私は指出し手袋をしてベースを弾いた。楽しかった。
参加して良かった。本当にそう思った。私は感激していた。いろんな人に会う事で孤独感も癒されたし、録音にも参加できた。
「Life is beautiful」＜人生は美しい＞
マコさんはよくぞこのタイトルをつけたものだ。
私にとっては奇跡の一夜だった。
翌日からやはり、再び、手が痛く、椿油を付けた箇所が更に状態が悪くなっていた事を思うと、正しく奇跡の一夜だと思っている。
「Life is beautiful」＜人生は美しい＞
私は自分の健康を取り戻す闘いのさ中に居るが、人生は美しいと自らにメッセージし、マコさんに感謝している。
2020.9.30
2020.9.30
