知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

ある事件

2021年11月20日 | Weblog
先日、ある事件が起きました。


いつものように、事業所のお昼休みの後、ある利用者さんが職員に訴えてきました。

話を聞くと、その方は、いつも通例で、お昼休みの後は、喫煙をされます。回りに気を遣い、事業所を出て、少し離れた場所で吸われます(特に、今までその件で問題になったことも、苦情が来たこともありません。他の一般の方も喫煙されている場所でもあります。)


その方の話によれば、いつも通りに煙草を吸っていたら、突然、巡回していた警察官に職務質問をされたようです。

警察官の「職務質問」については、「警察官職務執行法」という法律で、
「第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」
というものがあります。

詳しくは下の「警察官職務執行法」を参照して下さい。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/keishoku-hou.htm


あくまでも、その場にいた警察官の”主観”で行動していいことになっています。

ただ、この”主観”というか”勘”が大事になってくるわけで、ベテランの警察官だと、今までの経験から、「この人は」という”勘”が働くわけです。
しかし、警察官になったばかりの人間でも、同じこのが可能なわけで、自分の”主観”というのが、一番の問題で、ここに社会的な「偏見」や未熟な「経験値」が左右するわけです。


もちろん、それが経験値になるわけですが、それを実行された側はたまったものではありません。

もし、「職務質問」されたとしても、間違いだった場合や、何も問題がなかった場合は、そのときの警察官の態度が重要です。
最近は、交通違反等の検挙の場合は、比較的軟らかい言葉で接する場面が見られます。

しかし、「職務質問」に関して言えば、警察官がその行為に対し「謝る」ということが、ホントに少ないと思います。


例えば100人に「職務質問」を試みて、そのうちの1人が犯罪者だった場合は、確率的には低いですが、未然に犯罪を防ぐことが出来たと評価されるかもしれませんが、ただその他の99人に対する心証や精神的影響は、なおざりにされるもので、一言「謝る」という行為があれば、随分変わるものです。


今回、その利用者さんは、話によれば「覚せい剤の注射をしているのでは?」と疑われたようです。腕から始まり、全身の状態を見られたようで、非常に失礼な態度だったようです。

利用者さんは、非常に立腹されており、職員が静止しても、その警察官がいるであろう近くの派出所に行ったようです。(その際は、本人さんは一旦は「行かない」と言ってくれましたが、その後「職員に飲み物買って来る」と言って、そのまま派出所に行ってしまったようです。
職員もその方が戻ってこないので、見に行ったら、どこにもいなかったので、探しました。


戻ってきた利用者の方に、再度話を聞くと(しばらくは、精神的にまいっており、別室で落ち着くまで待機してもらいました。その後落ち着いてから)、派出所の前まで行ったが(そこには、その警察官もいたようです)、入れず、ただ「入ってその警察官を殴りたかった・・・」と正直に言ってくれました。が、いろいろ考えてそれ以上はしなかった。とのこと。


事業所を利用される方の中には、多くの「精神疾患」の方や「難病」「知的障害」「身体障碍」の方等がおられます。
特に、この中では「精神疾患」の方や「知的障害」の方が、比較的警察官の「職務質問」の”主観”対象になることが多いです。(これは私の主観ではなく、多くの利用者さんに聞いた話です)


なぜか?

一般の方との違和感だと思います。

警察官は、一般常識を持った方ばかりではありません。中には「障害者」を理解されている方もおられますが、多くは逆の場合が見られます。
※極端な例では、「知的障害(このとき警察官は昔の言葉で精薄(精神薄弱)と言ってました)の人って、てんかんになったら、頭にスリッパ乗せたら治るんやろ・・・」と言った警察官がいました。(施設職員である私の前で)
まあ、これはホントに極端な例でしょうが・・・(ほんの数年前)
こんな程度の知識・・・

私も、この業界で仕事をして、もう30年以上になりますが、未だに警察官の「障害者」に対する見方は、おかしいと感じます。


見かけで判断するなら、世間の一般の方は、スーツを着て、綺麗な服装をしていれば、何もないのか?と言えば、逆にそういう人間の一部が、悪いことを起こします。

世間的に「障害者」が見かけで、一般の方と違うことで、「差別」されたり「偏見」を持たれること・・・


これが一番の問題なのに、一般の方を守る警察官が、そんな「偏見」による”主観”で、職務質問をするのは、大きな問題と言えます。(こういうことは、マスコミは何も言いませんね)


その利用者の方も、やや人相はいいとは言えませんが、そんな方はたくさんいますし、それこそが「偏見」です。

話を聞くと、「職務質問」してきた警察官は、若い人だった・・・と言っているように、おそらく経験値は少なかっただろうと思います。


この事業所がある地区は、ある意味、昔はやや治安もやや危なかったところでもあります(まあ、それも3、40年前のことです)。

私も、昼間仕事で移動していると、ホントに様々な方に出会います。

むしろ、いちいちそれを気にして、見ていたら失礼な感じです。


警察官は、それを勘違いして、こいつはおかしい・・・と感じ、「職務質問」をするんでしょう。で、間違っていた・・・ということです。


この利用者の方も、一言「謝って」くれたら、こんなにはならなかった・・・と言っていました、

その部分が大事で、いくらこんな法律があっても、その場面の状況で、失礼な態度だった場合は、警察官も「謝る」行為が必要だと思います。


警察官が、常に一般の方に対して「上から目線」な人が多いのは、今後直していただきたいと思います。


その利用者の方には、「もし、これから同じようなことを言われたら、この事業所まで(警察官を)連れて連れてくるか、その場で連絡してほしい」と伝えました。

はっきりと、苦情を言い、今後の対応を検討させてもらうことを警察官に伝えたいですね。


事業所で、契約をして、日常しっかりと賃金をもらい、仕事をされている方なのに・・・全く、失礼な話でした。

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