「あぁ…。
カール王子、アナ、お祖父様、
お祖母様…
アナ、貴女の傷が早く良くなることを願うわ…。
王子…ごめんなさい。
私、今日という日を幼い頃から夢見ていたのに…
私、必ず眼を覚ますわ…
それまでは、さようなら。
あぁ、お祖父様お祖母様………」
私は、そっと眼を閉じ、
とても長い、長過ぎる眠りの中に落ちていった…。
姫っ。姫様ぁ。
あたりは悲しみの声で包まれた。
中でもカール王子の悲しみといったら、それは例えようも無いものだった。
「姫っ。姫っ。
あぁ、愛する姫よ。
貴女の瞳をもぅ見ることはできないのか?」
「王子様、そんなに悲しまないで下さい。
私が、私が必ず姫様を目覚めさせてみせます。」
「あぁ、アナ、そなたは大魔法使いの血族であったな。
だが、先ほど姫が、あの忌まわしき魔法に掛けられた時、
そなたは、何も出来なかったではないか。」
「王子、それは間違っておる。
あの魔法使いが現れた時、
倒したのはそなただか、
アナは身を盾にして姫を守ったのだぞ。
その時に姫の命が亡くなっててもおかしくはなかった…。
アナ、ワシは心から感謝しておる。」
「そんな…私なぞにもったいないお言葉…。」
「いいえ、アナ。
あの子を守るためとはいえ、
貴女にこんな大きな傷を負わせてしまって…。
私からも感謝するわ。」
「ありがとうございます。
でも、王子様のおっしゃる通り、私は何も出来ておりません。
掛けられた魔法を、死から眠りに変えただけ。
一刻も早く姫様を目覚めさせてみせます。」
…私とカール王子、そして、アナ。
私たちは、幼い頃からずっと一緒で幸せに育ってきた。
そして、今日、結婚式を挙げ、
幸せな日々がずっと続く…
そう信じてた。
あの魔法使いが現れるまでは…
「姫、死ね。」
黒いカラスのような人?が突然現れて、私に刃を向けた。
斬られたと思った瞬間、
アナが私の身代わりとなって…
騒ぎを駆け付けた王子が切りつけた…
するとその黒い魔法使いは、私に向かって何かを叫び、
跡形も無く、消えてしまった。
アナの傷は、見た目に反して軽く、命に関わるものではなかったので、安心した。
けれど、そのアナから聞かされた言葉に、
私は愕然とした…。
「お姫様。お姫様は、先ほど
死の魔法を掛けられました。
このままでは、数時間もたないでしょう。
こちらの薬を飲んで下さい。
魔法を消すことは出来ませんが、死を眠りへと変えることができます。
数年、数十年になるかもしれませんが、必ず目覚めることが出来ますから。
私、出来るだけ早くお姫様が目覚められるように、
この魔法を解くよう頑張りますから。」
皆の見守る中、私はアナから渡された薬を飲み、深い眠りに落ちた。…
あぁ、王子、
貴方のその澄みきった青空のような蒼色の瞳、漆黒の髪…
忘れない。忘れないわ。
愛してる…
ずっとずっと…
…
……
………。
「………姫っ。姫っ。」
何だか、悪い夢を見ていた気がする…。
重たい目を開けたら、
心配そうに覗き込む王子とアナ、お祖父様の顔があった。
「姫、目覚めたのですね。
良かった。」
そういえば、私、眠り続けて…
まだ頭がハッキリしない。
私、どのくらい眠り続けていたのかしら…
よく見ると、王子やアナの髪には、白いモノが混じっている。
王子の瞳も深い海の底の色のようだわ。
私、とてもお待たせしてしまったのね…。
思わず泣き出した私に、王子は、そっとキスをして
「姫、ずっと長いこと見つめておりました。
私と結婚してくれますか?」
「えぇ。喜んで。」
…
幸せそうな姿を見ながら、複雑な表情を浮かべ、
老王は、そっとその場を離れた。
「…王、姫に伝えなくて、
良いのですか?」
「…良いのだ。
ワシは歳を取り過ぎた。
ワシらの孫と姫。
まるで姫が眠りに付く前のワシらのようではないか。
すべては、王姫。
そなたのおかげじゃ。
ビクトリア姫が眠り込んでから、
自暴自棄になっていたワシを支えてくれて…
感謝しておる。」
「カール王。もったいないお言葉です。」
二人の姿が涙でボヤけて見えなくなっても見つめ続ける老王に、
アナ王姫は、そっと寄り添い続けた。
カール王子、アナ、お祖父様、
お祖母様…
アナ、貴女の傷が早く良くなることを願うわ…。
王子…ごめんなさい。
私、今日という日を幼い頃から夢見ていたのに…
私、必ず眼を覚ますわ…
それまでは、さようなら。
あぁ、お祖父様お祖母様………」
私は、そっと眼を閉じ、
とても長い、長過ぎる眠りの中に落ちていった…。
姫っ。姫様ぁ。
あたりは悲しみの声で包まれた。
中でもカール王子の悲しみといったら、それは例えようも無いものだった。
「姫っ。姫っ。
あぁ、愛する姫よ。
貴女の瞳をもぅ見ることはできないのか?」
「王子様、そんなに悲しまないで下さい。
私が、私が必ず姫様を目覚めさせてみせます。」
「あぁ、アナ、そなたは大魔法使いの血族であったな。
だが、先ほど姫が、あの忌まわしき魔法に掛けられた時、
そなたは、何も出来なかったではないか。」
「王子、それは間違っておる。
あの魔法使いが現れた時、
倒したのはそなただか、
アナは身を盾にして姫を守ったのだぞ。
その時に姫の命が亡くなっててもおかしくはなかった…。
アナ、ワシは心から感謝しておる。」
「そんな…私なぞにもったいないお言葉…。」
「いいえ、アナ。
あの子を守るためとはいえ、
貴女にこんな大きな傷を負わせてしまって…。
私からも感謝するわ。」
「ありがとうございます。
でも、王子様のおっしゃる通り、私は何も出来ておりません。
掛けられた魔法を、死から眠りに変えただけ。
一刻も早く姫様を目覚めさせてみせます。」
…私とカール王子、そして、アナ。
私たちは、幼い頃からずっと一緒で幸せに育ってきた。
そして、今日、結婚式を挙げ、
幸せな日々がずっと続く…
そう信じてた。
あの魔法使いが現れるまでは…
「姫、死ね。」
黒いカラスのような人?が突然現れて、私に刃を向けた。
斬られたと思った瞬間、
アナが私の身代わりとなって…
騒ぎを駆け付けた王子が切りつけた…
するとその黒い魔法使いは、私に向かって何かを叫び、
跡形も無く、消えてしまった。
アナの傷は、見た目に反して軽く、命に関わるものではなかったので、安心した。
けれど、そのアナから聞かされた言葉に、
私は愕然とした…。
「お姫様。お姫様は、先ほど
死の魔法を掛けられました。
このままでは、数時間もたないでしょう。
こちらの薬を飲んで下さい。
魔法を消すことは出来ませんが、死を眠りへと変えることができます。
数年、数十年になるかもしれませんが、必ず目覚めることが出来ますから。
私、出来るだけ早くお姫様が目覚められるように、
この魔法を解くよう頑張りますから。」
皆の見守る中、私はアナから渡された薬を飲み、深い眠りに落ちた。…
あぁ、王子、
貴方のその澄みきった青空のような蒼色の瞳、漆黒の髪…
忘れない。忘れないわ。
愛してる…
ずっとずっと…
…
……
………。
「………姫っ。姫っ。」
何だか、悪い夢を見ていた気がする…。
重たい目を開けたら、
心配そうに覗き込む王子とアナ、お祖父様の顔があった。
「姫、目覚めたのですね。
良かった。」
そういえば、私、眠り続けて…
まだ頭がハッキリしない。
私、どのくらい眠り続けていたのかしら…
よく見ると、王子やアナの髪には、白いモノが混じっている。
王子の瞳も深い海の底の色のようだわ。
私、とてもお待たせしてしまったのね…。
思わず泣き出した私に、王子は、そっとキスをして
「姫、ずっと長いこと見つめておりました。
私と結婚してくれますか?」
「えぇ。喜んで。」
…
幸せそうな姿を見ながら、複雑な表情を浮かべ、
老王は、そっとその場を離れた。
「…王、姫に伝えなくて、
良いのですか?」
「…良いのだ。
ワシは歳を取り過ぎた。
ワシらの孫と姫。
まるで姫が眠りに付く前のワシらのようではないか。
すべては、王姫。
そなたのおかげじゃ。
ビクトリア姫が眠り込んでから、
自暴自棄になっていたワシを支えてくれて…
感謝しておる。」
「カール王。もったいないお言葉です。」
二人の姿が涙でボヤけて見えなくなっても見つめ続ける老王に、
アナ王姫は、そっと寄り添い続けた。