晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

「経営の定石」の失敗学 小林忍 / 経営の本棚

2022年03月06日 | 経営の本棚(2)


なんとなくもうすぐ春という感じの花なので撮影してみました。隣のお家の歩道で。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第452回(2022年3月7日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「経営の定石」の失敗学 小林忍 / 経営の本棚
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1.はじめに
 この本はなんとなくタイトルに惹かれて読み始めましたが、読み始めるとついつい面白くて最後まで読んでしまいました。しかも2回も。
 経営の定石となっていることを実行しても、経営に失敗する。そんなことはあり得ないと考えられるかもしれませんが、囲碁や将棋で定石を指しても、その戦いの場では必ずしも最適の手にならない(逆に悪手になる)ことがあるように聞いています。それと同じことと思います。
 筆者は経営の定石と言われる10の定石についての失敗事例と対策を記載しています。失敗事例はなぜ失敗したのか、その理由がよく理解できるものになっています。以下では、経営の定石の10項目と、それに対する失敗の原因のひとつ(実際は本の小項目ですが)を列挙してみました。

2.項目と内容
①経営コックピット・・・”得意なものだけを見る経営幹部”が会社の危機を招く
②俊敏な経営・・・速度のために手順を飛ばす”ワープ経営”が裏目に出る
③リーダーシップ・・・強いリーダーは宿命的に”裸の王様”になる
④ワイガヤ・・・場の空気で意思決定されてしまう
⑤現場主義・・・現場は経営者には”学芸会”を見せるもの
⑥コミットメント経営・・・「各人がコミットせよ」主体をすり替えたのは誰
⑦モチベーション経営・・・モチベーションを隠れ蓑にする”嫌われたくない経営者”
⑧選択と集中・・・集中はしたけれど選択は?
⑨ポートフォリオ経営・・・一つのカゴに盛った卵 本当にリスクは分散されているか
⑩花形商品経営・・・ブラックホール 花形商品が事業の空洞化を加速する

3.おわりに
 個人的には、ワイガヤはホンダさんで成功した経営手法ですが、以前から「場の雰囲気」に流されるのではと心配していたのですが、やはりその心配は当たりのようです。
 各項目に対する対策が書かれていますが、著者は言葉が丸まっているとどうしても伝わらないところがあり、泥くさい生の言葉で語りかけましたと言っています。
 上記の10の経営の定石が失敗する理由に思い当たるところがある方は是非一読ください。あなたが罠にはまらないために。

データ
著者  :小林忍
出版社 :株式会社ディスカバー・トゥエンティワン
出版年 :2016年
価格  :定価 本体1600円(当時)
ページ数:323p
外観  :
 

井上直久


コメント
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