晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式(4) トヨタ生産方式導入の奥義 青木幹晴

2012年06月17日 | ものづくり・工場改善 トヨタ生産方式

(2012年6月18日(月)発行)(次回6月25日(月)予定)

今回の記事が100番目の記事になりました。祝!!100号。

 トヨタ生産方式のシリーズもいよいよ具体的になり、個別の本の紹介に入ることになります。
最初は、青木幹晴先生の、「トヨタ生産方式導入の奥義」になります。本のタイトルの中に「トヨタ生産方式」と「導入」という、そのものずばりの言葉がある唯一の本です。その点から、大変参考になると思います。一度お読みください。

1.タイプ
 (トヨタが生産方式を確立した手順をそのまま)トレース方式
2.内容
 基本的には、トヨタ自動車がトヨタ生産方式を確立していった手順どうりにトレースすれば、トヨタ生産方式の導入はうまく行くという内容です。
 その根拠は、著者のトヨタ自動車内での経験と、トヨタ自動車以外へのコンサルタント経験から、導かれています。
 導入に特に関連する部分は、「第2章 導入順序が成否を左右する」 (61p~115p)です。導入の順番は、
 段階1 設備の機種別配置
 段階2 設備の工程順配置(工程別配置と記載されている場所もあり)
 段階3 ニンベンのついた自働化(これ以降がトヨタ生産方式)
 段階4 目のない少人化
になります。
 なぜこの順番で行うのかは、トヨタ生産方式を勉強されれば理解できると思います。ですので、ニンベンのついた自動化(その本質は、人が設備から離れて作業を行う)や、目のない少人化(その本質は、生産量にあわせて人の数を増減する定員制の打破)の理解が不足されている方は、別途調べていただけたらと思います。
 この本の素晴らしさは、分かりにくいことを「絵解き」で解説(絵を描いてわかりやすく解説)されていることです。特に、
 63pのトヨタ生産方式城の築城
 96、97pのトヨタ生産方式導入から完成への進化順序
が関係する部分ですが、一目見てかなりのことが理解できます。
 その点からも、たいへんお勧めの本です。
3.読書後の感想
 トヨタ生産方式の本を多数読んでみて、トヨタ生産方式は平準化生産方式と呼んだ方が良いのではと感じるところが多い。かんばん方式は、最終組み立て工程の平準化が出来た後に実施することが出来る。平準化していないのにかんばん方式を導入することはむしろ害が多い。
 しかし、どれだけの企業が平準化が出来ているだろうかと考えると、トヨタ生産方式を導入できる企業は限られてくる。むしろ、個別の企業の環境・状況を考慮し
 ①リードタイムの短縮、
 ②コストの削減、
 ③品質の向上
などの目的で、
 ①-1段取り変え時間の短縮
 ①-2装置のレイアウト変更
 ①-3多能工化・多工程持ち
 ②-1仕掛品在庫の削減
 ②-2ムダをなくす
 ③-1ポカヨケの導入
 ③-2金のかからない全数検査
 ③-3次工程検査
を実施されるのも良いと思われる。

 個人的な感想になるが、私は新郷重夫先生の段取替えの改善考え方を高く評価しています。しかし、トヨタ出身の方が書かれた本を読んでも、新郷先生の名前や、段取替えの考え方などを詳しく書かれたものはないように思います。その点で、青木先生は新郷先生の段取替えを高く評価されており、共感するものがあります。
4.本の情報
 タイトル:【トヨタ式最強図解】トヨタ生産方式導入の奥義
 出版社:ナツメ社
 出版年:2009年
 定価:1980円
 ページ数:191p
5.著者略歴
 
1955年愛知県生まれ。1978年早稲田大学卒業後、トヨタ自動車工業に入社。2004年トヨタ自動車を退職。コンサルタント会社を経て、豊田生産コンサルティングを設立。
6.外観
Photo




 
 

コメント
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