三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

心に染み入る広告

2007年12月21日 | 2007年
スクラップをするつもりでチェックした新聞が山になっています。
整理をしつつ、1カ月前の1面広告が目に止まりました。
11月22日付け日本経済新聞朝刊。
文章で埋まっています。

左上の見出し。

ころんだら、起きればよい。
鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」

右下に写真が1枚だけ添えられています。
使い古した一時代前のバスケットシューズ。
そして小さくアシックスのロゴマークと「sound mind,sound body」の文字。

日経新聞に「私の履歴書」という名物コラムがあります。
財界人や文化人の経歴が1ヵ月ほどの長期にわたって紹介されるのですが、
鬼塚さんも以前、取り上げられたことがありました。

この「私の履歴書」をもじって、広告のタイトルを
「失敗の履歴書」としたのではないかと思います。

社会人になって3年目、私利私欲に走る経営者に愛想を尽かした話から始まっています。
出張で鬼塚さんとご一緒したときに、直接うかがったことがあります。

戦後の荒廃した時代、すさんだ青少年を立ち直らせるために
スポーツが役立つと考え、スポーツシューズの製造を手掛けることになります。

肺結核など死に直面する経験を乗り越え、
日本でトップのスポーツ用品メーカーに育て上げました。

この広告によれば、鬼塚さんは「毎年、新入社員を前にして、
古代から現代に引き継がれたスポーツマン精神の5か条を、
いつも高らかに読み上げていた」そうです。

私が所属するスポーツ業界の会合では、いつも張りのある大きな声で
スピーチをされていた様子を思い出しました。

「5条」とは、こんな内容です。
(第1条) スポーツマンは、常にルールを守り、仲間に対して不信な行動をしない。
(第2条) スポーツマンは、礼儀を重んじ、フェアプレーの精神に徹し、
いかなる相手もあなどらず、威張らず、不正を憎み、正々堂々と尋常に勝負する。

(第3条) スポーツマンは、絶えず自己のベストを尽くし、最後まで戦う。
(第4条) スポーツマンは、チーム中の一員として時には犠牲的精神を発揮し、
チームが最高の勝利を得るために戦わなければならない。そこに信頼する良き友を得る。

(第5条) スポーツマンは、常に健康に留意し、絶えず練習の体験を積み重ね、
人間能力の限界を拡大し、いついかなる時でもタイミング良く
全力を発揮する習慣を養うことが必要である。

仕事というフィールドで戦う新入社員に、
“理想とするスポーツマン像”を重ねて叱咤激励した経営者だったようです。

広告の文章は鬼塚語録の最後に、もう1条付け加えています。
(第6条)スポーツマンは、ころんだら、起きればよい。
     失敗しても成功するまでやればよい。

広告掲載日を改めて確認すると、鬼塚さんの「お別れ会」が催された日です。
現経営陣が、「鬼塚さんの志を確かに受け継ぎました」と墓前に誓っているように思えました。
心に染み入る企業広告です。

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   ※オブザーバーでのご参加も可能です。 
             
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【株式会社スポーツ21エンタープライズ】 
  代表取締役 三ッ谷洋子
  スポーツビジネスコンサルタント
  スポーツビジネスプロデューサー
  地域づくりアドバイザー
  http://www.sports-21.com 


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