夕刊/金田ヒサ

THE RAMBLINGSのフロントマンが贈る漂流記

魔力

2009-06-02 | Weblog
ギターを鳴らすと俺のように少しくすんだ音がした。

見れば弦がすっかり錆び付いているではないか。

久しぶりに新しい弦を張ってやらねば。

こうして見るとギターという楽器は木と金属が

美しいバランスで共存しているなと今更ながら思う。

張りたての弦を親指ではじいてみると

澄んで凜とした解放弦の音が殺風景な部屋に響く。

まるでだらしのない主人への警告音のようだ。

俺は弱っている自分を大人になり初めて自覚している。

いや正確には認めそうになっているのかも知れない。

去年から我が身に起こる想定外の現実に

右往左往しながらここまでやってきたのだが

ここにきてとうとう連続して体に異変が起き始める。

薬のせいだろうか様々な想いが頭の中を徘徊する。

ポジティブなことって?

ネガティブなことって?

どうしても出口が見当たらないのは

副作用でボーっとしているからだけではないだろう。

今までこんなに見つからない事ってあったかな。

オイ!先の見えない人生を楽しんでいたのは誰だ?

無造作に壁に立てかけたギターが倒れそうになる。

慌ててネックを掴まえるとギターは自然と膝の上に。

それから小一時間ほど爪弾いていただろうか。

不思議と何を考える事もなく時は静かに過ぎていく。

きっとこれもギターの持つ魔力なんだと思う。

ギターを抱いていると此処にいながら

色んな街や路地裏とか君の部屋にいたりするからな。

「バランスを崩せ」と唄ったのも今は昔。

絶妙なバランスの上にしか成り立っていかない

自分に苛立ちを隠せぬがどうにもこうにも・・・。

わかってるよ。

もうすぐライブだろ。

まだそこまでアタマは飛んではおらぬ。

ジョアンで逢おう。
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グチャグチャ | トップ | ルーズなデュオ »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そのままで…。 (Naoko)
2009-06-02 18:54:02
今までだって、先が見えていた事なんて一度もなかった。

急に突き落とされて、這上がるまで10年近く…。

歳はとったけど、学んだ事は沢山あり 失ったものだけじゃない事にも気づかされました。

枯れて、朽ちても、鳥が運んだ種から 小さな花が咲きます。

6日、私はそのまんまの金さんが観たいです。
返信する
Unknown (STONED)
2009-06-02 22:56:31
金田ヒサさん

男の俺からしても

魅力的な存在です。

音楽がキッカケだけど

ブログ読んで

特に

胸にくるんだよね。

きっとこれからも

響く歌を

書いて唄うんだろう。
返信する
返信 (金田ヒサ)
2009-06-04 15:26:07
>Naokoさん

上手く文章に綴れませんが

歌に託してみようと思います。

ありがとう。


>STONEDさん

コレから歌を手に入れるには

まだまだ道のりは険しいようです。

お付き合いの程ヨロシク。

返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事