soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

骨は語らずーあと少し何かが足りない

2005-01-23 14:29:28 | 読書の時間
「渇いた季節」★★★☆海外ミステリ
ピーター・ロビンスン著 730ページ1.140円

夏の盛り、干上がった貯水池から、
半世紀前の沈んだ村が姿を現す。
そこで人骨が見つかり、二人の捜査官が
調査に乗り出す。

常に2人の語りでストーリーは過去と現在を
行きつ戻りつしながら、最後に同じ一転に結びつく。
かなり凝った設定のミステリー。

長い小説だが読み応えアリで、本読みの心を
満たしてくれるが、致命的なのは
事件が半世紀前であり、臨場感に欠ける。

そのうえ、捜査する二人の刑事の恋の話が
もたもたしてして、もっと整理すれば
読み易かったか。

ただしこれだけの長編にいくつかのエピソードを
詰め込んで、破綻することなく書ききるのは
かなりの力量。他の作品が読みたいと思った。




彩色木棺の二つの目が見つめるもの

2005-01-23 10:06:54 | 時事もの
ダハシュール北遺跡のミイラ発見続報

赤ピラミッドや屈折ピラミッドで
有名なダハシュール。
観光のハイライトのひとつ。
ギザのピラミッドから
サッカラの階段ピラミッドと
エジプト遺跡ファンにとっては
有名な場所であり、憧れの地。


青や赤で彩色された木棺は、
丁寧に布に包まれ
紀元前3.800年から3.600年頃作られ、
5.000年以上の眠りから
ひととき外部からの光にさらされて、
しっかりと見開いた目は何を見たのだろう。

古代への好奇心や、文明の発達や当時の
技術等、さまざまなことから、今もエジプトでは
沢山の調査隊がギザやサッカラ、そしてルクソールと
掘り返しては、時々大量のミイラや当時の
副葬品が見つかり話題となる。

でも永遠の眠りについている本人達には迷惑な
ことだよな。果たして掘り返したり、ガラスケースに
入れられた状態で彼らはいつか復活を果たすことが
できるのだろうか?
ちょっと残酷な気もする。

エジプトの過去から分かることもまだまだ
あるのだろうが、もういいんじゃないかな。

とはいえ、カイロ博物館にある発掘された
数々の工芸品やそして黄金のマスクなどは
見ているこちらに不思議な力を与えてくれる。
その高揚感はちょっと言葉ではうまく言えない感じだ。

また「ツタンカーメンのミイラがCTスキャン」された。
15分間で1700枚の撮影で、これから死因等について
さらに調査をするそうだ。
ミイラは顔の保存状態はいいが、体の多くの部分は
かなり崩れている。

1922年にハワード・カーターらの手によって発見されなかったら
今も王家の谷でひっそりと永遠の眠りについていた。
そんなツタンカーメンが副葬品を剥ぎ取られ、
ついにはCTスキャンされることは
知りたい好奇心より、なんだか可哀相な気持ちの方が強い。

毒殺されていようと、病気で死んでいようと
どうでもいいような気持ちになる。

あの燦然と輝く黄金のマスクをつけた、
絶大な権力を持ったファラオの、こんな姿を
見たくない。また神聖なものをこんなふうに
踏みにじるのはどうなのかな。