とんびの視点

まとはづれなことばかり

2014.1.30木 東京新聞より 1NHK脱原発に難色 2派遣労働の期間 3「万能細胞」新手法

2014年01月31日 | 雑文
2014.1.30木 東京新聞より

今日は1月31日。早いもので今年も1ヶ月が終わろうとしているわけだ。今日は天気も穏やかで、空気にも暖かさの粒子が混ざっているようだ。もう数日もすれば、暦の上では春。

さて、昨日の新聞より3つの記事。

1、NHK脱原発に難色 ラジオ番組 「都知事選中はやめて」 抗議の大学教授降板(1面トップ)
2、派遣労働の期間 無制限に 企業優先 使い捨て懸念(1面第2)
3、「万能細胞」新手法 iPSより簡単 マウスで成功 理研チーム(1面第3)

まずは1の記事。先日の籾井新会長の「政府が右と言うものを左とは言えない」という言葉にぴったりと重なる。籾井会長からの直接の指示などあるはずはない。現場が「忖度」して行ったのだろう。だとすればこれは大きな問題だ。ルールや制度など「表向き」は自由が約束されているが、現場では忖度による「自主規制」が行われる。当然のことだが、何か問題があったときには、「表向き」のルールや制度の説明をして「問題はない」という説明を行う。

それは「言葉」と「実態」が乖離する事態だ。最もおそれるのは、「言葉」と「実態」がずれることによって、人々がお互いの「言葉」を信頼しなくなることだ。言葉が機能しなければ、話し合いが成り立たない。そうなると力でものごとを決めるようになる。そういうことが、日本と外国の間、国家と国民の間、(NHKも含め)企業や組織の中、市井の人々の間で起こる。国家間では戦争、国内では弾圧やテロ、組織内ではハラスメント、市井では騙しあい、そういう事態につながる。

NHKの広報局は「都知事選では原発をめぐる問題が一つの争点になっており、選挙期間中はより公平性を期する必要がある」とコメントを出している。「表向き」のつるんとした言葉だ。ラジオに出演する予定だった中北徹教授は、特定の候補者を応援しようとしたわけではない。「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」とコメントしようとしただけだ。

たしかに、その内容は原発推進派には気に入らないだろう。しかしこの発言が公平性を欠いているというのなら、選挙期間中どのような発言なら放送できると、NHKは考えるのだろう。「CO2削減のためにも原発は必要である」と述べても、それは公平性を欠くことになる。なぜなら、原発については賛否両論があるからだ。賛否両論というのはマスレベルでもそうだし、個々人の中でもそうだろう。(もちろん個々人では「賛成」か「反対」がはっきりしていることもある。)

そういう時に、公平性のため賛成の意見も反対の意見もいっさい放送しない。(究極的には「原発」という言葉すら出さないことになる)。それが公共放送の役割なのだろうか。別にこれは「原発」だけではない。「東京五輪」についてもそうだ。開催を取りやめるという候補者はいないだろうが、開催方法については意見が違う。公平性を考えるなら「五輪」についてのさまざまな意見はは放送しない。論理的にはそうなる。選挙期間中、争点となるような話題に関しては、何一つ放送しないつもりなのか。(あるいは、時の政権が嫌がるものに関してのみ放送しないのか。だとすれば、それは民主主義国家の公共放送ではなく、独裁国家の国営放送のようなものだ。)

どうも日本は、国にかかわる大事なことを国民に考えさせないようになっている。国民が考えるのは、日々の自分の生活、おカネ、楽しいこと、感情的にフックすること、そういうものでよいとされているようだ。特定秘密保護法もそうだし、先の2回の国政選挙で原発が争点化しなかったこともそうだ。その一方で、経済というより金もうけの話、オリンピック、生活保護不正受給というたぐいのものが人口に膾炙する。

「国民が国の大切な事柄についてさまざまな情報をもち考えている」。「国民が国の大切な事柄について知らず、自分のことしか考えていない」。どちらが健全な民主主義の社会と言えるだろうか。放送法第一条3には放送の目的として「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」とある。公共放送は、選挙期間中に争点について賛否さまざまな情報を提供するべきなのか、まったく触れない方がよいのか。どちらが健全な民主主義の発達に資すると考えるのか。


次に2の記事。派遣労働についてである。派遣労働は日本社会の重要な用件であるが、詳しい知識を持っていないので内容には触れ込まず、今後の自分への課題確認も含めて簡単に書いておく。

法改正に関して私たちはもっと注視した方がよい。法改正をすれば、先日までの違法行為が、今日は合法となる。つまり法改正や立法は社会の仕組みの大きな転換点なのだ。また言葉による改正は一瞬だが、現実の変化は時間をかけてじわじわと起こる。変化に違和感があっても合法だから止めようがない。改正されて行政の運用が始まると、変化を押しとどめることはできない。立法や法改正を、無料アプリを試しにインストールするような感覚で受け入れてはいけない。

派遣労働法の改正は良いか悪いか、という二択で考えるのは良くない。今回の改正によって、利益を受けるのは誰か、不利益を被るのは誰か、という観点から整理することが必要だ。そしてこの情報に触れる個々人が、自分の居場所がどちらの側に近いのかを確認することだ。そしてその視点からきちんと見ることだ。市井の人が日本のことを考えようとすると、無自覚に為政者の視点から見てしまうことがある。それこそが為政者の望んでいることだ。


最後に3の記事。これは理研の小保方晴子さんという30歳の女性が画期的な方法で「万能細胞」の作成にマウスで成功したと言うものだ。体細胞を弱い参世の溶液に入れ刺激を与え作る、というシンプルな方法だ。「刺激惹起性多能性獲得」の英語の頭文字からSTAP細胞と命名した。人の細胞でも可能となれば、これから先の再生医療分野に大きな影響を及ぼすだろう。明るいニュースである。基本的にはわるくない、でも。

これは朝刊では1面の3番目の記事だったが、夕刊では1面トップとなる。そして内容は、研究の内容や社会的な意味よりも、小保方さん個人の紹介になる。曰く、小保方さんは、お風呂の時もデートの時でも四六時中、研究のことを考えていた。実験できるのは白衣ではなく、祖母からもらった割烹着。「おばあちゃんに応援されているような気がするから」。実験室の壁はピンク色。机や棚にはムーミンのグッズ。研究室にはペットのスッポン。「この子が来てから実験が軌道に乗ったので、幸運の亀なんです」とのこと。(後半は他の研究者のコメント)

別にこういう情報を載せるのは悪いことではない。小保方さんは好感の持てそうな人だ。ただ、これがその日の夕刊の一番重要な情報だったのだろうか。3面あたりであれば、1ページの特集でも気にならなかっただろう。こういうことをあまり書くと、ただの偏屈な人間に見えそうなのでやめる。ただ、テレビニュースにしろ新聞にしろ、客観報道といっているが、実際には情報に濃淡がついてしまう。こういうとき、本当は他社の新聞と比較するとよいのだが、そこまでの時間はない。ただ、東京新聞はこの日の夕刊で読者に伝えるべき最も大事なことは、「かっぽう着の異彩リケジョ(理系女子)」ということだったようだ。


2014.1.29水 東京新聞より 1原発やめると言えぬ 2靖国参拝米の自制要求首相拒否 3領土教育

2014年01月29日 | 雑文
2014.1.29水 東京新聞より

まだ咳と鼻水が少しばかり残っている。風邪を引いてからすでに一週間以上。症状は重くないがけっこうしつこい。明日は合気道の稽古。明日休むと2週間稽古をしていないことになる。何とか風邪を治さねば。

さて、今日も記事を3つ。

1、「原発やめると言えぬ」衆院代表質問 首相、重ねて意欲
2、靖国参拝 米の自制要求 首相拒否 副大統領と先月電話「自分で判断」
3、領土教育 政権「圧力」 指導要領解説書に「尖閣・竹島」 安倍色反映「時代遅れ」

まず、1の記事。これは安倍首相が衆院の代表質問で「化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時より高くなっている現実を考えると、そう簡単に『原発をもうやめる』と言うわけにはいかない」といった、という内容だ。しつこいようだが、これに関しては何度も書かねばならない。

自民党が政権復帰した12年衆院選の総合政策集では「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」としていた。その後の社会や経済状況に想定外の変化があったわけでもないのに、わずか1年ちょっとで言葉が大きく変わっている。これはよくない。言葉を信頼できなくなってしまう。言葉が信頼できないと社会が劣化する。人々は何を頼りに共通了解を取ればよいのか分からなくなるからだ。

もちろん、言葉を使わなくても理解しあえる。苦しい現場をともに寡黙に乗り越えたときなどだ。残念ながら、私たち市井の民は首相と苦しい現場でともに額に汗することはない。だからこそ、言葉が信頼できなくなると危険なのだ。民は思い思いの行動を始めてしまう。そんなことになれば、治安維持のための措置がとられる。さらに民は……。そういうことが起こる社会がよいはずはない。

2の記事。なるほどそんなことがあったのか。もう少し詳しく記事を引く。「米国のバイデン副大統領が昨年12月12日に安倍晋三首相と電話会談した際、靖国神社参拝問題を取り上げて『行くべきではない』と繰り返し自制を求めていたことが分かった。首相は『自分で判断する』と拒否した。複数の日米関係筋が28日明らかにした」とある。

アメリカが強い調子で「失望した」と言うわけだ。日本の保守の外交方針が「親米」である。そのアメリカをして「失望した」と言わしめるのであるから、安倍首相が「とりもどそう」と言っている日本は、親米ではない時の日本と言うことになる。すなわち敗戦以前の日本である。そう考えると「戦後レジームのからの脱却」というのは、戦前の日本を取り戻そうということになる。アメリカは絶対にこれを認めることはできないだろう。

あるいは、靖国参拝で「失望」させても、親米路線を突き進めると考えているのか。だとすれば、このマイナスポイントを上回る何かをアメリカに献上しなければならなくなる。まさか安倍氏個人のポケットマネーというわけにも行かないだろう。日本の何かを献上することになる。いやな話だ。

最後に3の記事。記事の冒頭を引く。「文部科学省は28日、教員による指導の指針となる、中学と高校の「学習指導要領解説書」を改定し、竹島と尖閣諸島を日本の「固有の領土」と明記、全国の教育委員会に通知した。……」とある。

これにより中学や高校の地理や歴史の教科書の記述が変わるのだろう。そして教員たちも、それに沿った内容を生徒に教えることになるのだろう。僕自身は、竹島と尖閣諸島が日韓、日中間で領土問題となっていることは知っているが、それぞれの歴史的な経緯や双方の主張に関しては、断片的な情報をもっているに過ぎない。

ただ、気になるのは今回の改定で解説書に、尖閣諸島を「我が国の固有の領土」と明記した上で、「解決すべき領有権の問題は存在しないことを理解されることが必要」とあることだ。つまり、尖閣諸島に対しては、領有権問題が存在しない、と子供たちに教えようとしているのだ。その一方で、下村博文文科相は「グルーバル人材を育成する中で、固有の領土を子供たちに教えることは、国家として当然」と強調したそうだ。平たく言えば、「尖閣諸島とは日本の領土である」としか知らない日本人を教育を通して育てよう。そういうことだ。

これは問題だ。尖閣諸島は地理の問題であるが、歴史問題である。歴史というのはデリケートなものだ。出来事は一つだが、記述する立場によってまったく異なった内容を描くことができる。マクドナルドでのハンバーガーの売買と同じだ。ハンバーガーの売買は一つの出来事だが、売り手と買い手はまったく違った説明をするだろう。

日中戦争を一つの出来事として考えても、日本と中国では違ったものを見る。ましてや日中戦争中の一つ一つの出来事を、それぞれが好きに取り出すことができる。両国が描く歴史が異なるのは当たり前である。当然、それぞれの国民の歴史認識は異なる。だから大切なのは、歴史というものは同じ出来事でも書く国によって違ったものになる、という前提を認めることだ。唯一の正しい歴史認識が存在するという前提に立ち、自分と異なる認識を誤りだと言っても仕方がない。

「歴史を知る」のは何のためであろう。グルーバル人材が歴史を知ることが、なぜ必要なのか。おそらく世界で活躍できるためだろう。想像してみよう。日本と中国の間に尖閣諸島をめぐっての領有権問題が存在している、と認識しているグローバル人材と、尖閣諸島に領有権問題が存在していることを知らないグローバル人材では、どちらが世界で活躍できるだろうか。主義主張の内容ではない。政治が教育に手を突っ込むこと事態が危険性なことなのだ。






2014.1.28火 東京新聞より 米国務長官日本素通り トヨタ労組一時金235万円超要求 福島の自治体運営に危機感

2014年01月28日 | 雑文
2014.1.28火 東京新聞

今日も東京新聞から3つの記事。

1、米国務長官日本素通り 首相靖国参拝影響か 対北朝鮮で中韓歴訪(6面)
2、トヨタ労組235万円超要求 一時金、リーマン前水準(6面)
3、福島の自治体運営に危機感 子ども人口減深刻(こちら特報部)

記事1。これは、ケリー国務長官が二月に中国と韓国を訪問する際、日本を訪問しない方向で調整していることがわかった、という記事だ。オバマ大統領の四月の訪日もすんなり行かないようである。日本政府が期待しているアメリカの態度と、アメリカが日本に見ている価値には開きがあるようだ。アメリカの大統領が民主党か共和党かという問題もあるのかもしれないが、中国の台頭やアメリカ自身の国力の低下などにより、アメリカの世界戦略も変わっているはずだ。アメリカと一緒が大事、ではなく、どんなアメリカとどのようにつきあうのかを考えねばならない。と書いているが、僕自身それを判断すべき十分な知識を持っていない。先日、内田樹の『町場のアメリカ論』を読んだが、もう少しアメリカについて勉強しなければならない。まずは古典でもあるトクヴィルの『アメリカのデモクラシー』でも読んでみよう。


記事2。これは、トヨタ自動車労働組合は2014年春闘で、一時金(夏冬合計のボーナス)について平均235万円超を要求する方向で最終調整に入った、という記事だ。なるほど景気の良い話だ。この記事だけを読んで、日本の経済状況を考えることもできる。しかしその一方、日本では労働者の4人に1人が低賃金の非正規雇用で、約一千万人が年収200万以下の給与所得者でもある。この両方をセットにして、日本の経済システムを考えることもできる。どちらを考えた方が、日本をよりきちんと考えることになるのか。


記事3。こちら特報部らしい記事だ。まずは記事についた大小の見出しを並べる。
・福島の自治体運営に危機感 
・子ども人口減深刻
・2市町22%減
・高齢者増加も
・20~34歳人口流出も目立つ
・震災後村民税7割減
・川内村に住むのは56% 40歳以下4分の1に
・若い世代ほど帰らない意思
・行政サービスすべてやるのは困難

なんとなくイメージがつかめるだろう。次にリード文を載せる。
『福島県は24日、東日本大震災以降の同県の人口動態統計を発表した。県全体では今年元旦の人口は、2011年3月1日当時と比べ、7万8000人(3.9%)減の194万5000人。当然、東京電力福島第一原発周辺の自治体で減少が著しい。政府は「帰還」と「移住」の双方を掲げているが、原発周辺の町村では自治体の運営自体に危機感を募らせている。』

いまだに14万人近くが避難している福島県だ。人口が減っていることは想像できる。しかし一歩踏み込んでみると、単なる人口減少とは言えない問題があることが分かる。世代や性別による人口バランスが崩れているのだ。大人と子どもでは子どもの減少が多く、男女間では女性の減少が多い。父親が仕事のために県内に残り、母親と子どものみで避難するケースが多いからだろう。(同時にそれは、家族がばらばらになっていることでもある)。その一方、大熊町では65歳以上の高齢者が5.5%増加している。古里で暮らしたいという人が多いのだろう。(そう言えばチェルノブイリ事故後もそういった高齢者たちがいた)。

これらを合わせると、問題は自治体からの単なる人口減少ではなく、高齢化自治体の誕生ということになる。自治体としては介護や医療面でのサービスを重視せざるを得ない。しかしその一方で、人口流出により税収は落ち込む。はたして自治体は維持できるのだろうか。

以前、『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』を読んだ。県の行政機関や福島医大が放射能の健康への影響をとにかく小さく見せようとしている理由の一つに、人口流出を抑えるということがあるのを知った。県を維持するためには県民が必要だからだ。これを読んだとき、国を守るためには国民を犠牲にするのと同じ構図だと思った。そして行政システムというのは、一人一人の民ではなく、県や国というもののために存在しているのだとあらためて思った。

出来事は一つでも、言語化する視座が異なれば、出来事はさまざまな姿をとる。行政システムという視座から言語化すれば、そこからの合理性が見いだせる。民の視座から言語化すれば、そこからの合理性が見いだせる。ジャーナリズムの使命は権力の監視だ。その意味では、行政システムの視座をきちんと整理して伝えることも必要である。(監視するということは、相手の合理性をきちんと把握することから始まる。いたずらに反対すれば良いのではない)。そして同時に、民の視座をきちんと追いかけ、その合理性を言語化し、行政システムのそれと対比し、一人一人の読者に、あなたの生きている場所はどちらなのか、と問うことが大切である。



2014.1.27月 東京新聞より1NHK会長慰安婦発言 2原発再稼働反対60% 3生活保護法改正

2014年01月27日 | 雑文
2014.1.27月の東京新聞

今日も東京新聞から気になる記事を3つ選んだ。
1、NHK会長慰安婦発言 国内外で波紋(一面)
2、原発再稼働反対60% 共同世論調査(二面)
3、生活保護法改正 現場に寒風 申請への圧力じわり(こちら特報部)

この数週間続けていた本文の書き抜きは、基本的には行わないことにした。必要とあらば、個人的なノートを別に作れば良い。また当初の目的、自分の意見の情報源を示すことに関しては、新聞名と日付を示せば一応クリアできる。おかげで時間的にはかなり楽になった。その分、考える時間をとれるようになる。良いことだ。

さて、まず1の記事。NHKの籾井勝人会長の問題発言だ。予想通りの反応である。民主党の大畠幹事長と日本維新の会の松野幹事長が問題視しているし、籾井氏を会長に選出したNHK経営委員も困惑している。海外では当然のように韓国与党が批判している。

まず気になるのは、アメリカがこの発言をどう捉えるかである。少なくとも、安倍色の強い人材が日本の巨大な報道機関の会長になったことはつかんでいるはずが。そういう人間のこういう発言を、昨年末の安倍首相の靖国参拝とつなげて考える可能性はないだろうか。安倍政権はただでさえオバマからは好感を持たれていない。日米同盟を最重要に考える勢力にとっては面倒な話のはずである。

今日の夕刊には籾井氏本人の釈明と、菅義偉官房長官の発言が載っていた。籾井氏本人は『「個人的意見としても言うべきではなかった。非常に不適切だったと思う」と述べ、発言は適切ではなかったとの認識を示した』そうだ。さすがに「誤解がある。丁寧に説明する」とは言わなかったが、簡単に撤回せねばならない発言をしてしまうのはNHK会長としての資質に問題があると思う。

一方、菅官房長官は記者会見の一問一答で「籾井会長が個人として発言されたものと承知している」「会長(としての発言)ならばすべて取り消すと言っているので、問題ない」と言ったそうだ。やれやれ。発言内容に問題があるかどうかは、賛否があるだろう。僕としては、会長として聞かれたことに、個人として答えてしまうような人物は、お粗末だと思う。少なくとも、その発言によって国内外からマイナスの反応が起こっている。自民党は身内(なのだろうな)に対してこそ、もっと厳しくしないと日本が損なわれる。

2の記事。自民党政権が原発の再稼働を推し進めているのは周知の事実だ。衆院選と参院選という二度の国政選挙で原発問題を争点化を避けた。おまけに「すぐにとは言えませんが、原発は減らしますよ」などと言っていた。(記憶が定かでないが)衆院選での自民党の得票数は、民主党に政権を奪われたときよりも少なかったはずだ。それに参院選では、野党の合計の得票数の方が、自公の合計よりも多かったはずだ。そういう状況での世論調査での60%の原発反対である。ないがしろにはできないはずだ。

問題はきちんとした手順なのだ。欲しいもの、達成したいことは誰にでもある。しかし、姑息なやり方はダメだ。(僕が姑息というのは、子供たちに胸を張ってまねをしろと言えないようなやり方だ)。少なくとも長期的な視点で、共同体をよくしようとするなら、手間がかかってもきちんとした手順を踏まねばならない。原発事故はまだ終わってはない。福島第一原発でメルトダウンした核燃料を取り出すための技術も確立されていないし、何十年もかかるとされる。福島ではいまだに十五万人が避難生活をしている。そういう情報が断片的にであれ、人々に知れ渡っているからこそ、60%もの人が再稼働に反対しているのだ。

東京都知事選での原発の争点化に対して、政府は「原発の再稼働は国が決めることだ」と言っている。間の抜けた言い草だ。2回の国政選挙で争点化を避けたからこそ、こういう形で争点化せざるを得ないのだ。国が決めるというのは政府が決めるということではない。国民が、国民の代表である政治家が決めるということだ。だとしたら、国民投票か、原発問題をきちんと争点化した国政選挙でもやるべきなのだ。


記事3の生活保護について。これは記事の概要を示すためにリード文を引用する。『困窮者と信じ、生活保護の申請に付き添った大阪の支援団体が昨年、家宅捜査を受けた。「制度見直しの一連の動きにつながっている」と支援者らはみる。昨年末、生活保護法が改正された。できる限り申請を受け付けない「水際作戦」強化で、本当に必要とする人が排除されないよう注意が必要だ』というものだ。

まず、昨年末は、特定秘密保護法が問題になったせいで、生活保護法の改正はあまり話題にならなかったが、本当はもっと話題になっても良いものだったらしい。この問題についてはあまり理解していないので、基本的なことをいくつか確認しておく。

前にも書いたが、「貧困者を政府が助けるべきか」という質問に対して、日本では3割の人が反対したという。これはアメリカよりも上で世界でトップらしい。政府が助けるべきではない、と言う人が、人々の相互扶助で何とかすべき、と考えているわけではないだろう。自己責任で、ということだろう。だとすると、国も生活保護の申請者を減らそうとし、国民の多くも自己責任でやれ、というのが日本の社会ということになる。

追いつめられる人が出てこないのだろうか。その人は社会や市井の人々をどのような目で見て、何を思うだろう。ぎりぎりまで追いつめられたとき、どんな行動に出るだろう。孤独死か社会への復讐だろう。ある生活困窮者の個人の問題や責任を云々することもできる。その一方で、住み心地の良い社会を作るという観点から貧困問題を見ることも大切だろう。

ちなみに、生活保護を受けている人は過去最多の状態にある。受給者は昨年10月現在で、全人口の1.6%、約216万4000人(159万5000世帯)だ。そして13年度の保護費の総額は約3.8兆円だ。とはいえ生活保護の補足率は多くても2割だという。受給資格があるのに受給できていない人が8割もいるのだ。単純計算すると、生活保護受給資格者は全人口の8%、1090万人ということになる。とてつもない数だ。全員に支給できる財源があるのかはわからない。不安である。
ちなみに不正受給は約35500件、約173億円。少なくはないが、不正受給は受給者全世帯の2.4%、保護費総額では0.5%である。

「生活保護」という言葉を中心に、不正受給という問題を考えることもできるし、日本の貧困問題の現状を考えることもできる。日本社会を長期的な視点で良いものにするためには、どちらの問題の方が大切なのか、そのあたりからみんなで整理していくことが必要なのだろう。

1.26㈰の東京新聞⑴工場契約社員逮捕⑵NKH新会長問題発言⑶子宮頸癌ワクチン問題

2014年01月27日 | 雑文
2014.1.26㈰の東京新聞から三つ記事をあげる。
⑴工場契約社員逮捕 冷凍食品農薬混入の疑い 群馬県警(一面トップ)
⑵秘密保護法しょうがない・慰安婦どこにもあった NKH新会長問題発言(一面)
⑶子宮頸癌ワクチン問題(こちら特報部)

⑴の記事で考えたこと。一面トップには新聞社が最も重要だと思うものが来るはずだ。確かに冷凍食品の農薬混入はインパクトが大きい事件だった。しかし重要度とはインパクトの大きさだけではない。一見地味でも、その問題を通して社会や時代の問題が見えてくるようなものも重要だ。

この手の事件では、二つのことをうまく切り分ける必要がある。一つは、事件の個別性をしっかり追いかけ、一人の人間がある犯罪を犯すに至った、その道筋を言語化することである。言い方を換えれば「どうして、こういう出来事が起きたのか」を捕まえることである。

「どうして」という言葉はデリケートに扱わねばならない。「どうして」という言葉には「どのように」と「なぜ」という二つの意味が含まれるからだ。「なぜ」という問いに求められるのは、容疑者(犯人ではない)の「意図」である。容疑者が明確な目的を持って計画的に何かを行った。そういう話は理解しやすいし、私たちはそういうものを求めがちである。そんなことを考える人間は(自分とは違う)悪い人間であり、そんなヤツには刑罰を与えれば良い、となるからだ。しかし、往々にしてこの手の犯罪における「意図」は、逮捕後の取り調べで事後的に「言語化」されるものである。(事件前に手記や犯罪計画書が作られていれば別だが)。全体としてつじつまが合うような言語化されたような意図などなかったのではないかと思う。(そのことが犯罪に対する処分を軽くする理由になるとは思わない)。

もう一方で「どのように」ということを考えることが必要だ。ある一人の人間がどのような道をたどって、このような犯罪を起こすことになったのか。それを丁寧にたどるのだ。おそらくであるが、可能性や多様な選択肢をもって生まれたはずの一人の人間が、時間とともに可能性や選択肢が狭められ、最後には追いつめられるように、ある行動に行き着く姿が見えてくるだろう。本人にとっては選びようのない一本道しか見えなかったのだろう。しかしあくまで、本人にとっては、だ。傍から見れば、その途中にいくつもの選択肢が見えたはずである。

つまり、傍から見ればいくらでも選択肢があるにも係わらず、歩んでいる本人は一本道だと思い、悲惨な方向へと突き進む。そんな姿が見えてきそうな気がする。この出来事を、個人の犯罪ではなく社会の問題とするならば、選択肢が見えなくなっている個人に、ほかの可能性を示すような豊かな人間関係が、いまの私たちの社会に存在しているか、という問いになる。

⑵の記事。やれやれ、である。こういう考え方の人がいることは知っている。そして安倍ちゃんと仲の良い人らしい考えであることも分かる。しかし、NHKの会長がこういう発言をすることの意味が分かってるいのだろうか。国内、国外またいろんな反応が来るだろう。この人も「誤解がある。正していく」とか言うのだろうか。

⑶の記事。やはり東京新聞は「こちら特報部」が面白い。ときどき外した企画もあるし、中には粗っぽい記事もあるのだが、ちょっと立ち止まって考えるのに良い記事が多い。子宮頸癌ワクチンを接種した女子中高生に副作用らしい原因不明の体調不良が出ている、ということは知られているだろう。副作用の症状としては、全身各部位の痛み、倦怠感や記憶障害、計算障害など多岐にわたる。年単位で学校にも通えない人もいるようだ。

副作用らしい原因不明の体調不良、と書いたのは、ワクチンによる副作用だという因果関係が証明されていないからだ。もちろん時系列的に事象を並べれば、ワクチンを接種した。その結果、体調がおかしくなった。ということははっきりしている。医者に行っても「精神的なものだろう」とか「ワクチンは関係ないから、忘れなさい」と言われた人もいる。

もちろん個々の医師の多くは、きちんと症状に向き合って対処しているのだろう。(とは言え、副作用と認められないと、医療費とか、症状による学校通学への影響は自己の責任になってしまうだろう)。しかし問題は、副作用問題以後に、医師ら十五人の委員で作る専門部会のメンバーのうち、九名が製薬会社から資金提供を受けていることだ。そして専門部会は「接種時の痛みや不安感が症状として現れたものだ。ワクチンが神経の異常や中毒、免疫反応を引き起こしている可能性は低い」との見解で一致している。

断片的な知識しかないが、水俣病やカネミ油症事件、原発事故後の福島県立医大の健康調査などと、今回の問題も構造的に似ているようだ。冒頭、一面トップではインパクトの強いものが扱われやすいと書いた。日々の出来事を追いかける新聞となると、どうしても出来事の個別性の強さを求めてしまう。しかし、出来事の表面は違うが、同じことが繰り返されているという観点からインパクトを強めることもできるはずだ。そしてそのような「繰り返し」の認識は、出来事の記憶につながり、考えに時間的な広がりを持たせることになる。


昨日までと違うやり方の【東京新聞より】

2014年01月25日 | 雑文
2014.1.25㈯の東京新聞

昨日までの記事の書き抜きをやめてみた。記事を写す時間がない分、多少、内容について考える時間がとれた。とは言え、それほどきちんと考えられた感じもしない。やはりベースとなる体系的な知識が圧倒的に足りないのだろう。しばらくは紆余曲折という感じだ。

今日の東京新聞の1面トップは、東京都知事選に絡めた原発問題だ。【2つの岐路 東京都知事選 ゼロか再稼働か 原発 国を動かす一票】というものだ。しかし僕が個人的に今日のニュースから3本選ぶとしたら次の三つだ。

⑴首相の靖国問題広がる波紋 再参拝しない確約を WSJ報道 米政府が要求
⑵「屈しない」怒りの鎖 3000人国会包囲(特定秘密保護法)
⑶【こちら特報部】 いらだつ福島 民意なき復興

⑴を取り上げたのは、靖国問題は日本と中国・韓国の間だけの問題ではなく、アメリカを始めさまざまな国から批判の声があることを前提として考えねばならないと思うからだ。首相の靖国参拝に賛成する人で、中韓以外からの批判をどれだけの人が想像していたのだろうか。この当たりは新聞に調査をしてもらいたいものだ。政府は基本的に、安倍首相の参拝を理解できない相手国が誤解している、という言い方で逃げ切ろうとしているようだ。しかしそれでは通用しないだろう。

東京裁判には問題点はある。その意味でA級戦犯を素直に受け入れられない心情も理解できる。だからといって、自分たちの主観的な合理性を述べるだけで、それに批判する国には「誤解である」と言い続けるのは下策だ。自らが正しく相手が誤解しているとき必要なのは、相手の理路に乗っかりながら、その理路が破綻していることを示すことで、相手に過ちを気付かせてあげることだ。自分は正しい、自分は正しい、とだけ言っているのは、駄々っ子のようである。

⑵を取り上げた理由は、東京、毎日、朝日以外の新聞ではこのことを取り上げなさそうだからである。(ネットで検索したところ、読売、日経、産経にはなかった)。それぞれの新聞社が自分たちの基準で紙面作りをすることは問題ない。そこに書かれていることはどれも嘘ではないだろう。しかし、何を書き、何を書かないかに関しては、恣意的にコントロールできる。その意味では、新聞のみならずあらゆるメディアは客観的ではない。東京新聞を読んで日本や世界の出来事を把握している僕と、日経新聞を読んで日本や世界を把握しているあなたでは、そもそも見ている日本や世界が異なる。

人間の厄介さ一つは、どんなことにも意見らしいものを述べられることだ。「原発の再稼働は賛成ですか?」「特定秘密保護法は必要だと思いますか?」「首相の靖国参拝を評価しますか?」。どんな質問にも答えようとすれば答えられる。自分たちが持っている情報を、自分の価値観に照らせば良いのだ。

原発を再稼働しないと、電気代が上がり日本経済がダメになり、東京五輪も失敗し、CO2も増え続ける。そういう情報にばかり接している人は、「再稼働は当然だ」と答えるだろう。原発を再稼働しても電気代はいずれ1.7倍くらいになり、東京五輪は招致時に原発がなくても電力は問題ないと言っていた、CO2は問題だが原発事故の被害や、高レベル核廃棄物の処分問題は大変だという情報をもっている人は、「いま原発は動いていないけど何とかなっている。新しい発電技術を開発して、それを世界的に広めていった方がよい」と答えるだろう。

持っている情報が異なるということは、見ている世界が異なるということだ。ましてや価値観が異なればさらに錯綜する。価値観に関しては、自分を為政者に同化させた視点から物事を判断するか、自分をもっとも困難な場所にいる人間に同化させた視点から物事を判断するか、自分には関係のないこととして判断するかの三つである。新聞社の立ち位置も案外、この三つにわけられるかもしれない。

⑶を取り上げるのは、福島について日本人は忘れてはいけないと思うからだ。忘れてはいけないと言うよりも、折りに触れて、思い出す努力をしなければならないと思う。僕自身は福島に親戚や知り合いがいるわけでもなく、なじみの土地というわけでもない。思い出させてくれる、と言う意味では、東京新聞の「こちら特報部」はとても役に立つ。しつこいくらいに福島を取り上げてくれる。原発を絡めて福島を見ていくと、日本のさまざまな問題点が見えてきそうだ。福島では原発事故により、その問題点が一挙に出てきた。あまりに一挙に出てきたので、日々、新聞を読んでいても全体像がうまく整理できない。しかし、ここで整理しておけば、今後の日本社会の変化を良い方に持っていける可能性が出てくる。事故を無かったかのようにして、以前と同じように原発を動かすのでは、問題が山積されるだけになる。



風邪でマラソンあきらめる。そして【東京新聞より】

2014年01月25日 | 雑文
ブログ

今週火曜日から風邪を引き、直すべく守りの日々を送っていたが、結局、気管支が少し痛むような咳が止まらない。明日の若潮マラソンはあきらめることにした。本来なら、今ごろ(午前11時55分)館山に向かい車を運転していたはずだ。少し残念だ。とは言え、次のレースは3月末の板橋cityマラソンと決まっている。早めに咳を治してランニングを再開させよう。

さてさて、東京新聞から記事を書き抜くことを始めて1ヶ月近くが経つ。なかなか大変である。予想したいたが、時間が足りない。時間を短縮しようとすると、ただ新聞を書き写すだけになる。当然、理解は浅くなり、僕自身の知識としても蓄積されない。「書き写す」という手段が、いつのまにか目的になってしまう。

しかしそれ以上に問題なのは、人が読むに値するものになっていない、という点だ。自分の持ち時間と、引っかかる記事の傾向性、それに対しての自分の意見など、少しずつクリアにってきたので、そろそろ具体的に改善していこう。


2014.1.20㈪

この日は、記事を拾いすぎている。長短合わせて11本書き抜いている。ただそのうち7本は「沖縄、名護市長選」絡みだ。これに関して僕が思うのは三つだ。

一つ。お金さえだせば人の心まで思い通りにできると思っている政府のやり方に対する嫌悪感。確かに人が生きていく上でお金は必要だし、大切である。しかしそれはあるポイントまでだ。人の命がかかわればお金は二の次になる。沖縄は日本で唯一民間人を巻き込んだ地上戦が行われた場所だ。たしか県民の四人に一人が亡くなっている。

二つ。政府が「地方の選挙結果なので、国政には影響はない」と言っていることだ。これはある意味、国家権力の素顔である。国家が最終的に守るのは一人一人の国民ではなく国家なのだ。国家が守る国民は国家に従順な国民だけである。都知事選では原発が争点化しそうだが、ここでも原発は国政が決めること、という言い方をしている。

三つ。相変わらずの閣僚の言葉遣い。「なぜ辺野古なのかの理解がなかなか得られなかった」。その場、その場の逃げ口上には使えるが、時間とともに積み重なると結構厄介になる。靖国問題でも同様の言葉遣いをしている。個人的な場面を想像してみよう。意見の違う相手から常に「なかなか理解してくれないね。君には誤解があるようだ」と言い続けられたらどんな気分になるだろうか。建設的な関係を気付こうとするだろうか。国内ならお金で解決し、国外なら衝突する。そんな道しかなくなる。

【こちら特報部 原発資料開示裁判所が決定 東電それでも拒否 賠償法盾に「争点にならない」】
東京電力を相手取った福島原発事故の賠償をめぐる裁判の一つで昨秋、原告側である被災者の資料開示要求を認めた裁判所の決定を、被告の東電側が「必要ない」と拒否する事態が起きた。被告には決定を拒む権利はあるものの、事故を起こした張本人が原因に関する資料を抱え込んだ形だ。
裁判で、原告側は国と東電の過失責任を追及する立場から、東電に「福島原発事故以前に検討していた津波の予想、原発の安全性についての資料」を開示するよう求めてきた。
文部科学省の地震調査研究推進本部は2002年、太平洋の日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の地震が30年以内に約20%の確率で起きるとする「長期評価」を出した。
東電は6年後の08年、この長期評価をもとに「福島第一原発に最大15.7㍍の津波が来て、四号機の原子炉建家周辺は2.6㍍浸水する」と予測した。にもかかわらず、東電は必要な安全対策を取らず、福島第一での事故が起きた。
昨年11月の第三回口頭弁論で、塩見直之裁判長は原告側の主張を認め、東電側に文書を提出するように決定した。しかし東電側は「必要性がないと考えるため、(中略)応じかねる」と、裁判所の決定を拒否した。決定には強制力がなく、東電側の対応に法的な問題はない。
東電は今回の裁判で、事故の際には、電力会社が過失の有無に関係なく賠償責任を負うと定めている「原子力損害賠償法」の規定を逆手にとり、裁判では過失の話を持ち出さず、賠償の話しかしない、という姿勢に徹してきた。
資料の開示拒否もその延長線上にあり、東電の言い分はA4判2枚の回答書に記されていた。「裁判所では事故の過失が争点にならないので、過失に関係する文書を出す必要性がない」
東電の「不誠実な対応」は今回に始まったことではない。二本松市のゴルフ場が11年、東電に汚染の除去を求めた仮処分申請で、東電側は「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではなく、除染に責任を持たない」と持ち主のない「無主物」論を展開。驚くことに東京地裁もゴルフ場の訴えを退けた。

【移設反対派再選 名護市長に稲嶺氏 政権に打撃 普天間難航必至】
昨年末の仲井真弘多知事による埋め立て承認を受けた政府の移設推進方針は地元の同意を得られず、安倍政権に大きな痛手となった。……米政府が早期移設を求める中、計画遅延が日米関係に影を落とす事態も想定される。

【解説 基地は不要 沖縄の民意】
名護市民の多くは、移設と引き換えに政府が振興策を約束したことに「沖縄はカネにつられて基地を受け入れると思われてしまった」と反発した。……市長選は一地方の選挙だが、民意より日米関係を重視する安倍政権の安全保障政策に待ったをかけた。

【南相馬市長に桜井市が再選 「原発に頼らない政策を」】
福島県南相馬市長選が19日投開票され、「脱原発」を訴えた無所属現職の桜井勝延氏が再選を果たした。……桜井市は「国も東電も、現場を全く分かっていない。霞が関の官僚も政治家も知恵を絞り、原発に頼らないエネルギー政策を考えて欲しい」と述べた。

【筆洗】
規制委のメンバーからは、こんな声すら出ていたはずだ。「(福島原発の)汚染水問題などで東電の話を聞いていると、放射性物質を扱うノウハウが十分にあるとは思えない。(再稼働申請を)出してきたことに、驚きを感じる」。

【対米偏重に「ノー」 露骨な振興策裏目】
政府の2014年度予算の編成に合わせ、沖縄振興予算に概算要求を上回る3460億円を盛り込んだ。さらに、安倍晋三首相は沖縄振興予算として、21年度まで毎年3000億円台を確保すると異例の約束までした。……石破茂幹事長は投票三日前「安倍政権として全面的に支援し、国、県、市が協力して新たに500億円の名護振興基金をつくる」と唐突に表明した。高市早苗政調会長も選挙前に、那覇市で沖縄の主要企業幹部らを集め、21年度までの沖縄振興予算を売り込んだ。

【辺野古「反対」65% 振興策期待せず52%】
沖縄県名護市長選で共同通信社が19日に実施した出口調査によると、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について65.4%が「反対」「どちらかというと反対」と答え、市民の間に批判が根強いことが浮き彫りになった。
政府による振興策に関しては「期待しない」「どちらかといえば期待しない」が52.7%に上った。

【計画停滞懸念 米政府】
米政府は19日の沖縄県名護市長選で、米軍普天間飛行場の移設受け入れに反対する現職の稲嶺進氏が再選されたことについて、移設計画が停滞しかねないと懸念している。

【社説 「辺野古」強行許されぬ 名護市長選】
菅義偉官房長官は、市長選の結果は辺野古移設には「全く影響はない。国民の生命、財産を守る観点からも予定通りに進めさせてほしい」と述べた。
12年の衆院選で、自民党本部は普天間移設を公約に明記せず、沖縄の同党公認候補はそれぞれ県外移設を訴えた。13年参院選では党本部は県内移設を掲げたが、党沖縄県連は県外移設を「地域公約」として訴えた経緯がある。国政選挙で自民党を支持した沖縄の有権者にとって県外移設こそ自民党との公約だ。
琉球新法など地元メディアの県民意識調査で、知事の埋め立て承認を支持する回答は34.2%で、不支持は61.4%。しかし、共同通信の全国世論調査では、承認を評価する回答は56.4%、評価しないは30.7%と、全く逆だ。

【こちら特報部 トキ繁殖に影響か ミツバチ大量死?ネオニコ系農薬 国は使用緩和検討 「虫だけ作用」疑問】
田畑の害虫駆除に使用されるネオニコチノイド(ネオニコ)系農薬が、国の特別天然記念物のトキの繁殖に影響していないか、神戸大大学院の星信彦教授は、そう疑問をなげかける。ネオニコ系農薬は、ミツバチの大量死との因果関係も懸念されている。
ネオニコ系農薬は昆虫にしか作用しないというのが売りのはずだったが、否定されつつある。……補遺教授はトキはし田んぼで餌を探すため、ネオニコ系農薬が何らかの影響を与えた可能性があると考えた。トキは実験の対象にできないので、かわりにウズラで実験を始めた。
雄のウズラにネオニコ系農薬のクロチアニジンの水溶液を30日間ほど飲ませたところ、濃度が増すにつれ、精子のもとになる生殖細胞が減少した。
……クロチアニジンをめぐっては、厚生労働省は昨年十月、ほうれんそう、ハクサイ、トウモロコシなど約四十種類の食品に含まれる残留基準値を最大2000倍、緩和する方針を示し、パブリックコメントを募集。
星教授は「欧州連合(EU)では、ネオニコ系農薬3種類の使用を禁じている。ネズミに影響があるという研究結果もあり、人への悪影響も疑われている。基準の緩和は時代に逆行している」と指摘している。

【名護市長再選 政府与党幹部 「辺野古進める」】
小野寺五典防衛相も「地方の選挙なので辺野古の問題に直結するとは考えていない。普天間の危険性除去のため、移設案を着実に進めていきたい」と述べた。自民党の石破茂幹事長は「なぜ辺野古なのかの理解が、なかなか得られなかった」と述べた。



2014.1.21 ㈫

この日は7本の記事を書き抜いていてる。3本が原発絡み、3本が沖縄絡み、1本が医療費の問題だ。

原発絡みでは、「指定廃棄物処分場の問題だ」。政府は候補地に、指定廃棄物の処分場とセットで公共施設の整備など地域振興策も併せて提示したという。一方から見れば、条件が満たされている場所に処分場を作るのは当然だ。ただ、作りっぱなしは失礼なので、その分、感謝を込めて地域振興策などもする。というきれいな話に見える。もう一方では、誰もがいやがるものを、経済的に困っている地域に札束をちらつかせて押し付ける。もちろん、受け入れる地域には利権構造を作り上げ、コントロールしていく。そういう話しにも見える。

森元首相の「原発即ゼロなら五輪は返上しかない」というのはあきれる。ただ、それ以上に気になるのは、原発がゼロになると五輪が成功しないと思っている国民がどれくらいるかだ。立候補時には原発抜きでも開催は可能だ、と言っていたことを再確認するべきだ。原発事故と五輪を切り離しながら、原発電力と五輪を関連付けるのは恣意的だろう。その日、その日のインパクトのある出来事のみを追いかけるのではなく、過去の発言や出来事をきちんと記憶する力が日本社会は弱いのではないか。

【秘密保護法 言わねばならないこと 社会学者 田仲康博氏】
基地問題で、東京のマスコミが使う「移設」という言葉自体がまやかし。県民が求めているのは普天間の「撤去」。「移設」と言った瞬間に、どこかに移す場所を設けなくてはならないという理論になる。
基地問題の根幹は、日本政府がどう考えているか。沖縄には、実は米軍基地よりも多く自衛隊基地がある。辺野古に造りたがっているのは米軍なのか、日本政府なのか。いずれ米軍が去った後も、辺野古の基地は国軍の基地として県民の驚異であり続けるのではないか。

【指定廃棄物で環境省 宮城の処分場3候補を提示】
候補地への公共施設の整備や、風評被害対策の支援といった地域振興策も併せて提示した。

【六ケ所村再処理工場 火砕流2回到達?痕跡】
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の敷地に、火山噴火に伴う火砕流が3万2000年前と1万5000年前の2回到達した可能性が分かった。
規制委の「火山影響評価ガイド」は、火砕流がおよび可能性が十分小さいと評価できない場合は原発の建設を禁じており、規制委が進める再処理工場の審査で、これらの痕跡をどう判断するか注目される。

【社説 医療費の増大 患者が納得する節減を】
医療機関に支払われた治療費や薬代などの費用総額が国民医療費だ。
公表された2011年度の額は約38兆6000億円、国民一人当たり初めて30万を突破した。
ここ数年は毎年、1兆円ずつ増えている。本年度は40兆円を超しそうだ。理由は高齢化と、技術の進歩で高度な治療・検査が普及した医療の高度化である。
高齢者には複数の医療機関で重複して薬をもらったり、種類が多くて服用をやめる人が少なくない。こうした残薬は全国で年間約500億円との推計もある。

【こちら特報部 「放言」再び 政治利用】
2020年東京五輪の大会組織委員会会長に決まった森喜朗元首相が「即原発ゼロなら五輪は返上しかない」と発言したことに対して、「五輪の政治利用につながる」との批判の声が上がっている。
首都大学東京の桝本直文教授(オリンピック研究)は、「五輪には政治利用から距離を置くという理念がある。都知事選も政治。組織委員会の会長という立場として好ましくない」と話す。
東京五輪に必要な電力について、昨年一月に招致委員会がIOCへ出した「立候補ファイル」では「既存の配電システムで東京大会が発生する追加需要に対応できる」と断言、原発抜きでも開催が可能だと強調している。

【こちら特報部 名護市長選 移設推進派落選の意味 札束攻勢の限界露呈】
実は辺野古移設関連事業はすでに始まっている。防衛相が笠井亮衆院議員(共産)に提出した「普天間飛行場移設に関する業務発注一覧表」によると、日米が、辺野古の米軍「キャンプ・シュワブ」内でのV字型滑走路建設で合意した2006年度から12年度末までに、242件の事業が実施され、落札額295億円もの「移設マネー」が動いている。
「一覧表」の落札業者や経営者の一部は、県選出自民党議員や政党支部に献金したり、パーティーに支出したりしている。

【辺野古移設入札を公告 稲嶺市長「選挙結果無視で無神経」】
沖縄防衛局(沖縄県嘉手納町)は21日午前、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設に向け、代替施設の設計などの受注業者を募る入札を公告した。
19日の名護市長選で辺野古移設に反対した現職稲嶺進氏が再選されてからわずか二日後の移設手続の開始に地元市民は反発を強めている。



2014.1.22㈬

この日も、原発、特定秘密保護法、辺野古基地問題の三つだ。この中できちんと取り上げるべきだったのは、「有識者結論前に法案作り」だ。記事の内容も大事だが、日本社会について考えようとするなら、きちんと行政官僚機構について理解することが必要だ。そしてそれは、新聞を読んでいるだけでは無理だ。新聞ではどうしても一つ一つの出来事を追いかけることになる。そこには傾向性は存在するが、全体的な構造理解にはつながらない。新聞の時間を減らして、そのあたりを別の形で追いかけねばならない。

【こちら特報部 有識者結論前に法案作り 秘密法官僚主導の「新証拠」 省庁にメール国会答弁と矛盾】
特定秘密保護法のたたき台を作ったとされる有識者会議の存在が、形ばかりだったことを示す新たな痕跡が見つかった。同会議が政府へ報告書を提出する以前に、内閣情報調査室(内調)が法制化作業を進めていた。有識者会議は「官僚の隠れみの」と批判されているが、建前を露骨に無視して官僚たちは法制化を進めていた。
55㌻の報告書は2011年の8月8日にまとめられ、それを基に政府の「情報保全に関する検討委員会」が法制化の可否を協議し、同年10月に法制化を進めることが決められた。ところが、……報告書が出る一週間前の8月1日に、内調が「関係省庁等担当各位」宛で「秘密保全法制に係わる検討資料等の協議について」と題した電子メールを送信していた。……有識者会議の報告や政府の正式決定を無視し、内調は法案作成へ動き出していたことになる。
ただ、こうした法制化作業が公には「フライング」であることは内調も認識していたようだ。メールの文書には「法案化作業については、今後開催される検討委員会の決定により開始される予定ですので、資料の取り扱いについてはくれぐれもご注意願います」と書き添えられていた。

【欠陥タンク延命図る 福島第一漏水不安のボトル締め型 「溶接型に転換」後退】
東京電力は、水漏れの不安を抱える福島第一原発のボトル締め型タンクに、漏水防止の延命策を施し、数年の間は使い続ける方針を決めた。漏水しにくく耐久性が高い溶接型タンクに早急に置き換えるとしていたが、増設が急速には進まず当初の方針から後退した。
タンク内の水は、溶け落ちた原子炉内の核燃料を冷やした後の水。放射性セシウムはおおむね除去されているが、高濃度の放射性ストロンチウムなどが残る。

【辺野古移設 政府手のひら返し 500億円基金空手形に 入札公告強行「アメ」やめ「ムチ」】
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題で、政府は21日、代替施設の調査や設計の業者を募る入札を公告し、作業に着手した。その一方で、名護市向けの500億円の基金創設は立ち消えになりそうで、基地受け入れ関連の交付金は今後も停止を続ける。
政府は自民党の石破幹事長が選挙中に約束した500億円の振興基金創設を空手形に終わらせようとしている。沖縄振興策を担う内閣府の担当者は「全く検討していない」と明言する。
安倍晋三首相は21日、官邸で記者団に「地元の理解をいただきながら、誠意を持って前に進めていきたい」と強調したが、政府の対応に理解を得ようという姿勢は感じられない。

【海側井戸310万ベクレル 福島第一最高値】
東京電力は22日、福島第一原発2号機のタービン建屋海側にある観測用井戸で20日に採取した地下水からストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1㍑当たり310万ベクレル検出されたと発表した。……詳しい原因は不明としている。

1月23日㈭

都知事選が始まり、かえって新聞の書き抜きが楽になった。ある意味、新聞で主に報じられるのは都知事選終了までという期間限定の記事だからだ。時間があれば、この機会に「都政」について考えることが必要なのだろう。都政について理解していない人間が、その都政のトップたる都知事を選ぶことができるのだろうか。どうしてもイメージに左右されることになる。
特定秘密保護法に関しては、まだまだ終わっていないということ。新聞の役割の一つとして、継続して報道することが必要だ。それにより人々が自分が考えねばならない時間の幅が広がるかもしれない。特定秘密保護法が過去のことになっている人は何も気にしない。まだ現在のことである人は行動する。これは原発も同じだ。時間の広がりを持たせること。日刊の新聞は日々新しいことをタイムリーに追いかけることができる一方、継続して積み重ねることも可能だ。タイムリーに関してはネットの方が優位だ。だとすれば、時間のつながりを意識させることが大切だろう。東京新聞はその点ではがんばっている方だ。

【社説 東京都知事選】
人口は日本全体の1割を超す1300万人。スウェーデンやインドネシアの国家予算に匹敵する十二兆円の予算規模。東京は自治体としては桁外れに大きな存在だ。その一極集中型の発展を支えてきたのは、東京電力がほぼ独占的に賄う電気である。日本の成長エンジンとして、消費量は全国の1割ほどを占めて最多だ。

【こちら特報部 政令乱用防げ 秘密法】
特定秘密保護法は昨年12月に成立したが、施行はまだだ。秘密指定・解除の基準作りや監視機関の整備が済んでいない。閣議で決める政令などで決められていく。

1月24日㈮

日々の新聞の記事も大切だが、個人的には「中央アフリカの少年兵」の話が気になる。たまたま世界のある場所に生まれる。それは戦乱の地である。訳の分からない人間が家にやってきて、両親や家族を殺す。あるいは家族を殺せと強要される。おまえも死にたくなければ戦えと言われる、暴力を伴って。戦場に駆り出させる。そして憎くもない人間を殺す。そしてその記憶が死ぬまでついて回る。そういう風にしか生きることができない人間が、この瞬間、世界中にいる。たまたまある時、ある場所に生まれたからだ。それは自分であったのかもしれない。
マラソンを走るときに時々思うことがある。何に追われるのでもなく、何かを追いつめるのでもなく、自分で好きに走れることはなんと素晴らしいことなのだろうかと。戦争においては、銃を持ち人を追いかけながら走る。あるいは、敵の攻撃から逃げるために走る。そういうことが子供たちに起こらないようにしなければと思う。積極的平和主義というのは銃を持っての追ったり、追われたりということだ。

【東京から日本は変わる 2.9都知事選】

【中央アフリカ少年兵6000人 内乱続き犠牲者増】
内乱が続く中央アフリカ共和国で、武装勢力に十八歳以下の少年兵が約六千人加わっていることが22日、国連の報告で明らかになった。……国連担当者は「少年たちは重傷を負い、殺され、断頭刑を受けている」などと悲惨な状況を説明した。

【本音のコラム 佐藤優】
日本国家のために沖縄の民意は無視するという姿勢が差別なのだ。しかし、差別が構造化している場合、差別者は自らの位置を客観的に認識することができない。
沖縄人は、日本人に比べれば約1%の少数派だ。沖縄人は、人によって程度の差があるが、日本人と沖縄人の複合アイデンティティーを持っている。これを日本人に伝えるのが至難の業だ。

佐藤優氏から学んだ「書き抜き」、そして【2014.1.19東京新聞】より

2014年01月22日 | 雑文
「書き抜き」という手法をとることにしたのは、佐藤優氏の『読書の技法』を読んでインパクトを受けたからだ。佐藤さんは月に300冊以上の本を読む。読み方には5分の速読、30分の速読、そして精読と3種類があり、自分の興味と理解に合わせてそれらを組み合わせている。大切なところはノートに「書き抜き」する。そうやって読んでいると、半年位すると熟成された知識になるらしい。なので僕も新聞を「書き抜く」というやり方をとることにした。半年くらい経ったら、少しは知識が増えているかもしれない。(本当は新聞以外の分野もこれをやりたいのだが……)

2014.1.19㈰

【東海第二や浜岡 30㌔圏避難に2日以上 原発事故 民間団体試算 道路寸断ならさらに遅れも】
原発で重大事故が起こったとき、周辺住民をいかに早く避難させるかが重要な課題となっている。交通や環境問題に取り組む民間団体「環境経済研究所」が、バスやマイカーで原発30㌔圏外に脱出した時間を算出したところ、すべての道路が使えるとの想定でも、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)や中部電力浜岡原発(静岡県)などでは、2日かかっても周辺住民の避難が終わらないとの結果が出た。……試算は、高速道路を含むすべての道路が地震や津波の被害を受けても通れることを前提とした。

→原発事故の場合、放射性物質の影響があるから断言できないが、災害時に車を使うのはあまりよくなさそうだ。関東大震災で死者が多かったのも、大八車に荷物を載せて人々が避難しようとしたからだと聞く。大八車で道路が渋滞し、人々の移動が滞ったのだ。江戸時代にはその当たりは徹底されていて、家事の時には手ぶらで逃げる、という意識が共有されていたらしい。近い将来に想定される首都直下型地震もそうだ。避難時に車を使うと、必ず渋滞する。結局人々は車を捨てて逃げる。車は幹線道路に並ぶ。すべてガソリンを積んでいる。一台、一台引火して、結局、火の海になる。不謹慎な言い方かもしれないが、30キロなら3時間も走れば移動できる。日ごろから足腰を鍛えておくのも必要かもしれない。自分の足で逃げれる人はそのほうがよいかもしれない。

【社説 第一次世界大戦の源泉とは】
サラエボ事件が発端となった戦争は、二重帝国とも呼ばれたオーストリア・ハンガリー帝国を支持するドイツ、イタリア側の三国同盟と、セルビア側に立ったロシア、英国、フランスの三国協商の対立を軸に、中東、中国、米国、そして日本をも巻き込む世界大戦に広がる。5年後パリで開かれた講和会議で終息するまで、死者は兵員だけで一千万人に達したとされる。
開戦に至る国際社会は、欧州をめぐる四つの超大国が黄昏を迎えた時代でした。ビクトリア女王後の大英帝国、革命前夜のロシア帝国、神聖ローマ帝国を継いだ二重帝国、そして解体寸前のオスマン・トルコ帝国です。力の空白を埋めるかのように台頭したのがプロイセンを中心とする統一ドイツでした。
第一次世界大戦の負債をドイツが完済したのは、今からほんの四年前のことです。

→この記事の書き抜きは完全に自分のノートだ。書きながら世界史の知識も断片的なままだと分かる。ただ、この記事を書き抜いても断片的な知識を上書きすることにほかならない。世界史をおさらいすること、というのが次の課題となる。そんな時間がとれるのだろうか?

風邪をひいたようだ、そして【2014.1.18東京新聞】より 

2014年01月22日 | 雑文
風邪を引いた。昨日から眠ってばかりいる。だいぶ体調もよくなったのでパソコンに向かった。東京新聞から気になる記事を書き抜き、ちょっとメモを付けることを始めて3週間以上が経つ。こういう単純な作業を繰り返すと、いろいろ見えてくる。一方では、自分の外側の情報だ。(新聞を読んでいるのだから当たり前か)。もう一方では、そんな作業をしている自分自身だ。

自分の外側の情報といっても、そこにはバイアスがかかっている。東京新聞を読んでいることが一つのバイアスだろう。(読売新聞とはかなり違う情報が載っているはずだ)。また、その中から特定の記事を僕がピックアップしていることもバイアスだ。傾向的には、原発絡みと特定秘密保護法と沖縄問題の書き抜きが多い。人によっては「サヨク」と呼ぶかもしれない。

意見を同じにするには二つの条件がそろえばよい。同じ判断基準を持つこと。そして、同じ情報を持つこと。言い方を換えれば、意見が異なるのは、違った情報を持っているか、違った判断基準を持ってるか、情報も判断基準も違うか、である。

対話というのは意見の異なる人たちが行うものだ。意見が異なりながらも、何とかよい方向にものごとを進めるのが対話だ。だとすれば、異なる意見を持つ相手に感情的に反応するのでもなく、一方的に相手が間違っているとするのでもなく、手順を踏んだ相互のやり取りが必要になるだろう。そのためには、自分が持っている情報を開示することが第一だ。その次に、自分の判断基準を示すことが大切だ。

それにしても、週末には館山若潮マラソンが不安だ。風邪が抜けきるかわからない。それに予報では曇り一時雨の天気だ。まあいい、出たとこ勝負だ。


2014.1.18㈯の東京新聞から。

【秘密保護法の諮問会議始動 議事全文は非公開 渡辺座長「基準は首相判断」】
特定秘密保護法に関し、特定秘密の指定や解除の統一基準を議論する有識者会議「情報保全諮問会議」の初会合が17日、首相官邸で開かれた。……「機密性の高い事柄を議論する場合もある」として、発言者がわかる議事録全文の非公開も決めた。……座長の渡辺氏は会合で「最終的に首相に判断してもらえれば結構だ」と述べた。

→有識者会議は「官僚の隠れみの」という批判をよく聞く。市井の一般人からすれば、有識者会議というのは「あっち側の人たち」という印象だが、僕の記憶では(こういう記憶があいまいなところが弱点だ)、有識者会議は国民の代表である。つまりある事案に関して、国民の代表から話を聞いた行政側がいろいろ決めたという形になる。当然のことがが、有識者会議の人選がポイントになる。官僚側の意見と近い人たちを恣意的に集めればよい。今回の座長は読売新聞の渡辺氏だ。

【プルトニウム輸送 官僚ら独断で「厳秘」 92~93年報道操作法も検討】
1992~93年にフランスから日本へプルトニウムを船で輸送した際、当時の科学技術庁や動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が港や船の名前を非公開とすることを秘密裏に決める一方、報道機関に虚偽の説明をしたり、非公開に情報を漏らす方法を検討したりしていたことを示す内部資料が明らかになった。
核兵器の材料になるプルトニウムをテロから守るとの理由で、官僚が恣意的な情報の扱いをしていたことを示す例と言える。「官僚の独断で秘密の範囲が決められ、何が秘密とされたかも分からない」と批判されている特定秘密保護法が可決され、政府が今後もプルトニウム利用を進める姿勢を示す中、その問題点を浮き彫りにする資料となる。

→官僚が独断で秘密を決めて運用していたという過去の事例だ。特定秘密保護法と絡んだ話だ。ジャーナリストの神保哲男氏などによれば、このような情報の恣意的な扱いは以前から行われていたそうだ。その意味では、今回の特定秘密保護法の内容自体はそれほど新しいものではない。ただ、大きく変わる部分もある。これまでなら議員などが資料の請求をすれば、官僚は提出せざるを得なかった。しかし今回の法案によって、官僚はそれを盾に情報の開示を拒否できるようになる。

【東電破綻処理を 銀行・株主の免責を批判 泉田・新潟知事インタビュー】
新潟県の泉田裕彦知事は、東京電力の新しい経営再建計画について「最大の問題は貸し手責任のある金融機関や株主が免責されていることだ」と指摘。東電を破綻処理して、金融機関などに責任をとらせるべきだとの考えを示した。

→この記事も何度も書き出してしまっている。おそらく自分の中でうまく消化しきれていないからだろう。それは「貸し手責任のある金融機関や株主が免責」という部分だ。日本語としては理解できるが、その当たりの仕組みやルールが見えない。経済に疎いせいだろう。

【筆洗】
小野田さんの方は経済大国となった戦後日本に「精神的断絶」を覚えた。「何でもカネ、カネの戦後日本人」。

→74年にフィリピンのジャングルで発見された最後の日本兵の小野田さんだ。「何でもカネ、カネの戦後日本人」。確かにお金は大事だ。でもお金がすべてではない。子供たちに「お金がすべてだ」と教えるか、「お金がすべてではない」と教えるか。どちらの人が多い社会がよいのか。小野田さんには、多くの日本人が「お金がすべてだ」と言っていると見えたのだろう。

2014.1.14~1.17の東京新聞より

2014年01月18日 | 雑文
疲れた。後半分のアップだ。コメントというよりも、書き出したものを読み返している程度の感じだ。前半分と合わせて18000字を超えている。いくら何でもひどい。それでも手応えはある。まあ、やりながら変えていくしかない。

今日は午前中は前半分の整理。昼には8kmほどランニング。来週末には館山若潮マラソン。最終調整の段階だ。(とは言え、今回のレースは3月のレースの準備の意味もある)。午後は長男の誕生日プレゼント(ビクトリックスのアーミーナイフ)を買いに銀座に行く。帰宅して八百屋に買い物。夕食後、再び後半分の整理。そしてこれから、今日の新聞をチェック。いかれている。

1月14日(火)

【核燃料トラブル184体 使用済み 全国で抱える】
全国の原発に、表面に小さな穴が開くなどトラブルが起きた使用済み核燃料集合体(核燃料)が計184体あることが、各電力会社への取材で分かった。……ウラン燃料を包む金属製の筒は、放射能が外に漏れないよう閉じ込める重要な「壁」の一つ。そこに異常があり、事態が進めば、深刻な原子力事故に繋がる恐れがある。……当時(71年頃)の技術者が残した記録によると、開いた穴から放射性の希ガスが漏れて原子炉建屋内に広がり「放射線量が突如として高くなった」「作業員の被爆を抑えることの記述が重要だった」との記述もあった。……ずさんな扱いにより、核燃料が変形したケースもあった。柏崎刈羽では1990年代半ば、多数の核燃料棒を金属製の覆いに詰めて集合体にする際、作業員が上に乗ったり、揺すったりして無理に核燃料棒を押し込んだため、冷却剤が流れる内部の管が曲がった。核燃料棒同士が接触したまま運転した例もあった。核燃料が溶融する最悪の事態も起こりえた。

→原発絡みで気になることの一つは、専門家や現場筋の人間が「安全」と言っていることをどこまで信用してよいかわからないことだ。「もんじゅ」の点検や、99年の東海村JOC事故もそうだが、かなりお粗末なことがある。事故は起きたか、起きなかったか、現状を結果として比較すれば真逆になる。しかし現状を将来の原因としてみたとき、つねにかなり危うい状態なのかもしれない。私たちは綱渡りのような日々を過ごしている。それに気付かなくするために「安全」という言葉が多用され、正確な情報が伏せられたままになる。


【秘密保護法 言わねばならないこと 医療不信生むおそれ 医師青木正美】
特定保護法は、患者と医師の関係を引き裂こうとしている。……患者となる公務員のほとんどの個人情報が政府に持っていかれてしまっては、公務員は体調を崩しても病院に行けないし、医師にも不信の目を向ける。医の倫理に関するジュネーブ宣言では「患者が亡くなった後でも、信頼されて打ち明けられた秘密は尊重する」とある。秘密保護法はこの精神を傷つける。反対する医師と歯科医師の会の署名者は成立時には三百人程度だったが、いまや五百人を超えた。……東京電力福島第一原発事故は、私にとって想定外の現実を生んでいる。福島のあちこちで医師と患者の信頼関係が崩れている。原因をたどると、放射能の被爆を恐れている患者や子どもを持つ母親らが「正しい情報が明らかにされていない」と感じていた。政府が事故直後、放射能に関する情報を出さなかったことが、目の前の医師を「自分の命を守ってくれる人ではない」と本能的に感じさせてしまっている。

→医師が法案に反対していたことは知っていた。しかしその理由がわからなかった。医の倫理に関するジュネーブ宣言のようなものがあったのだ。知らないことばかりだ。福島での医療の現状の一端に興味のある人は、『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(日野行介著、岩波新書)がお勧めだ。


【メディア観望 秘密法監視続けねば】
2013年12月13日に交付された特定秘密保護法は、運用次第で国民の知る権利やプライバシー権を侵害する可能性がある。……1952年に共産党を弾圧するために施行されたとされる破壊活動防止法。公安調査庁は95年、この法律に基づいてオウム真理教の解散請求をしたが、法務省の外局である公安審査委員会は97年に請求を棄却した。……法律が施行され、すぐに戦時中のような世の中が訪れることはないだろう。しかし、国家権力は放っておくと暴走する。それを許さないために憲法があり、個々の法律にも歯止めとなる条文が用意されている。

→特定秘密保護法とあると反射的に反応してしまうようだ。おそらく「破壊活動防止法」が引っかかったのだろうが、この記事はわざわざ書き出すまでのことはなかった。このあたりの判断力を高めていくことが効率化につながるだろう。

【こちら編集委員室 がん粒子線治療】
水素や炭素の原子核を光速近くまで加速して、体内のがん細胞にぶつけるのが粒子線治療だ。粒子が体の中にすいすい入って、がん病巣付近でエネルギーを発散する。つまり、皮膚など健康な細胞にはほとんど危害を与えず、がん細胞だけを狙い撃ちできる。副作用が少なく、日帰りの通院で治療できる。……欠点は健康保険が効かず、約300万円もかかること。

→「がん粒子線治療」というものを初めて知った。それと同時に、この手の最新医療が保険の適用外となり、金持ち相手のビジネスになるのではと危惧している。医療についても知らないことばかりだ。やれやれ。


【新日本原発ゼロ紀行 大飯編(福井県)】
2013年9月に竣工したおおい町総合運動公園の球技場。一面に人工芝を敷いた豪華な造りだ。9億2200万円にのぼる建設費の約9割は、原発関連の交付金だ。……原発に頼る町への疑問を熱心に語った自営業の男性は、記者が「実名で発言を掲載させてほしい」と頼むと、「親族や知人に原発関係で生計を立てる人がいる。どうか匿名にしてほしい」と懇願した。……「原発は危険ではないのか」。飲食店で女性店員に問うと、笑顔が消えた。「お客さんは原発の関係者。原発が動かないと、経営が成り立ちません」……関電に配慮するあまり自然エネルギーの普及さえもタブーになりつつある。……「原発をやめて自然エネルギーに移行せなあかんな、と友達に話した。すると『そのことを言っちゃダメだ』と口止めされた」。この男性はその後、容認派に再び転向してしまった。

→数日前にも書いたが、やはり原発立地自治体が過度に豪奢になるのはよくない。人間は状況次第で良くも悪くも成れる。厳しい生活が原発によって楽になる。受け入れ続ければ、それがずっと続く。なくなれば生活が成り立たなくなる。潜在的には、厳しい選択をせねばならない状態に常におかれている。そういう状態を思考においては即座に解決し、現実的には時間をかけて形にしていく。そういうことが至る所で必要になっている。

1月15日(水)

【「脱原発」争点に 細川・舛添氏出馬正式表明】

→これも上で書いたことと同じだ。思考においては明確に結論を出さねばならない。あいまいな表現はダメだ。現実がなし崩し的に利害調整の場となってしまう。明確な結論に向かって現実を少しでもよくしていくことだ。そのプロセスを次世代に見せ、そこから生じた良い結果を次世代に残すことだ。自分が生きている間は先延ばしして、そのあいだ自分は旨い汁を吸えればよいというのはダメだ。


【私説 論説室から 「幸福度」高める教育こそ】
教育基本法で定める教育の目的とは、戦後一貫して「人格の完成」である。最近はそれが「人材の育成」に貶められている。個人の多様な価値ではなく、日の丸経済の歯車としての価値のみを優先する思想の現れだろう。……国連の世界幸福度報告書では、世界一金持ちの米国でさえ17位、二位の中国は93位、三位の日本は43位。トップはデンマークで、上位10カ国中8カ国は欧州勢だ。近年の幸福研究では、衣食住が足りていれば、お金、物、地位、名誉ではさして幸福度は高まらない。人との助け合い、地域のつながり、自分らしさを大切にする生き方がカギを握るという。

→幸福な人格者。目指すに値する。成りたくない人はいるのだろうか。


【社説 東京都知事選 脱原発は大事な争点だ】
(細川氏は)「原発の問題は、国家の存亡に関わる問題だと言う危機感をもっている」と決意を述べた。……「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくしては日本は発展できないというグループの争いだ」。小泉氏の言葉は……。

→原発問題も反射的に書き出してしまう。かなりの情報は持っているが、体系的で正確な知識には成っていない。そのあたりが反射的に書き出してしまう理由なのだろう。一度、きちんと整理が必要だ。それにしても小泉元首相は勝負師だ。この日、夜のテレビニュースで、安倍ちゃんがアフリカでコメントしているのを見た。ちょっと目が弱気になっていた。本当は強くない人なのだろう。弱い人ほど間違った形の強さを求める。


【敦賀のタクシー会社 脱原発議員配車お断り】
日本原子力発電敦賀原発などが立地する福井県敦賀市のタクシー会社が、自民党の秋本真利衆院議員から配車予約を受けた際、「秋本氏が脱原発を主張している」との理由で利用を拒否していたことが15日、わかった。

→ちょっと驚きだ。タクシー会社は個人の行為だと言っているが、個人が会社の看板を背負ってそういう発言ができることが問題だ。議員であったから問題になったのだろう。こういうことを言える雰囲気が現地にはあるのだろう。地元住民が内心反対や不安であっても声を上げられないのが容易に想像できる。

1月16日(木)
【東電再建 税金なし崩し 政府が新計画認定 除染負担軽減で刈羽再稼働 コスト減で利益→給与に還元】
政府は東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。計画では政府が原子力損害賠償支援機構を通じて貸し付けるお金の上限を現在の5兆円から9兆円に拡大。東電は返済に2012年に値上げした電気料金などを充てる。さらに除染の際に出る残土を一時的に保管する中間貯蔵施設の整備を急ぐため、国が建設・運営費に1兆1000億円を負担。除染費用の一部の2兆5000億円を、政府が保有する東電株の売却で賄うことも明記した。柏崎刈羽原発の1,5,6,7号機を稼働し高コストの火力発電を減らす方針も示した。……一方で、計画には柏崎刈羽原発の稼働が遅れた場合、今年秋にも家庭と法人向けを合わせて平均で10%の電気料金値上げが必要ななるとも明記した。

→このあたりになると、原発問題として考えた方がよいのか、東電や政府の問題として考えた方がよいのかわからなくなる。確かに原発を推進してきて、事故が起きて、その処理をする、という観点では、原発問題だ。しかしある程度の切り分けは必要かもしれない。東電の再建計画で問題なのは、東電への融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主の負担を求めていないのに、国民に負担をさせていることだ。


【九兆円支援仕組みは 利子は税金で 返済に電気料金】
支援機構は政府から「交付国債」という現金化できる小切手のような国債を受け取っている。東電が必要とするタイミングでこの国債を金融市場で売って現金化し、東電で無利子で渡している。賠償や除染に使うお金は東電や原発を持つ電力会社が支援機構を通じ、数十年をかけて国に返済することになっている。返済のための「原資」は消費者が支払う電気料金が大半だ。賠償資金を得るために市場で売る国債の利子も税金で負担している。返済は長期にわたるから、利子の税負担は総額で1000億円規模に達する恐れもある。

→上の記事の解説とも言える。僕は経済には疎いので何も言えないが、直感的におかしな話だと思う。

【飯舘「被爆不安慰謝料」 東電、支払い拒否】
福島県飯舘村長沼地区の住民約180人が東京電力に損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)、住民側の弁護団は15日、被爆による不安への慰謝料を支払うとした和解案を東電が拒否したことを明らかにした。弁護団によると原子力損害賠償紛争センターが昨年12月以降、被爆不安への慰謝料として一人当たり五十万円(子どもと妊婦は百万円)を含む賠償金を支払う和解案を提示。今年になって東電側から一部世帯に和解案拒否の書面が届いた。

→そうなんだよな。何かあるとしわ寄せは弱いところにいく。東電への融資や投資で金融機関や株主が得た利益は、今回の賠償の総額よりも大きいのではないかと思う。そのあたりもメディアが調査してくれると面白い見え方がするのだが。

【「テロ情報」流出賠償命令 「警視庁の管理ミス」】
警視庁公安部外事三課などが作成した国際テロ捜査の関連文書がインターネット上に流出した事件で、イスラム教徒17人がプライバシーや信教の自由を侵害されたとして、国と東京都に計1億8700万円の賠償を求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。裁判長は「警視庁は情報管理上の注意義務を怠った過失がある」とし、都に計9020万円の支払いを命じた。一方、モスクの出入りなどの情報収集は「国際テロ防止のため必要やむを得ない活動で、プライバシーや信教の自由を侵害しない」と判断、捜査の違法性は認めなかった。捜査員が集めた情報には、テロリストとは無関係な人々の家族や交友関係、行きつけの店など、日常生活に踏み込む内容も多く含まれている。特定秘密保護法では、テロやスパイ活動防止に関する情報は「特定秘密」に指定され、流出したような文書は秘密のままになる可能性が高い。

→ブッシュのアメリカがイスラムと敵対していた。イスラムといってもアメリカと敵対していたのはごく一部なのかもしれないが、911以後イスラム全体がテロリストであるかのような雰囲気ができた。日本もそれに迎合してしまった。具体的に何かをされたわけでもないのに。この事件などは、イスラムに対する日本の姿勢を間違った形で伝えてしまうかもしれない。(本気でイスラム全体をテロリスト集団だと思い込んでいる日本人もいるかもしれない)。それは結果的にテロを呼び込むことになる。アメリカと一緒というのは、けっこう危険なことなのだ。


【スパイ活動禁止協定に応じず 独、不信感広がる】
ドイツが米国に求めているスパイ禁止協定の実現は極めて困難との見方を伝えた。米国家安全保障局(NSA)によるメルケル首相の携帯電話の盗聴を受け、ドイツは政府へのスパイ活動の禁止を求めたが、米国が応じないためだ。

→特定秘密保護法の時に外国スパイの話になったが、日本でもっともスパイ的な行為をしているのはアメリカである。

【こちら特報部 「公約破り」国も地方も】
もっとも記憶に新しい「公約破り」の例は、米軍普天間飛行場(沖縄市宜野湾市)の移設絡みの話だ。自民党沖縄県連は昨年夏の参院選で、普天間の県外移設を目指す方針を掲げ、仲井真弘多知事も再選時に県外移設を明言した。ところが県選出国会議員は十一月、党本部の説得で名護市辺野古への移転を容認。仲井真知事も「公約検事」を主張しつつ、政府が申請した辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。
安倍政権も公約違反の指摘が絶えない。自民党は2012年末の衆院選の総合政策集で、環太平洋連携協定(TPP)について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」とし、十三年の衆院選でも米や麦などを「重要5品目の聖域」と位置付けた。だが、政権復帰後、安倍首相は交渉参加を表明。党も重要農産物5項目で、細分化した品目ごとに関税撤廃ができるか否かを検討する方針に交代した。
原発問題でも、衆院選で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」としたが、いまでは原発を「重要なベース電源」と位置付ける。逆に公約になかったタカ派政策に精を出している。
民主党政権も公約違反をした。消費税増税だ。

→公約というのも言葉の問題だ。約束とは言葉でなされるものだから。政治家は公約を破るものである。それは以前から知られていた。ただ、この安倍政権になってからは破り方の質が違う。だとしたら破られたときの私たちの対処の仕方も変えねばならない。選挙でお灸を据えるという程度ではダメになったのだ。


【本音のコラム フォーディズム 竹田茂夫】
二十世紀初頭、ヘンリー・フォードは流れ作業方式でクルマを作る仕組みを作り上げた。破格の高級で優秀な労働者を集め、職制の厳しい監視で彼らの作業をシンクロさせてT型フォードは大量生産された。……クルマには労働者たちも無理なく買える価格を付けた。大量生産と大衆の消費、それに中央の賃金交渉(日本では春闘)を組み合わせたフォーディズムはその後、世界を席巻し、第二次世界大戦後に資本主義の黄金時代を支えた。
だが、この企業による統合と包摂の成功物語にはいくつもの暗点がある。労働と消費の自律性の喪失、大量廃棄などだが、組織と市場の問題も大きい。組織の外部は市場にゆだねられて誰も責任を取らない領域になるのだ。
最近のグローバル化でこの傾向はますます顕著になる。世界のアパレル大手の要求が、下請け末端のバングラデシュでいかに過酷な労働現場を生み出したかは、昨年の工場倒壊事故で明るみに出た。雇用の非正規化は世界的な傾向でサービス産業だけではない。米国の大手工場でも時給が半分の二等クラスの作業員がいるという。

→雇用の非正規化は世界的な傾向だ。雇用が大きく変化すると、人々の生活や行動、ひいては世界そのものがかなり変わるかもしれない。世界が変われば他人事ではすまなくなる。みんな少し意識的に現状を把握するように心がけた方がよい。『(株)貧困大国アメリカ』(堤未果著、岩波新書)なども、日本の将来像を考える上で参考になる。

1月17日(金)

【「原発ゼロ撤回」先送り 都知事選争点化を懸念】
「脱原発」が東京都知事選の主な争点の一つになる見通しになったことで……政府は原発の再稼働方針を明確にするエネルギー基本計画の1月中の閣議決定を先送りした。

→これは情けない話だ。重要だといいながら、条件が悪くなると引っ込める。与党内でもいろいろ議論があるとかそれらしい理由をつけるのだろう。でも本当は民意が原発を意識することを恐れているのだろう。こういうやり方を賢いと思っているのかもしれない。しかしそれは「小賢しい」という方が正解だ。こういう人間は自分を強そうに見せるのは好きだが、余裕がなくなると平気で人を切って捨てがちだ。自己保身という守りに転じるからだ。あまり信用しない方がよい。下手についていくと放り出される。

【「すべての真実話して」平田被告初公判で 仮谷さん長男訴え】

→これは事件の内容に関してのコメントではない。「すべての真実とは何か」という疑問だ。すごく理不尽なことが起こる。出来事が理解できない。たしかに出来事すべての話を聞けていないという事実はある。当然、すべての話を聞きたいと思う。しかしすべての話を聞いたら納得のできる「真実」は現れるのだろうか?「すべての真実」を求める気持ちはわかる。しかしそれは必ずしも「すべての出来事」ではない。そこで求められているのは、自分が納得のできる「物語」だ。私たちはそれぞれ物語を生きている。時折、理解できない出来事が起きる。その出来事を何とか自分の物語に接合させることが、この世界を生きていくためには必要になる。その意味で、私たち個人の物語は開かれていないといけない。理解不能な出来事や他人の物語を受け入れることができないといけない。それは、個人だけでない。共同体や国家も同じだ。自己完結の物語を生きるのではなく、他者に開かれた物語を生きること。

【新潟知事「倫理観の欠如」 再建計画 東電社長説明に反発】
同原発の7月以降の順次再稼働について、広瀬社長は「実際とリンクするものではなく、仮置きの時期だ」と強調した。泉田知事は「モラルハザード(倫理観の欠如)の計画だ。安全文化の観点でおかしい。安全性で会社が変わったと受け止めるのは難しい」と反発し、福島第一原発事故の検証を優先すべきだと主張した。

→原発の問題を考え続けることと、新聞から書き出すことを切り分ける必要がある。新聞から書き出すのであれば、それに値するコメントができるようにならねばならない。それはつまり、体系的で正確な知識に基づく意見ということだ。

【社説 イスラム訴訟 無制限な捜査許されぬ】
刑事警察は事件が発生してから動き出す。公安警察は事件性が見えさえすれば、捜査に着手し、情報収集活動などを行う。……ターゲットになったのはイスラム教徒の信者たちだ。たとえば、礼拝所「モスク」に捜査員を配置し、監視する。出入りした人々を尾行し、住所などを確認する。在留資格や出入国記録など個人データを集める。銀行口座を照会された人もいる。問題なのは、監視対象となったのが、テロ活動とはおよそ無関係な普通の人々だったことだ。……判決は「本件の情報収集活動は、国際テロ防止のために必要やむを得ない措置」とした。……今回の事件は、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラでも特集番組が放送された。日本の警察が反イスラム姿勢を取ったことを問題視した内容だった。

→こんなことで日本人がイスラムから誤解されるのはもったいない。(日本の公安がやっているのだから、必ずしも誤解ではない)。僕自身、イスラムについてはあまり知らない。井筒俊彦の『イスラーム誕生』とか読んだくらいだ。コメントのつけようもない。片方で公安についてある程度、理解することが必要だ。もう一方でイスラムについて体系的で正確な知識を持つことだ。個人的には後者の方が楽しそうだ。


【名護振興策調整不足 市長選で自民 石破氏「500億円基金」 菅氏は否定】
自民党の石破茂幹事長は16日、沖縄県名護市長選の応援演説で、地域振興に向け500億円規模の基金を創設する考えを表明した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に立てする理解を得るための地元対策の一環とみられる。しかし、菅義偉官房長官は直後の記者会見で、新たな予算措置を否定。……石破氏は「名護市が発展することで沖縄も飛躍的に発展を遂げる。安倍政権として全面的に支援し、国、県、市が協力して新たに500億円の名護振興基金を作る」と強調した。

→いやな話だ。札束にものを言わせて、自分の要求を通すようなやり方はよろしくない。どんな美辞麗句をならべても、金やるから言うこと聞いてね、ということにしかならない。

【「失地農民」中国8000万人 農村崩壊公表の2倍】
中国の地方政府による土地利用の強制収用などで農地を失った「失地農民」がすでに8000万人に上ることが国土資源省関係者の話でわかった。中国政府は4000万人と公表しているが、実態ははるかに深刻で、社会不安に直結する農村部の「崩壊」を裏付けた。

→中国についても理解が必要だ。なんだか尖閣諸島辺りで不穏な動きをしている国というイメージになっているが、それは一面である。「失地農民」が8000万人もいる。人口が十四億だとしても、かなりの割合に上る。経済的には成長しているし、軍事力もついていてる。ただ、一歩内側に入って見てみれば、けっこうな問題がありそうだ。そういう現状と中国の歴史を知ることがまずは必要だろう。その上で、現在の彼らの行動における主観的な合理性を探り、そことのやり取りをすることが大切だ。


【日本は農業に不適な国である 自給率確保へ支援必要 池内了】
……「高温多湿の日本は農業に不適な国」と主張する文章(橋口公一)を読んで目から鱗が落ちる思いがしたので、ここに紹介しておきたい。
農業とは、田畑に栽培する農作物が二酸化炭素と水を材料にし、太陽の光エネルギーを使ってでんぷんを作る光合成反応を利用する営みのことである。……太陽のエネルギーが多いから高温であり、雨水が多くて多湿なのだから、高温多湿な日本は農業にとって最適な国と考えるのが常識であった。
しかし、高温多湿であるということは、望みの作物だけでなく雑草もどんどん育ち、それにたかる害虫が多く発生し、細菌による疫病も蔓延しやすく、それらすべてと戦わない限り十分な収穫が得られないことを意味する。日本ではほとんど米を直播きせず、雑草や害虫にやられない大きさになるまで苗代で育て、代掻きをして柔らかくし、かつ平らに整地した田んぼに移植(つまり田植え)をしている。苗代と田植えは雑草や害虫対策のための作業といえる。
それ以後、秋の収穫まで、農薬をまき、肥料を散布し、田の草取りをし、というふうに米の字通り八十八もの手間をかけねばならないのは、雑草と害虫との闘いのためなのだ。
また、光合成に必要なのは太陽の光エネルギーであって、熱エネルギーではない。つまり単に高温であることが大事なのではなく、植物の育ち盛りに太陽光線が緑の葉っぱに当たることが必要なのである。ところが多湿ということは、雨が多く厚い雲に覆われる日が多いので、日照率が低いことを意味する。特に六月という昼間の時間が最も長い季節なのに最も雨が多く降るのだから、光合成には実に不利な気候条件なのである。
さらに日本では収穫期直前の初秋に毎年のように台風や洪水に見舞われ、作物が倒れたり、腐ったり、流されたり、落下したりと、さまざまな被害に遭う確率が高い。

→これは純粋に自分の勉強のために書き出したようなものだ。特にコメントはない。ただ反対の意見を述べる専門家はいるはずだ。反対意見の存在しない専門分野というのは存在するのだろうか?