とんびの視点

まとはづれなことばかり

2014.1.28火 東京新聞より 米国務長官日本素通り トヨタ労組一時金235万円超要求 福島の自治体運営に危機感

2014年01月28日 | 雑文
2014.1.28火 東京新聞

今日も東京新聞から3つの記事。

1、米国務長官日本素通り 首相靖国参拝影響か 対北朝鮮で中韓歴訪(6面)
2、トヨタ労組235万円超要求 一時金、リーマン前水準(6面)
3、福島の自治体運営に危機感 子ども人口減深刻(こちら特報部)

記事1。これは、ケリー国務長官が二月に中国と韓国を訪問する際、日本を訪問しない方向で調整していることがわかった、という記事だ。オバマ大統領の四月の訪日もすんなり行かないようである。日本政府が期待しているアメリカの態度と、アメリカが日本に見ている価値には開きがあるようだ。アメリカの大統領が民主党か共和党かという問題もあるのかもしれないが、中国の台頭やアメリカ自身の国力の低下などにより、アメリカの世界戦略も変わっているはずだ。アメリカと一緒が大事、ではなく、どんなアメリカとどのようにつきあうのかを考えねばならない。と書いているが、僕自身それを判断すべき十分な知識を持っていない。先日、内田樹の『町場のアメリカ論』を読んだが、もう少しアメリカについて勉強しなければならない。まずは古典でもあるトクヴィルの『アメリカのデモクラシー』でも読んでみよう。


記事2。これは、トヨタ自動車労働組合は2014年春闘で、一時金(夏冬合計のボーナス)について平均235万円超を要求する方向で最終調整に入った、という記事だ。なるほど景気の良い話だ。この記事だけを読んで、日本の経済状況を考えることもできる。しかしその一方、日本では労働者の4人に1人が低賃金の非正規雇用で、約一千万人が年収200万以下の給与所得者でもある。この両方をセットにして、日本の経済システムを考えることもできる。どちらを考えた方が、日本をよりきちんと考えることになるのか。


記事3。こちら特報部らしい記事だ。まずは記事についた大小の見出しを並べる。
・福島の自治体運営に危機感 
・子ども人口減深刻
・2市町22%減
・高齢者増加も
・20~34歳人口流出も目立つ
・震災後村民税7割減
・川内村に住むのは56% 40歳以下4分の1に
・若い世代ほど帰らない意思
・行政サービスすべてやるのは困難

なんとなくイメージがつかめるだろう。次にリード文を載せる。
『福島県は24日、東日本大震災以降の同県の人口動態統計を発表した。県全体では今年元旦の人口は、2011年3月1日当時と比べ、7万8000人(3.9%)減の194万5000人。当然、東京電力福島第一原発周辺の自治体で減少が著しい。政府は「帰還」と「移住」の双方を掲げているが、原発周辺の町村では自治体の運営自体に危機感を募らせている。』

いまだに14万人近くが避難している福島県だ。人口が減っていることは想像できる。しかし一歩踏み込んでみると、単なる人口減少とは言えない問題があることが分かる。世代や性別による人口バランスが崩れているのだ。大人と子どもでは子どもの減少が多く、男女間では女性の減少が多い。父親が仕事のために県内に残り、母親と子どものみで避難するケースが多いからだろう。(同時にそれは、家族がばらばらになっていることでもある)。その一方、大熊町では65歳以上の高齢者が5.5%増加している。古里で暮らしたいという人が多いのだろう。(そう言えばチェルノブイリ事故後もそういった高齢者たちがいた)。

これらを合わせると、問題は自治体からの単なる人口減少ではなく、高齢化自治体の誕生ということになる。自治体としては介護や医療面でのサービスを重視せざるを得ない。しかしその一方で、人口流出により税収は落ち込む。はたして自治体は維持できるのだろうか。

以前、『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』を読んだ。県の行政機関や福島医大が放射能の健康への影響をとにかく小さく見せようとしている理由の一つに、人口流出を抑えるということがあるのを知った。県を維持するためには県民が必要だからだ。これを読んだとき、国を守るためには国民を犠牲にするのと同じ構図だと思った。そして行政システムというのは、一人一人の民ではなく、県や国というもののために存在しているのだとあらためて思った。

出来事は一つでも、言語化する視座が異なれば、出来事はさまざまな姿をとる。行政システムという視座から言語化すれば、そこからの合理性が見いだせる。民の視座から言語化すれば、そこからの合理性が見いだせる。ジャーナリズムの使命は権力の監視だ。その意味では、行政システムの視座をきちんと整理して伝えることも必要である。(監視するということは、相手の合理性をきちんと把握することから始まる。いたずらに反対すれば良いのではない)。そして同時に、民の視座をきちんと追いかけ、その合理性を言語化し、行政システムのそれと対比し、一人一人の読者に、あなたの生きている場所はどちらなのか、と問うことが大切である。


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