とんびの視点

まとはづれなことばかり

2014.1.14~1.17の東京新聞より

2014年01月18日 | 雑文
疲れた。後半分のアップだ。コメントというよりも、書き出したものを読み返している程度の感じだ。前半分と合わせて18000字を超えている。いくら何でもひどい。それでも手応えはある。まあ、やりながら変えていくしかない。

今日は午前中は前半分の整理。昼には8kmほどランニング。来週末には館山若潮マラソン。最終調整の段階だ。(とは言え、今回のレースは3月のレースの準備の意味もある)。午後は長男の誕生日プレゼント(ビクトリックスのアーミーナイフ)を買いに銀座に行く。帰宅して八百屋に買い物。夕食後、再び後半分の整理。そしてこれから、今日の新聞をチェック。いかれている。

1月14日(火)

【核燃料トラブル184体 使用済み 全国で抱える】
全国の原発に、表面に小さな穴が開くなどトラブルが起きた使用済み核燃料集合体(核燃料)が計184体あることが、各電力会社への取材で分かった。……ウラン燃料を包む金属製の筒は、放射能が外に漏れないよう閉じ込める重要な「壁」の一つ。そこに異常があり、事態が進めば、深刻な原子力事故に繋がる恐れがある。……当時(71年頃)の技術者が残した記録によると、開いた穴から放射性の希ガスが漏れて原子炉建屋内に広がり「放射線量が突如として高くなった」「作業員の被爆を抑えることの記述が重要だった」との記述もあった。……ずさんな扱いにより、核燃料が変形したケースもあった。柏崎刈羽では1990年代半ば、多数の核燃料棒を金属製の覆いに詰めて集合体にする際、作業員が上に乗ったり、揺すったりして無理に核燃料棒を押し込んだため、冷却剤が流れる内部の管が曲がった。核燃料棒同士が接触したまま運転した例もあった。核燃料が溶融する最悪の事態も起こりえた。

→原発絡みで気になることの一つは、専門家や現場筋の人間が「安全」と言っていることをどこまで信用してよいかわからないことだ。「もんじゅ」の点検や、99年の東海村JOC事故もそうだが、かなりお粗末なことがある。事故は起きたか、起きなかったか、現状を結果として比較すれば真逆になる。しかし現状を将来の原因としてみたとき、つねにかなり危うい状態なのかもしれない。私たちは綱渡りのような日々を過ごしている。それに気付かなくするために「安全」という言葉が多用され、正確な情報が伏せられたままになる。


【秘密保護法 言わねばならないこと 医療不信生むおそれ 医師青木正美】
特定保護法は、患者と医師の関係を引き裂こうとしている。……患者となる公務員のほとんどの個人情報が政府に持っていかれてしまっては、公務員は体調を崩しても病院に行けないし、医師にも不信の目を向ける。医の倫理に関するジュネーブ宣言では「患者が亡くなった後でも、信頼されて打ち明けられた秘密は尊重する」とある。秘密保護法はこの精神を傷つける。反対する医師と歯科医師の会の署名者は成立時には三百人程度だったが、いまや五百人を超えた。……東京電力福島第一原発事故は、私にとって想定外の現実を生んでいる。福島のあちこちで医師と患者の信頼関係が崩れている。原因をたどると、放射能の被爆を恐れている患者や子どもを持つ母親らが「正しい情報が明らかにされていない」と感じていた。政府が事故直後、放射能に関する情報を出さなかったことが、目の前の医師を「自分の命を守ってくれる人ではない」と本能的に感じさせてしまっている。

→医師が法案に反対していたことは知っていた。しかしその理由がわからなかった。医の倫理に関するジュネーブ宣言のようなものがあったのだ。知らないことばかりだ。福島での医療の現状の一端に興味のある人は、『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(日野行介著、岩波新書)がお勧めだ。


【メディア観望 秘密法監視続けねば】
2013年12月13日に交付された特定秘密保護法は、運用次第で国民の知る権利やプライバシー権を侵害する可能性がある。……1952年に共産党を弾圧するために施行されたとされる破壊活動防止法。公安調査庁は95年、この法律に基づいてオウム真理教の解散請求をしたが、法務省の外局である公安審査委員会は97年に請求を棄却した。……法律が施行され、すぐに戦時中のような世の中が訪れることはないだろう。しかし、国家権力は放っておくと暴走する。それを許さないために憲法があり、個々の法律にも歯止めとなる条文が用意されている。

→特定秘密保護法とあると反射的に反応してしまうようだ。おそらく「破壊活動防止法」が引っかかったのだろうが、この記事はわざわざ書き出すまでのことはなかった。このあたりの判断力を高めていくことが効率化につながるだろう。

【こちら編集委員室 がん粒子線治療】
水素や炭素の原子核を光速近くまで加速して、体内のがん細胞にぶつけるのが粒子線治療だ。粒子が体の中にすいすい入って、がん病巣付近でエネルギーを発散する。つまり、皮膚など健康な細胞にはほとんど危害を与えず、がん細胞だけを狙い撃ちできる。副作用が少なく、日帰りの通院で治療できる。……欠点は健康保険が効かず、約300万円もかかること。

→「がん粒子線治療」というものを初めて知った。それと同時に、この手の最新医療が保険の適用外となり、金持ち相手のビジネスになるのではと危惧している。医療についても知らないことばかりだ。やれやれ。


【新日本原発ゼロ紀行 大飯編(福井県)】
2013年9月に竣工したおおい町総合運動公園の球技場。一面に人工芝を敷いた豪華な造りだ。9億2200万円にのぼる建設費の約9割は、原発関連の交付金だ。……原発に頼る町への疑問を熱心に語った自営業の男性は、記者が「実名で発言を掲載させてほしい」と頼むと、「親族や知人に原発関係で生計を立てる人がいる。どうか匿名にしてほしい」と懇願した。……「原発は危険ではないのか」。飲食店で女性店員に問うと、笑顔が消えた。「お客さんは原発の関係者。原発が動かないと、経営が成り立ちません」……関電に配慮するあまり自然エネルギーの普及さえもタブーになりつつある。……「原発をやめて自然エネルギーに移行せなあかんな、と友達に話した。すると『そのことを言っちゃダメだ』と口止めされた」。この男性はその後、容認派に再び転向してしまった。

→数日前にも書いたが、やはり原発立地自治体が過度に豪奢になるのはよくない。人間は状況次第で良くも悪くも成れる。厳しい生活が原発によって楽になる。受け入れ続ければ、それがずっと続く。なくなれば生活が成り立たなくなる。潜在的には、厳しい選択をせねばならない状態に常におかれている。そういう状態を思考においては即座に解決し、現実的には時間をかけて形にしていく。そういうことが至る所で必要になっている。

1月15日(水)

【「脱原発」争点に 細川・舛添氏出馬正式表明】

→これも上で書いたことと同じだ。思考においては明確に結論を出さねばならない。あいまいな表現はダメだ。現実がなし崩し的に利害調整の場となってしまう。明確な結論に向かって現実を少しでもよくしていくことだ。そのプロセスを次世代に見せ、そこから生じた良い結果を次世代に残すことだ。自分が生きている間は先延ばしして、そのあいだ自分は旨い汁を吸えればよいというのはダメだ。


【私説 論説室から 「幸福度」高める教育こそ】
教育基本法で定める教育の目的とは、戦後一貫して「人格の完成」である。最近はそれが「人材の育成」に貶められている。個人の多様な価値ではなく、日の丸経済の歯車としての価値のみを優先する思想の現れだろう。……国連の世界幸福度報告書では、世界一金持ちの米国でさえ17位、二位の中国は93位、三位の日本は43位。トップはデンマークで、上位10カ国中8カ国は欧州勢だ。近年の幸福研究では、衣食住が足りていれば、お金、物、地位、名誉ではさして幸福度は高まらない。人との助け合い、地域のつながり、自分らしさを大切にする生き方がカギを握るという。

→幸福な人格者。目指すに値する。成りたくない人はいるのだろうか。


【社説 東京都知事選 脱原発は大事な争点だ】
(細川氏は)「原発の問題は、国家の存亡に関わる問題だと言う危機感をもっている」と決意を述べた。……「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくしては日本は発展できないというグループの争いだ」。小泉氏の言葉は……。

→原発問題も反射的に書き出してしまう。かなりの情報は持っているが、体系的で正確な知識には成っていない。そのあたりが反射的に書き出してしまう理由なのだろう。一度、きちんと整理が必要だ。それにしても小泉元首相は勝負師だ。この日、夜のテレビニュースで、安倍ちゃんがアフリカでコメントしているのを見た。ちょっと目が弱気になっていた。本当は強くない人なのだろう。弱い人ほど間違った形の強さを求める。


【敦賀のタクシー会社 脱原発議員配車お断り】
日本原子力発電敦賀原発などが立地する福井県敦賀市のタクシー会社が、自民党の秋本真利衆院議員から配車予約を受けた際、「秋本氏が脱原発を主張している」との理由で利用を拒否していたことが15日、わかった。

→ちょっと驚きだ。タクシー会社は個人の行為だと言っているが、個人が会社の看板を背負ってそういう発言ができることが問題だ。議員であったから問題になったのだろう。こういうことを言える雰囲気が現地にはあるのだろう。地元住民が内心反対や不安であっても声を上げられないのが容易に想像できる。

1月16日(木)
【東電再建 税金なし崩し 政府が新計画認定 除染負担軽減で刈羽再稼働 コスト減で利益→給与に還元】
政府は東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。計画では政府が原子力損害賠償支援機構を通じて貸し付けるお金の上限を現在の5兆円から9兆円に拡大。東電は返済に2012年に値上げした電気料金などを充てる。さらに除染の際に出る残土を一時的に保管する中間貯蔵施設の整備を急ぐため、国が建設・運営費に1兆1000億円を負担。除染費用の一部の2兆5000億円を、政府が保有する東電株の売却で賄うことも明記した。柏崎刈羽原発の1,5,6,7号機を稼働し高コストの火力発電を減らす方針も示した。……一方で、計画には柏崎刈羽原発の稼働が遅れた場合、今年秋にも家庭と法人向けを合わせて平均で10%の電気料金値上げが必要ななるとも明記した。

→このあたりになると、原発問題として考えた方がよいのか、東電や政府の問題として考えた方がよいのかわからなくなる。確かに原発を推進してきて、事故が起きて、その処理をする、という観点では、原発問題だ。しかしある程度の切り分けは必要かもしれない。東電の再建計画で問題なのは、東電への融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主の負担を求めていないのに、国民に負担をさせていることだ。


【九兆円支援仕組みは 利子は税金で 返済に電気料金】
支援機構は政府から「交付国債」という現金化できる小切手のような国債を受け取っている。東電が必要とするタイミングでこの国債を金融市場で売って現金化し、東電で無利子で渡している。賠償や除染に使うお金は東電や原発を持つ電力会社が支援機構を通じ、数十年をかけて国に返済することになっている。返済のための「原資」は消費者が支払う電気料金が大半だ。賠償資金を得るために市場で売る国債の利子も税金で負担している。返済は長期にわたるから、利子の税負担は総額で1000億円規模に達する恐れもある。

→上の記事の解説とも言える。僕は経済には疎いので何も言えないが、直感的におかしな話だと思う。

【飯舘「被爆不安慰謝料」 東電、支払い拒否】
福島県飯舘村長沼地区の住民約180人が東京電力に損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)、住民側の弁護団は15日、被爆による不安への慰謝料を支払うとした和解案を東電が拒否したことを明らかにした。弁護団によると原子力損害賠償紛争センターが昨年12月以降、被爆不安への慰謝料として一人当たり五十万円(子どもと妊婦は百万円)を含む賠償金を支払う和解案を提示。今年になって東電側から一部世帯に和解案拒否の書面が届いた。

→そうなんだよな。何かあるとしわ寄せは弱いところにいく。東電への融資や投資で金融機関や株主が得た利益は、今回の賠償の総額よりも大きいのではないかと思う。そのあたりもメディアが調査してくれると面白い見え方がするのだが。

【「テロ情報」流出賠償命令 「警視庁の管理ミス」】
警視庁公安部外事三課などが作成した国際テロ捜査の関連文書がインターネット上に流出した事件で、イスラム教徒17人がプライバシーや信教の自由を侵害されたとして、国と東京都に計1億8700万円の賠償を求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。裁判長は「警視庁は情報管理上の注意義務を怠った過失がある」とし、都に計9020万円の支払いを命じた。一方、モスクの出入りなどの情報収集は「国際テロ防止のため必要やむを得ない活動で、プライバシーや信教の自由を侵害しない」と判断、捜査の違法性は認めなかった。捜査員が集めた情報には、テロリストとは無関係な人々の家族や交友関係、行きつけの店など、日常生活に踏み込む内容も多く含まれている。特定秘密保護法では、テロやスパイ活動防止に関する情報は「特定秘密」に指定され、流出したような文書は秘密のままになる可能性が高い。

→ブッシュのアメリカがイスラムと敵対していた。イスラムといってもアメリカと敵対していたのはごく一部なのかもしれないが、911以後イスラム全体がテロリストであるかのような雰囲気ができた。日本もそれに迎合してしまった。具体的に何かをされたわけでもないのに。この事件などは、イスラムに対する日本の姿勢を間違った形で伝えてしまうかもしれない。(本気でイスラム全体をテロリスト集団だと思い込んでいる日本人もいるかもしれない)。それは結果的にテロを呼び込むことになる。アメリカと一緒というのは、けっこう危険なことなのだ。


【スパイ活動禁止協定に応じず 独、不信感広がる】
ドイツが米国に求めているスパイ禁止協定の実現は極めて困難との見方を伝えた。米国家安全保障局(NSA)によるメルケル首相の携帯電話の盗聴を受け、ドイツは政府へのスパイ活動の禁止を求めたが、米国が応じないためだ。

→特定秘密保護法の時に外国スパイの話になったが、日本でもっともスパイ的な行為をしているのはアメリカである。

【こちら特報部 「公約破り」国も地方も】
もっとも記憶に新しい「公約破り」の例は、米軍普天間飛行場(沖縄市宜野湾市)の移設絡みの話だ。自民党沖縄県連は昨年夏の参院選で、普天間の県外移設を目指す方針を掲げ、仲井真弘多知事も再選時に県外移設を明言した。ところが県選出国会議員は十一月、党本部の説得で名護市辺野古への移転を容認。仲井真知事も「公約検事」を主張しつつ、政府が申請した辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。
安倍政権も公約違反の指摘が絶えない。自民党は2012年末の衆院選の総合政策集で、環太平洋連携協定(TPP)について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」とし、十三年の衆院選でも米や麦などを「重要5品目の聖域」と位置付けた。だが、政権復帰後、安倍首相は交渉参加を表明。党も重要農産物5項目で、細分化した品目ごとに関税撤廃ができるか否かを検討する方針に交代した。
原発問題でも、衆院選で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」としたが、いまでは原発を「重要なベース電源」と位置付ける。逆に公約になかったタカ派政策に精を出している。
民主党政権も公約違反をした。消費税増税だ。

→公約というのも言葉の問題だ。約束とは言葉でなされるものだから。政治家は公約を破るものである。それは以前から知られていた。ただ、この安倍政権になってからは破り方の質が違う。だとしたら破られたときの私たちの対処の仕方も変えねばならない。選挙でお灸を据えるという程度ではダメになったのだ。


【本音のコラム フォーディズム 竹田茂夫】
二十世紀初頭、ヘンリー・フォードは流れ作業方式でクルマを作る仕組みを作り上げた。破格の高級で優秀な労働者を集め、職制の厳しい監視で彼らの作業をシンクロさせてT型フォードは大量生産された。……クルマには労働者たちも無理なく買える価格を付けた。大量生産と大衆の消費、それに中央の賃金交渉(日本では春闘)を組み合わせたフォーディズムはその後、世界を席巻し、第二次世界大戦後に資本主義の黄金時代を支えた。
だが、この企業による統合と包摂の成功物語にはいくつもの暗点がある。労働と消費の自律性の喪失、大量廃棄などだが、組織と市場の問題も大きい。組織の外部は市場にゆだねられて誰も責任を取らない領域になるのだ。
最近のグローバル化でこの傾向はますます顕著になる。世界のアパレル大手の要求が、下請け末端のバングラデシュでいかに過酷な労働現場を生み出したかは、昨年の工場倒壊事故で明るみに出た。雇用の非正規化は世界的な傾向でサービス産業だけではない。米国の大手工場でも時給が半分の二等クラスの作業員がいるという。

→雇用の非正規化は世界的な傾向だ。雇用が大きく変化すると、人々の生活や行動、ひいては世界そのものがかなり変わるかもしれない。世界が変われば他人事ではすまなくなる。みんな少し意識的に現状を把握するように心がけた方がよい。『(株)貧困大国アメリカ』(堤未果著、岩波新書)なども、日本の将来像を考える上で参考になる。

1月17日(金)

【「原発ゼロ撤回」先送り 都知事選争点化を懸念】
「脱原発」が東京都知事選の主な争点の一つになる見通しになったことで……政府は原発の再稼働方針を明確にするエネルギー基本計画の1月中の閣議決定を先送りした。

→これは情けない話だ。重要だといいながら、条件が悪くなると引っ込める。与党内でもいろいろ議論があるとかそれらしい理由をつけるのだろう。でも本当は民意が原発を意識することを恐れているのだろう。こういうやり方を賢いと思っているのかもしれない。しかしそれは「小賢しい」という方が正解だ。こういう人間は自分を強そうに見せるのは好きだが、余裕がなくなると平気で人を切って捨てがちだ。自己保身という守りに転じるからだ。あまり信用しない方がよい。下手についていくと放り出される。

【「すべての真実話して」平田被告初公判で 仮谷さん長男訴え】

→これは事件の内容に関してのコメントではない。「すべての真実とは何か」という疑問だ。すごく理不尽なことが起こる。出来事が理解できない。たしかに出来事すべての話を聞けていないという事実はある。当然、すべての話を聞きたいと思う。しかしすべての話を聞いたら納得のできる「真実」は現れるのだろうか?「すべての真実」を求める気持ちはわかる。しかしそれは必ずしも「すべての出来事」ではない。そこで求められているのは、自分が納得のできる「物語」だ。私たちはそれぞれ物語を生きている。時折、理解できない出来事が起きる。その出来事を何とか自分の物語に接合させることが、この世界を生きていくためには必要になる。その意味で、私たち個人の物語は開かれていないといけない。理解不能な出来事や他人の物語を受け入れることができないといけない。それは、個人だけでない。共同体や国家も同じだ。自己完結の物語を生きるのではなく、他者に開かれた物語を生きること。

【新潟知事「倫理観の欠如」 再建計画 東電社長説明に反発】
同原発の7月以降の順次再稼働について、広瀬社長は「実際とリンクするものではなく、仮置きの時期だ」と強調した。泉田知事は「モラルハザード(倫理観の欠如)の計画だ。安全文化の観点でおかしい。安全性で会社が変わったと受け止めるのは難しい」と反発し、福島第一原発事故の検証を優先すべきだと主張した。

→原発の問題を考え続けることと、新聞から書き出すことを切り分ける必要がある。新聞から書き出すのであれば、それに値するコメントができるようにならねばならない。それはつまり、体系的で正確な知識に基づく意見ということだ。

【社説 イスラム訴訟 無制限な捜査許されぬ】
刑事警察は事件が発生してから動き出す。公安警察は事件性が見えさえすれば、捜査に着手し、情報収集活動などを行う。……ターゲットになったのはイスラム教徒の信者たちだ。たとえば、礼拝所「モスク」に捜査員を配置し、監視する。出入りした人々を尾行し、住所などを確認する。在留資格や出入国記録など個人データを集める。銀行口座を照会された人もいる。問題なのは、監視対象となったのが、テロ活動とはおよそ無関係な普通の人々だったことだ。……判決は「本件の情報収集活動は、国際テロ防止のために必要やむを得ない措置」とした。……今回の事件は、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラでも特集番組が放送された。日本の警察が反イスラム姿勢を取ったことを問題視した内容だった。

→こんなことで日本人がイスラムから誤解されるのはもったいない。(日本の公安がやっているのだから、必ずしも誤解ではない)。僕自身、イスラムについてはあまり知らない。井筒俊彦の『イスラーム誕生』とか読んだくらいだ。コメントのつけようもない。片方で公安についてある程度、理解することが必要だ。もう一方でイスラムについて体系的で正確な知識を持つことだ。個人的には後者の方が楽しそうだ。


【名護振興策調整不足 市長選で自民 石破氏「500億円基金」 菅氏は否定】
自民党の石破茂幹事長は16日、沖縄県名護市長選の応援演説で、地域振興に向け500億円規模の基金を創設する考えを表明した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に立てする理解を得るための地元対策の一環とみられる。しかし、菅義偉官房長官は直後の記者会見で、新たな予算措置を否定。……石破氏は「名護市が発展することで沖縄も飛躍的に発展を遂げる。安倍政権として全面的に支援し、国、県、市が協力して新たに500億円の名護振興基金を作る」と強調した。

→いやな話だ。札束にものを言わせて、自分の要求を通すようなやり方はよろしくない。どんな美辞麗句をならべても、金やるから言うこと聞いてね、ということにしかならない。

【「失地農民」中国8000万人 農村崩壊公表の2倍】
中国の地方政府による土地利用の強制収用などで農地を失った「失地農民」がすでに8000万人に上ることが国土資源省関係者の話でわかった。中国政府は4000万人と公表しているが、実態ははるかに深刻で、社会不安に直結する農村部の「崩壊」を裏付けた。

→中国についても理解が必要だ。なんだか尖閣諸島辺りで不穏な動きをしている国というイメージになっているが、それは一面である。「失地農民」が8000万人もいる。人口が十四億だとしても、かなりの割合に上る。経済的には成長しているし、軍事力もついていてる。ただ、一歩内側に入って見てみれば、けっこうな問題がありそうだ。そういう現状と中国の歴史を知ることがまずは必要だろう。その上で、現在の彼らの行動における主観的な合理性を探り、そことのやり取りをすることが大切だ。


【日本は農業に不適な国である 自給率確保へ支援必要 池内了】
……「高温多湿の日本は農業に不適な国」と主張する文章(橋口公一)を読んで目から鱗が落ちる思いがしたので、ここに紹介しておきたい。
農業とは、田畑に栽培する農作物が二酸化炭素と水を材料にし、太陽の光エネルギーを使ってでんぷんを作る光合成反応を利用する営みのことである。……太陽のエネルギーが多いから高温であり、雨水が多くて多湿なのだから、高温多湿な日本は農業にとって最適な国と考えるのが常識であった。
しかし、高温多湿であるということは、望みの作物だけでなく雑草もどんどん育ち、それにたかる害虫が多く発生し、細菌による疫病も蔓延しやすく、それらすべてと戦わない限り十分な収穫が得られないことを意味する。日本ではほとんど米を直播きせず、雑草や害虫にやられない大きさになるまで苗代で育て、代掻きをして柔らかくし、かつ平らに整地した田んぼに移植(つまり田植え)をしている。苗代と田植えは雑草や害虫対策のための作業といえる。
それ以後、秋の収穫まで、農薬をまき、肥料を散布し、田の草取りをし、というふうに米の字通り八十八もの手間をかけねばならないのは、雑草と害虫との闘いのためなのだ。
また、光合成に必要なのは太陽の光エネルギーであって、熱エネルギーではない。つまり単に高温であることが大事なのではなく、植物の育ち盛りに太陽光線が緑の葉っぱに当たることが必要なのである。ところが多湿ということは、雨が多く厚い雲に覆われる日が多いので、日照率が低いことを意味する。特に六月という昼間の時間が最も長い季節なのに最も雨が多く降るのだから、光合成には実に不利な気候条件なのである。
さらに日本では収穫期直前の初秋に毎年のように台風や洪水に見舞われ、作物が倒れたり、腐ったり、流されたり、落下したりと、さまざまな被害に遭う確率が高い。

→これは純粋に自分の勉強のために書き出したようなものだ。特にコメントはない。ただ反対の意見を述べる専門家はいるはずだ。反対意見の存在しない専門分野というのは存在するのだろうか?
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2014.1.10~1.13 東京新聞気になった記事から

2014年01月18日 | 雑文
昨年末から、東京新聞を材料にブログを書いている。ある程度は予想していたが、思ったより時間がとられる。その日のうちに新聞をチェックし、気になる記事のタイトルと部分を手作業で打ち込む。(コピペや音声認識機能は使わない)。本当なら自分なりの意見を書ければよいのだが、だいたいは時間切れになる。今回は1月10日(金)から1月17日(金)分までたまってしまった。かなりの文字数になる。

その上、これから一つ一つの記事に意見を書く。少なくとも人に読ませる量ではない。内容的にも自分向けのノートといった感じだ。だったら、わざわざブログにアップする必要もなさそうだ。自分のハードディスクにでも保存しておけばよい。そう思わないでもない。しかし、ブログにあげることをやめたら、いろいろ理由をつけて自分はこの作業をやめてしまうだろう。

では他人に読まれることを期待しているかというと、それはほとんどない。まだまだそのレベルではない。自己完結するのでもなく、他人が読むことを期待するのでもない。ブログに挙げる理由はこの中間辺りにある。「お天道さま」という言葉が思いついた。特別な幸運を授けてくれるわけでもないし、厳しく人を罰するのでもない。多少は自分に関与しているが、基本的にはこちらを見ている。こちらが無視すれば関係ないが、意識すると影響する。そんな感じだ。お天道さまを意識して日々を過ごせば、少しは自分の振る舞いもよくなる。ブログに書き続けていれば、少しは内容も良くなるかもしれない。

3週間近く続けて実感ことがある。自分は本当にものを知らないということだ。効率的に知識を得たいなら、最初の段階で体系的に正確に身に付けるこことが必要だ。断片的な情報を大ざっぱにつかんでいると、何度読んでも同じ程度の理解にしか行き着かない。それが今までの僕のやり方だった。具体的な改善点が見つかったわけである。

で、コメントを1時間半以上書いたのだが、半分程度しかできていない。外に出ねばならないので、そこまでアップする。

1月10日(金)

【原発政策 政権「二枚舌」 再稼働方針は不変】
安倍政権の原発政策で矛盾が表面化している。安倍首相や石破幹事長は「原発依存度をできる限り低減させる」と強調するが、昨年末、政府が作ったエネルギー基本計画案では原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けている。

→全般的に、政治家の言葉が特に気になる。なぜあんないい加減なことが言えるのか。簡単だ。政治家はそれでも通用すると思っているからだ。国民は少し前に言ったことなど忘れる、そう思っているのだ。言葉を記憶して、時間の幅の中で判断すること。そのあたりを聞き手がしっかりやらないといけない。


【社説 子どもたちを泣かせない】
文部科学省の調査では、震災翌年の2012年度、全国の小中学校で不登校の児童生徒が減る中で、福島県では前年より5%増えました。高校生の場合は二割以上も増えている。震災と原発事故で県内の児童生徒は減っているのに、不登校は震災前の水準を上回っている。

→こういう記事を目にしたときに、福島の子供のことを考える。多くの人はそんな感じだろう。人によっては常にそのことを考え、行動しているかもしれない。でもきっと少数だ。だとすれば、この手の情報が多く届くほど、福島の(もちろん福島だけじゃない)ことを人々は考えるようになる。しかしその手の情報はたいてい、楽しいものではない。楽しくないものを人に伝えるには芸が必要だ。


【沖縄知事「基準適合」 野党は公約矛盾と追求】
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に関して、野党会派の県議は「県外移設の公約と全く矛盾している」と追求。仲井真氏は「辺野古は時間がかかる。一日も早い危険性の除去は県外移設でしかできない」と県外移設を要求する公約は取り下げていないと反論した。

→変な話だ。「これこれ、こういう理由で、公約を破った」。そう言ってくれればまだわかる。言葉が機能しなくなると、直接行動をおこす人が出てくる。そうしないためにも、言葉が機能する状態は維持しなければならない。


【辺野古埋め立て 名護市長抵抗表明 漁港利用 海岸使用 市道通行】
沖縄県名護市の稲嶺進市長は9日の記者会見で、普天間飛行場の移設に向けた名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事について、市長の権限を使って抵抗する考えを示した。

→ある種の直接行動につながっていく。県の権限で通行しようとすれば、住民が座り込んだりするだろう。そういう事態を起こさないようにするのが政治ではないのか。


【こちら特報部 原発・武器輸出 これが成長戦略? 核兵器転用も可能】
原発の海外輸出に積極的な安倍政権は、トルコとの原子力協定の国会承認を急いでいる。協定には使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すことが可能になる条項が含まれている。……トルコとの原子力協定には、核物質について「両政府が書面で合意する場合に限り、トルコにおいて、濃縮または再処理することができる」と定めている。ウランの濃縮や使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理は、核兵器への転用につながりかねない。……この点について岸田文雄外相は、「書面で認めない限り実現しない。日本は(トルコの濃縮・再処理を)認めない」と断言した。それなら「できない」と初きり記せばよいのだが、「トルコ側が『できない』という否定的な表現に難色を示した」ために、条件付きで「できる」という表現で折り合った。

→昔、トリウム原発というのがあった。商用化の手前まで行ったそうだが、プルトニウムが発生しないこと、燃料棒の交換が発生しないことが、普及しなかった理由らしい。プルトニウムは核兵器につながる。燃料棒の交換は企業の利益につながる。原発を論じるにはさまざまな観点が必要だ。電力のみの問題ではない。

1月11日(土)

【細川氏都知事選出馬へ 脱原発が争点に 小泉氏と国民運動に】

→「原発」が争点になるのはよいことだと思う。直近の衆院選も参院選もあまり争点化されなかったからだ。特に自民党は「減らす」ようなことを言っていたが、やはり推進に転じた。(自民党が本気で減らすと信じた人はいたのだろうか?)。その自民党が「原発は国で考えることだから、都知事選には……」と言ってる。やれやれだ。そう言えば、小泉さんはかつて「自民党をぶっ壊す」と言っていた。


【秘密法やまぬ廃止のこえ 49の地方議会が意見書】
昨年12月に安倍政権が成立させた特定秘密保護法に反対する声が地方議会で広がっている。成立後に廃止や凍結を求める意見書を可決し、政府と国会に送った議会は49に昇。成立した法律の廃止を求める意見がこれほど多く出されるのは異例だ。法律への国民の不安や強引に成立させた政権への不信が背景にある。

→政治家の言葉と同じように、これも記憶しておこう。というかまだ終わった問題ではない。こういうものとじっくり付き合う力も日本国民には必要なのだ。政治は専門家にお任せしておきたい。そのために税金も払っている。どうもそれではダメなようだ。


【こちら特報部 自民党運動方針 「不戦の誓い」削除 「積極的平和主義」盛り込む】
自民党は今年の運動方針案から、「不戦の誓い」を削除した。「戦わない」という表現が消え、「積極的平和主義」による「国際貢献」が新たに盛り込まれた。安倍政権はまた一歩、「戦争のできる国」に近づこうとしている。そして、今年、海外での武力行使も可能となる国家安全保障基本法案の成立を狙う。

→安倍ちゃんが、「不戦の誓い」を削除したがるのはわかる。戦争ができる国にしたがっている(自分が戦場に行きたい訳ではない)のは周知のことだ。「積極的平和主義」も、アメリカと共に軍事介入をすることが中心だろう。明らかに、戦後の日本のあり方を大きく変えようとしている。安倍ちゃん路線には賛成の人もいるだろうし、反対の人もいるだろう。集団的自衛権は憲法9条にぶつかるし、特定秘密保護法は21条にぶつかる。本来なら、改憲の議論をきちんとしなければならないのだ。

まだ調べていないが、日本人は「国家安全保障基本法案」をウォッチしなければならないようだ。この法案(概要)は自民党が野党時代の2012年7月にまとめたものだ。どうもこのところの安倍政権の動きは、この内容に沿って進んでいるようなのだ。この法案が通ると集団的自衛権の行使が可能となる。解釈改憲を確実にするための「立法改憲」というわけだ。

憲法改正には国会議員の三分の二と国民投票が必要だ。しかし立法改憲ならば、議会で過半数を確保すればよい。現在の自民党の議席数で可能というわけだ。しかし国民が自民党に議席数を与えたのは、経済対策を全面に出してきたからだ。議席数を与えたと言っても、衆院選も参院選も、得票数に関しては自民公明より野党全体の方が多かった。その状況で、そんな法案を通すことは国民を馬鹿にしているに等しい。(日本人、馬鹿にされているぞ。怒らないのか)。

例えば、国家安全保障基本法案の第3条「国および地方公共団体の責務」は、秘密保護のための法律制定を規定している。これは昨年末の「特定秘密保護法」の制定につながる。第6条「安全保障基本計画」は安全保障に関する長期的な計画の制定を義務づけている。これは「国家安全保障戦略」の制定に繋がった。また、国家安全保障戦略は、概要の第12条「武器の輸出入等」を反映して、武器輸出三原則の見直しを打ち出している。その他にも第4条「国民の責務」は、愛国心教育や基本的人権、知る権利の制約につながる。第10条は集団的自衛権の行使。

つまり、安倍政権はかなり本気で国のかたちを変えようとしている。問題なのは、主権者たる国民にきちんと議論をさせないようにしていることだ。正面から議論をすれば、反対されると思っているのだろう。反対するのは、正しく物事が考えられない馬鹿な国民か、左翼なのだ。だったら「国を取り戻す」とか「積極的平和主義」とか、耳障りのよい意味不明なことを言っておいて、その間に中身を変えてしまえばよい。そんな動きに感じられる。試されているのは安倍ちゃんではない、私たち日本人なのだ。がんばれ日本人。


【水俣病 基準見直さず 感覚障害単独でも認定】
水俣病認定基準について環境省がまとめている通知案の内容が判明した。同省は基準そのものを変更はせず、通知を認定審査のための「補足」と位置付けており、基準の抜本的見直しを求めていた被害者側からは「一方的だ」「誠実に検討していない」との反発の声が上がっている。

→水俣についても、僕は断片的な情報と大ざっぱな理解しかない。水俣やさまざまな公害病、それと福島に対する行政の対応には共通の構造があるようだ。このあたりを抑えるためにも、体系的で正確な知識が必要になる。そういうものを持たないと、意見を異にする人と建設的な話し合いができない。


1月12日(日)

【東証1部 四電力など39社 オランダ節税か】
オランダに子会社を設立して税負担をしているとみられる企業が、東京電力を含め、少なくとも東証1部上場企業のうち39社あることが分かった。節税自体は違法ではないが、大企業の節税で国の税収が減ることになれば、中小企業や一般個人への増税に繋がりかねない。

→いわゆるタックスヘイブン(租税回避地)の問題である。法的には問題はないが、富裕層や大企業の課税逃れは国際的な問題になっているようだ。「法的には問題ない」というのがポイント。自分たちがやりたいことを合法化するためには、法律を変えてしまえばよいというような発想が増えている。自分のやりたいことをやりやすくするためのルールと、ある状態を維持するためにやってはいけないことを決めるルールは別物だ。このあたりを考える必要がある。


【本音のコラム 山口二郎】
歴史家、藤原彰氏の調査によれば、アジア太平洋戦争で戦没した日本軍人二百三十万人のうち、六割以上の百四十万人前後が戦闘行為ではなく、餓死もしくは飢餓による病死であった。

→戦場で人が餓死していく過程を想像すること。そんな場所に行きたい人はいるだろうか?


1月13日(月)

【モザンビーク ODA700億円 首脳会談で合意】
……首相は1993年から95年にかけ自衛隊が国連モザンビーク活動に参加した経緯を踏まえ、「積極的平和主義」で世界の平和と安定に貢献する考えを伝え、ゲブザ氏は歓迎した。

→この記事にある種の情報操作を感じた。ありもしなかったことを書いたり、嘘を書いたわけでもない。問題は、なぜここで「積極的平和主義を歓迎」という内容を伝えようと思ったかだ。内容は客観的だが、選択には主観が入っているはずだ。主観とは意図である。だとすれば、この記事でメリットを得るのは誰かを考えればよい。


【米下院外交委員長「靖国参拝は誤り」聯合インタビューに】
韓国の聯合ニュースは十二日、エド・ロイス米議会下院外交委員長が安倍晋三首相の靖国参拝神社参拝を「誤りと考える。歴史から教訓を学ぶべきだ」と批判したと伝えた。

→靖国問題は日本人もきちんと整理することが必要だ。一つには戦前から戦後に至る歴史をきちんと抑えることだ。その上で、日本の立場からの見え方や言い分(必ずしも一枚岩ではないが)、各国(韓国、中国だけではない)からの見え方や言い分を整理していくことだ。少なくとも、日本人が整理できていないと、相手が感情的に主張を始めたときにそれに付き合うことになる。


【台湾総統も「失望」】
台湾の馬英九総統は、昨年十二月の安倍晋三首相による靖国神社参拝について「失望するだけでなく、理解しがたい」と自身の交流サイト「フェイスブック」で十二日までに表明した。

→靖国参拝には思ったよりも反発があったはずだ。アメリカ、EU、ロシアなど想定外の反発があったはずだ。日本からすれば反発と見えるかもしれないが、彼らには彼らなりの主観的な合理性が存在するはずだ。それらが正しいとは言わないが、その合理性を理解していないと彼らを説得できない。反発がきたことに感情的に反発するよりも、そこをきちんと読み解ける方が強い。


【私説 論説室から あいまい規定の防衛大綱】
安倍政権が年末に閣議決定した日本防衛の指針「防衛計画の大綱」。意味不明の「グレーゾーン」という言葉が七回、「シームレス」が五回登場する。二つ合わせて、略するとこんな言い方になる。「グレーゾーンの事態にシームレスな対応をする」。理解できる人がいるだろうか。文中に「平時でも有事でもないグレーゾーン」とあるが、法的には自衛隊に防衛出動が命じられる有事か、それ以外の平時しかない。その中間のグレーってどんな事態だ。

→これも言葉の問題。確かに現実は流動的で白黒つかないものもある。だからこそ、思考においてはきちんと整理することが大切なのだ。思考が整理されていないと、現実を白黒で処理しようとする。そうすると「強い国みたいなもの」が必要になる。頭が弱いと力に頼るようになる。言葉をきちんと使うのは思考の訓練につながる。言葉に敏感になろう。


【こちら特報部 被災者忘れられてしまう】
福島原発事故の発生から二年十ヶ月。収束作業の行方とともに懸念されているのが、事故の風化だ。……國分さん(南相馬市からの避難者)によると、講演会の参加者が減る一方、被災者に対する嫌がらせとみられる行為や誤解はむしろ増えているという。犯人の目的は不明だが、被災者の乗用車のフロントガラスが割られたり、タイヤをパンクさせられる「事件」は後を絶たない。……県民のうち、今も十四万人近くが避難生活を余儀なくされ、震災関連死した人の数は1625人(1月10日現在)。地震や津波が直接の原因の死者数(1603人)を上回った。

→「絆」って、どのくらいの時間保たれるものなのだろうか?


【新日本原発ゼロ紀行 玄海編(佐賀県)】
福島原発事故は各地の原発の利権構造をえぐった。九州電力玄海原発を巡って、九電と県、町との間の癒着が表面化した。それから間もなく三年。三者のもたれ合いはまだ続いている。しかし、原発の運転停止が続く中、原発ありきの町政、県政のもろさが際立ち始めている。
「町民の半数が原発関連の仕事をしている。このままでは深刻な影響が出かねない。再稼働していただけるものと信じている」。佐賀県北西部の玄海町役場で、岸本英雄町長はそう語った。
福島原発事故の直後、町政が原発マネーに依存し切っていることが浮き彫りになった。実際、町の2013年度一般会計当初予算68億円のうち、歳入の七割近くは原発の固定資産税や交付金が占める。
1号機の運転開始(1975年)から12年度までの交付金などの総額は310億円超。約六千人という人口規模には不釣り合いな豪華な役場庁舎や温泉施設などに使われてきた。
ただ、事故後、癒着への疑惑が膨らんだ。これらの事業を手がけてきたのが岸本町長の実弟が社長のゼネコン「岸本組」であるためだ。
町長自身も大株主の同社は町長就任の06年8月から福島原発事故までの間、原発マネー絡みの町発注工事や九電発注工事を約17億円も受注していた。「地域の雇用を担ったいるだけ」という町長の言葉に住民は冷たい目を向けた。

→原発問題を考える際の一つ。原発立地自治体の問題だ。もともと貧しい土地が選ばれる。確かに原発によって経済的には潤う。(いささか贅沢なくらい潤う)。ただし地域に根ざした産業が育つわけではない。雇用に関しても原発関連か、原発関係者を相手にした商売だ。原発がなければ地域がもたないという依存体質ができ上がる。確かにその状態で、いきなり原発ゼロというのは困るだろう。


【60年代 沖縄で生物兵器実験 稲に被害の菌 米軍が水田に散布】
日本に復帰前の1960年代初めの沖縄で、稲作に深刻な打撃を与える生物兵器の研究開発のため、米軍が屋外実験を繰り返していたことが分かった。稲に重大な被害をもたらす「いもち病菌」を水田に散布し、データを集めていた。

→東京にいる僕は、そうか沖縄は……という思考の枠に無意識に入っている。そこにはある程度の距離はある。沖縄の人がこれを知ったときどう思っただろうか。僕とは違うはずだ。僕に必要なのは、一方では東京から見た姿を整理すること、もう一方では沖縄の人がどう思ったか想像すること。この二重の見方があらゆるケースで必要になる。

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