前にも書きましたが、戦後、連合国の取り調べに対して、日本の指導者たちは、
「個人的には戦争開始に反対だったが、それを言い出せる空気ではなかった」
とそろって答えたそうです。 日本人は人と異なる意見を表明することがどうも
苦手なようです。
人が話し合いをするのは、「合意」をするためです。 争いを起こすためなら、
話し合いをする必要はありません。 いきなり攻撃をすればよいだけです。 (ま
あ、攻撃の口実を作るために話し合いをするという場合もありますが…)
人と異なる意見を表明することが苦手な人が、合意するために話をするとどうな
るか。 相手と合意できそうな部分だけを話すことになります。 お互いの意見が
異なる部分については口にしない。 そうすれば、話し合いの過程で意見の異な
りは出てきません。 意見が異ならないから、合意がしやすくなります。
でも、合意できる部分というのは、そもそも同じ意見なので、 それほど話し合
う必要はありません。だからそれは、話し合いと言うよりは、単なる確認に過ぎ
ないわけです。 こういう確認を繰り返していると、話し合いの技術が身に付き
ません。
だから、意見が異なる場面になると、感情的になったり、 黙り込んだり、パ
ワーゲームが始まったりする。 相手は合意をするためのパートナーというより
も、 やり込めるための敵になってしまう。
また、意見の異なりを出すことなく合意した物事の多くは、 実際に物事が動き
出した時にトラブルが発生しやすい。 物事を進めるためには、現実的な細かい
選択が必要になるが、それを事前に行っていないからです。 細かい具体的な選
択においては意見の違いが出やすいのです。
だから、合意のため話し合いで必要なのは、 自分と相手の意見の同じ部分を探
すことではなく、 自分と相手の意見の異なる部分を確認することです。 自分か
ら見えているものを相手に伝え、 相手から見えているものをきちんと聞き、 そ
のズレがなぜ存在しているのかを確認することです。
そうすることによって、物事が動き出してから発生するトラブルを防ぎます。
同時に、自分の見方と相手の見方という二つの視点から物事が見えてくるので、
より立体的に物事が見えてきます。
自分の見ているものをきちんと伝えられる説明力。 相手の見ているものをきち
んと聞き出せるヒアリング力。 どちらもテクニックの問題です。テクニックで
あれば身に付けることは可能です。
このテクニックを必要とするのは、自分の意見と人の意見は異なるものだ。 異
なっているからこそ、合意をしなければならない、と実感している人です。 普
通に考えればみんな自分と同じように考えるはずだ。 そう思っている人には、
こういう技術は必要とは感じられないことでしょう。
自分とまったく同じように考えている人と、僕は出会ったことがありません。
たぶん、みなさんもそうじゃないかと思います。 でもどこかで、みんな自分と
同じように考えるはずだと、思っちゃってるんですよね。 たとえば、この文章
を理解してくれるはずだとか。
「個人的には戦争開始に反対だったが、それを言い出せる空気ではなかった」
とそろって答えたそうです。 日本人は人と異なる意見を表明することがどうも
苦手なようです。
人が話し合いをするのは、「合意」をするためです。 争いを起こすためなら、
話し合いをする必要はありません。 いきなり攻撃をすればよいだけです。 (ま
あ、攻撃の口実を作るために話し合いをするという場合もありますが…)
人と異なる意見を表明することが苦手な人が、合意するために話をするとどうな
るか。 相手と合意できそうな部分だけを話すことになります。 お互いの意見が
異なる部分については口にしない。 そうすれば、話し合いの過程で意見の異な
りは出てきません。 意見が異ならないから、合意がしやすくなります。
でも、合意できる部分というのは、そもそも同じ意見なので、 それほど話し合
う必要はありません。だからそれは、話し合いと言うよりは、単なる確認に過ぎ
ないわけです。 こういう確認を繰り返していると、話し合いの技術が身に付き
ません。
だから、意見が異なる場面になると、感情的になったり、 黙り込んだり、パ
ワーゲームが始まったりする。 相手は合意をするためのパートナーというより
も、 やり込めるための敵になってしまう。
また、意見の異なりを出すことなく合意した物事の多くは、 実際に物事が動き
出した時にトラブルが発生しやすい。 物事を進めるためには、現実的な細かい
選択が必要になるが、それを事前に行っていないからです。 細かい具体的な選
択においては意見の違いが出やすいのです。
だから、合意のため話し合いで必要なのは、 自分と相手の意見の同じ部分を探
すことではなく、 自分と相手の意見の異なる部分を確認することです。 自分か
ら見えているものを相手に伝え、 相手から見えているものをきちんと聞き、 そ
のズレがなぜ存在しているのかを確認することです。
そうすることによって、物事が動き出してから発生するトラブルを防ぎます。
同時に、自分の見方と相手の見方という二つの視点から物事が見えてくるので、
より立体的に物事が見えてきます。
自分の見ているものをきちんと伝えられる説明力。 相手の見ているものをきち
んと聞き出せるヒアリング力。 どちらもテクニックの問題です。テクニックで
あれば身に付けることは可能です。
このテクニックを必要とするのは、自分の意見と人の意見は異なるものだ。 異
なっているからこそ、合意をしなければならない、と実感している人です。 普
通に考えればみんな自分と同じように考えるはずだ。 そう思っている人には、
こういう技術は必要とは感じられないことでしょう。
自分とまったく同じように考えている人と、僕は出会ったことがありません。
たぶん、みなさんもそうじゃないかと思います。 でもどこかで、みんな自分と
同じように考えるはずだと、思っちゃってるんですよね。 たとえば、この文章
を理解してくれるはずだとか。