思惟石

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『リリアンと燃える双子の終わらない夏』 癒し系小説読むより、これを読め!

2023-01-05 18:30:43 | 日記
『リリアンと燃える双子の終わらない夏』
ケヴィン・ウィルソン
芹澤恵:訳

何かと癒し系小説が多い世の中ですが(個人調べ)、
疲れている人、元気が欲しい人、自分を肯定したい人、
全員この小説を読めば良いと思います。

良いと思います!!

なんか変なテンションになってしまった。

『リリアンと燃える双子の終わらない夏』
は、アメリカの小説。

主人公のリリアン28歳は、アメリカ的ザ貧困層のフリーター。
ひょんなことから超金持ち夫妻の家で
文字通り「燃える」双子の世話をするというお話し。

物語はリリアンの一人称で綴られます。
言葉遣いはラフだけれど、感情表現はまっすぐ。
愛についての考察やら諦めやら渇きやらと、
双子に対する「子供」として「人間」としての尊重が
ストレートで、グッと来ます。

リリアンは正義感を振り回すことはない。
なにしろ「正解」がわかるような人間なら、
人生のもろもろに失敗していないだろ、と。
だから、どうしたら「間違い」を犯さないかを探って生きている。
良い。
共感に一票!!

リリアンの友人であり、対照的な存在である
お金持ち婦人のマディソンも、何気にすごく良い味わい。
単なる「嫌なやつ」だったら興醒めなのだけど、
彼女なりのビジョンのもとに真摯に生きていて
すごくクリアでフェアな人間だと思う。
おもしろい人なのである。

格差とか貧困とか、
今後も解決しないであろう問題は多々あるけれど、
読後感はとても良い。

自分の仕事が嫌になって深夜のカフェとか手作り弁当とか、
神社の猫とか小さなケーキ屋とかに癒しを求める
最近多い短編集(個人調べ)も良いですが、
それより何より、この小説を読めば良いと思う。
読めば良いと思います!!

ちなみに、
訳者は『フロスト刑事』シリーズの人でもある。
良い選書眼である。
コメント
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