思惟石

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奥泉光『雪の階』クセが強い笑

2020-09-04 17:07:55 | 日記
読んだのか読んでないのか自分でもわからなかったけど
読んでないな!じゃあ、読むか!!
というわけで早々に読んだ自分を褒めたい。

奥泉光『雪の階(きざはし)』ちゃんと読みました。

二・二六事件直前の不穏な時代が舞台です。
(日本史が江戸で終わってる自分のための覚書ですが、
 二・二六事件は昭和11年ね。了解!)

主人公は伯爵令嬢の笹宮惟佐子。
親友の不可解な心中事件が「謎」として物語の軸にあります。

この主人公の惟佐子さんがだいぶクセの強いヘンテコな人。
で、その兄・惟秀(これひで)は名前は出るけど本人が
なかなか登場しない、謎の人。
さらに失踪してドイツにいるらしき謎の叔父、
叔父に紹介されて来日した謎のドイツ人ピアニスト、
事件を追うとともに現れる謎の尼さん。

あとからあとから、謎と不穏な情報とトンデモ思想と、
ついでに『鳥類学者のファンタジア』でおなじみの心霊音楽協会が登場。

そして相変わらず一文が長くてクセの強い奥泉光の文章!!
(三人称で視点が自在にあちこち行くし、ひとつの文章が
10行以上にまたがる超長文だったりする。
とはいえ飄々としながら小気味良くて結構好きなんですよね…)

とにもかくにも、全体的にクセが強い笑。

唯一まともなのが、物語の探偵役であり女性写真家の千代子と、
相棒役で記者の蔵原氏。
いつでも美味しそうにもぐもぐしてる千代子にホッとする〜。
あと、蔵原の発酵食品大好きトークもいい。オアシス!

そんなこんなでクセが強い割に話が進まない感のある物語終盤。
最大の謎キャラ惟秀兄様が、血の浄化とか「獣人」の殲滅とか
「神人」の国の維新とか、マジでやばい民族浄化思想を炸裂させた時には、
私は数日かけて何を読んでたんだっけ?と恐怖を覚えた。

さらにどんでん返しというか、雪の夜の神社で(タイトルここかよ!)
さらなるビッグウェーブがやってきて、
やっぱり何の話しを読んでたんだっけ?と脳みそが迷子になった。

あちこち翻弄されて、まあ、読後感でいうと、
相変わらず奥泉光はクセが強いな!発酵食品か!と。
嫌いじゃないよ!!
コメント
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